妄想詩人の手記

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zoom RSS 魔法少女まどか★マギカ 第8話「あたしって、ほんとバカ」

<<   作成日時 : 2011/02/27 14:25   >>

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さやかについては、予想通りの展開? いやいや、全然予想外でしたよ。ココに至るまでの過程には、予想なんて出来ようはずの無い、言葉に詰まるほどのドラマ性がありました。

※当記事は、以前ブログへのアクセス権限を一時的に失効していた折に、別館のほうで更新した記事を、そのまま転載したものです。

元記事はこちら↓
http://coffeemonster1224.blog47.fc2.com/blog-entry-364.html


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・とうとうやって来た、さやかの終焉


視聴者的には、マミさんに続いて二人目の犠牲者となった魔法少女・美樹さやか。彼女がキュゥべえと契約した時点からすでに覚悟は出来ていたけれど、だからってこんな酷いコトになろうとは。魔女に喰われてくれたほうが、まだずっと救いがあった・・・。


実は自分は、さやかが奇跡の力で救ったはずの上條くんが、「そんな奇跡、望んでなかったんだよ!」とか言ってさやかを絶望させたりするのと予想していたのだけど、その展開は、あくまで魔法少女としての使命を背負うことの意味と、その契約に向けての心構えが問題にされていたシリーズ序盤の流れを受けて想像していたものだった。ところが気付かないうちに物語は新たな局面を迎え、世界を守って戦う責任(=大人としての自覚)を受け入れるか否かというテーマではなく、その世界が守るに足るだけの価値があるか、という、人生論により深く突っ込んだテーマが語られることになった。幸せそうに生きる上條くんを後目に、もう幸福への望みを断たれたさやかが、自分の生きる意味をこの世界の中に見失ってしまう様子は、ひどく胸を締め付ける展開だった。




・青年期の絶望と、美樹さやか


こうした心情の変化はしかし、10代後半の少年少女がほぼ不可避の問題として直面することになる絶望を、そのままなぞって見せたものである。10代後半という年齢に入り、物事がよく見えるようになってくると、この世界の仕組みやそれが抱える不条理と矛盾がとにかく目に付くようになり、世界そのものがひどく歪んだカタチに見えてくるものだ。そして自分というちっぽけな存在が、世界に合わせて歪(いびつ)に身体を変形させながら強制的にその中で生きて行かなければならないという気持ち悪さを、強く強く痛感させられる。


さやかの場合もまさにそうだ。この世界の正しさと自分の将来の明るさを何の疑いも無く信じていたころのさやかは、まだ子どもと言って良い。しかし大人への大きなステップを踏んで魔法少女となってみるや、自分の知らないところでどうしようもなく堅牢に築き上げられたシステムの禍々しさに直面し、その不条理のもと、ただただ機械的に魔女を排除することしか求められていない自分自身の存在意義を思い知らされることになった。ただ一点、不幸だったのは、彼女は普通の少年少女と異なり、その手に計りしれないチカラを有していたということだけだ。


今作において、主人公たち”子ども”と、キュゥべえの持つ”大人”の論理との対比は、なんども意識させられてきたことである。まどかやさやかは、子どもから大人へと成長する過渡期の存在であり、しかしその成長は決して幸福と希望に満ち溢れたものではなく、むしろ苦しく、痛々しく、そして醜い成長となるであろうことが示唆されてきた。キュゥべえのような大人的キャラクターを悪者のように描くことで、大人の論理に染まらない、青年らしい生き方を賛美する作品になるのではないかとも思ったが、果たして、さやかが絶望の果てに魔女へと変貌を遂げ、それをさも当然のことのように「いつか魔女になるから魔法少女と呼ぶべきだ」と語るキュゥべえが描かれたことは、我々視聴者にどのようなメッセージ性を持って投げかけられているのか。


この点に関して、作り手の構築している表面上の設定を紐解いて行くこともできよう。キュゥべえの目的、魔法少女と魔女の関係、暁美ほむらとまどかの接点、そしてワルプルギスの夜と、インキュベーター。これらの謎は、その隠された”正解”を探り当てようと視聴者に奮起させることで、作品の持つミステリー的娯楽性を高め、ただでさえ独特の魅力を持つ今作をよりいっそう面白いものに仕立て上げている。けれど、そうした設定や展開の謎を紐解くのに夢中になるあまり、その物語を通して描かれている本質部分へと目を向けることを忘れてしまっては、本末転倒だろう。


