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zoom RSS ソラノヲト 第1話「響く音・払暁の街」

<<   作成日時 : 2010/01/05 03:51   >>

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2010年TVアニメ第1弾。典型的な部活少女モノのキャラ設定を採用してはいるものの、じつに硬派なファンタジーの空気感が好印象の期待作だ。


・作画、および世界観の描写について


まず、サイドカーの上でのた打ち回る主人公のカットを見た時に、これは名作間違いなし、と思った。


第1話だから当然、気合いの入った映像を提供してくれていたわけだが、それにしても見せ方が巧いなぁと思わされるシーンが随所に散りばめられていて、見事だった。キャラクターのとるいちいちオーバー気味の表情やリアクションが心地よく、モブも含めてすべての人物に生命が込められている。また祭りの描写に絡めて、説明的なセリフがほとんど無しに、舞台となる街の世界観を描き切ってしまったのも見事。恐らく西ヨーロッパの、地中海沿岸あたりの文化圏を想定しているのだろうけれど、細部まで良く練られた背景世界が、見るものを瞬時に引き込む力を持っていた。


その世界観についてだが、いかにも宮崎駿の好きそうな間大戦期といった感じで、あまり華やかではない、娯楽作品ではなかなか取り上げられない世界観だと思う。まだまだ前近代的なレトロな文化を引きずりつつ、しかしながら次に控えた現代という時代へ向けての萌芽が芽生え始めている頃で、ちょうど卵が孵る直前のような不安定で儚げな、それでいて水面下で大きなエネルギーのうねりを予感させる時代だ。


言って見れば非常に中途半端でむつかしい時代である。この世界を描くにはただテクノロジーや生活スタイルをなぞるだけではダメで、そこに何とも言葉では表現しにくい空気感、時代の流れを表現しなくてはならない。これに近い時代を扱った作品として「戦場のヴァルキュリア」などが記憶に新しいが、あれなぞは空気感の再現に思い至ることができずに陳腐な世界観描写で終わってしまったと感じた。宮崎が「ラピュタ」や「紅の豚」で描いたような独特の雰囲気、この時代を切り取ろうという鋭い視点の有無が、他の時代を扱う以上に、大きくモノを言う時期だろう(「ラピュタ」はよりファンタジーであるが、想定している時代は明らかに20世紀初頭から第一次大戦の前後である)。


そういった視点から今作の世界観描写を見てみると、間大戦期の時代の空気を驚くほど巧みに、今作の作風として取り込んでいるのが分かるのではないか。架空の世界を舞台にしたファンタジー作品であるが、さり気無いセリフや描写から、現実の歴史のどの時代を参考にしているのかというのは容易に想像がつく。そしてそこに生きる人々の描写の中に、大きな戦争が終わった後の安堵感、決して楽ではない生活をたくましく乗り越えようという気力、それでいていつ降りかかるかもしれない大きな戦火(=今作の場合は伝説の怪鳥?)に対する本能的な不安と焦燥、そういった希望と不安の入り混じった独特の空気感を、見事に表現している。それをやろうとして、やってのけた第1話だったと思う。




・ストーリーについて


現時点ではまだまだ、どうなるか予断を許さない(だってまだ1話だものw)が、主要キャラの配置の仕方が典型的な萌え系のガールズアニメであり、かつ主人公がドジでひたむきな音楽少女ということで、当面は部活のノリで美少女達が賑やかに生活する様を見て楽しむ方向で、いいのかもしれない。”へたっぴ”なラッパの音と楽しげなED映像からして、しばらくはあまり重たい展開をとることなく、キャラと世界観の掘り下げを丁寧にやってくれるだろうと思う。


しかしながら今の段階で、ストーリー展開のメインテーマに、背筋がヒヤリとさせられるような陰鬱なシリアス要素が横たわっているようだというのを、しっかり提示してあったのはよく覚えておかないといけないだろう。アバンで見せたカナタの過去エピソードと谷にまつわる伝説がリンクしてくるかどうかは疑問だが、1年もの間、5人の少女たちが体を張って炎を食い止めたというおとぎ話は、決して微笑ましいものではない。しかもそれがおとぎ話として語られるだけなら聞き過ごすことも出来ただろうが、巨大な鳥の化石を見、かつ角笛の音に過敏に反応していた街の人々の様子が描かれては、早くも心中穏やかではいられない。


明るい主人公の微笑ましいエピソードを描くだけでなく、むしろ作品の根底に横たわるシリアス要素、悲劇を予感させる描写をはっきりと提示してきたことに、あまり軽いノリで視聴しないで欲しいという作り手のメッセージが込められていたように感じた。キャラに萌えても構わないが、決して萌えアニメではない。そう宣言されたように思う。




・次週への期待


何にせよ、可愛らしいキャラが揃っているというのは事実で、次週かその次あたりは、まだまだキャラで魅せる作劇を行ってくると予想している。前述の通り作画が素晴らしく、一人一人のキャラクターが丁寧に魂を込めて描写されているので、まずはしっかりキャラクターを見て楽しみながら、世界観の把握と作品テーマの見極めを行っていきたい。


とにかく第1話は非常に好感触だった。毎週楽しみな作品になりそうだ。



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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
確かにキャラも可愛らしく(先日までやっていたヤツとだいぶ被るけど…)、
世界観もユーロな風景とアジア(というか日本)の文化が混ざった特殊な物で面白かった。
水とガラスの街っていう設定も後々に絡んでくるのか気になるし、湖の底で見た首のない翼の生えたアレ(御伽噺の悪魔なんだろうけど)も気になる。
とりあえずは今後の主人公や諸々の登場人物の成長を描いてストーリーが進んでいくのかなぁなんて思います。

今後も楽しみにソラノヲトを拝見してみようと思います。
名無し
2010/01/05 14:46
>名無しさん
コメントどうもありがとうございます。

まぁキャラが被るってのは良く言われてますが、今の時代、被らないキャラを生みだすほうが難しいくらい、美少女の大量生産・大量消費が行われていますからね。気にしたら負けだと思ってますww

とりあえず、楽しみなアニメがひとつ増えたのは間違いないですね。頑張って感想を書きますので、今後もよろしければご訪問頂けると幸いです^^
おパゲーヌス
2010/01/05 15:43
始まる前は「けいおん!」似のキャラデザの印象ばかりが強かったのですがw
始まってみれば、ジブリの雰囲気を感じました。

町並みや世界観がすごく好みで、キャラよりも背景に目が行って、話がわからなくなりそうでしたww
ただ、この世界観の中で主要キャラが浮いてるように感じてしまうのですが・・・これは慣れれば問題なさそうです。

主人公を中心としたほのぼの日常+成長の物語と、シリアスな展開、どっちがメインになるのかは、まだわかりませんが。
EDを見る限り、しばらくは前者っぽいですね。

私も楽しみです。
ローリング
2010/01/09 16:44
>ローリングさん
コメントどうもです。ジブリというか、もっというとラピュタっぽい世界観でしたよね。正確に言うともっと的確な分類ができそうですが、こういうファンタジーな雰囲気を「っぽい」と言わしめてしまうジブリの存在感に、改めて驚かされました。かくいう自分もその一人ですがw

しかし世界観といいキャラデといい、借りもの的な印象が強いようですが、すぐにでもオリジナリティを発揮してくれると期待しています。それだけのモノを持った作品だと思いました。
おパゲーヌス
2010/01/09 16:49

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