さしあたっては、さやかが絶望したこの世界の価値について、果たして我々がどれだけ弁明することができるのかを、胸に手を当てて考えたい。我々の暮らすこの世界や、我々一人ひとりの人生には、いったいどれだけの価値があるのか。恐らく大人の多くが、そんな価値を探し求めること自体がナンセンスなのだと結論付けるか、あるいは日々の苦労の中に見出すささやかな幸福こそ、人生の無上の価値なのだと説く者もあるだろう(お分かりだろうか、前者はキュゥべえを、後者はまどかの母を想定している)。しかし、そんな結論を導くことが、果たして本当に正しい生き方なのだろうか? 我々はもっと重大な使命を、その生に背負っているのではないか?


かつて、じつに多くの若者たちが、自身の生きる意味を探し求め、その価値を探ろうと試みた。若者、と言ったけれど、実年齢は問題では無い。青年の心を持った人間なら誰しもが立ち向かわなければならない論題であり、逆に言えば、たとえ年齢は若くとも、自身の人生の意味と価値を探し求めないでのん気に(もしくは諦めの境地で)生きているような人々は、全然青年とは呼べない。そして、古典と呼ばれる書物を少しでも手に取って見れば、じつに多くの”青年”たちが、この難題に真っ向から取り組み、戦っている様子が見て取れるだろう。


生きるという行為の意味、それは、食べて寝て生命を維持することでもなければ、金を稼ぐことでもなく、女と寝ることでも、出世し名前を残すことでも、幸福になることでも”ない”。そんなものは全て、人生の付随物だ。そうではなく、それらのニセモノの価値をすべて振り払った先に、いったいどんな価値や意味を見出し得るか。それを追求することが、生きる、ということだ。


さやかは、あくまでその端緒についたに過ぎない。しかし現実世界の理想に強くすがる彼女は、ありもしない正しさや美しさを世界にもとめ、相対的価値に過ぎない幸福というものに執着し、そうした価値に自身の戦う意味を求めた。はなからそれは蜃気楼だったというのに! そうして彼女は”大人”になった。世界を見捨て、人の命を奪い、自分自身さえも殺して、歪な世界で歪な存在になろうと欲した。自分のことを放棄した時点で、彼女が魔法少女(青年)であることをやめ、魔女(大人)に成長してしまうことは、確定事項だったのである。


今回のエピソードは、一人の青年が、大人の作りあげた魔性の世界に押しつぶされて死んでいった物語であったと言えるのではないだろうか。そして魔女になったさやかを、いまだに魔法少女やその候補生にとどまっている他の3人、とくに鹿目まどかがどのように処理するのか、次回の展開は大いに見ものである。次回の物語の如何によって、今回この記事で披歴してきた私の妄想がどこまで作品に踏みいることが出来ていたかが判明されるであろうし、また作品テーマについて作り手の目指している地点がどのあたりに設定されているかが見えてくるのではないかと思う。


感想や考察などは二次創作であるから、自分の推測が正解かどうかなんて一切なんの意味も持たないけれど、しかし自分の期待している通りのテーマが扱われているかどうかは、非常に気になるところだ。それによって、作品全体の評価や好き嫌いがはっきりしてしまうであろうから、いよいよ終盤に差し掛かってくる次回エピソードを、心から楽しみにしたい。




・インキュベーターについて ―卵から抜け出ようと戦う魔法少女?


どうせみんな考察してるのだろうなぁと思いつつ(まだ他の方の感想・考察は目に入れておりませんが)、さすがにこうもはっきりとその名が語られてしまったら、いろいろと考えざるを得ない、我らがQB。


「インキュベーター」という名前について、てっきり夢魔インキュバスのことかと思ったら、辞書やウィキを見てみたら全然関係が無さそうだった。なんでも保育器のことを指すそうで、ウィキにも「インキュベーター」という項目で写真付きで載っていた。狭義には、鳥を卵から孵す孵卵器(ふらんき)を指すらしい。


このインキュベーターという名前はだから、かなりダイレクトに、子どもを大人へと成長させるという意味が込められているわけだ。もし調べないで夢魔扱いしてたら、大変な思い違いをするところだったw まぁ少女たちをかどわかして夢の世界へと引きずり込むという点でまさに夢魔のようなキャラではあるし、インキュバスとの語呂の近さは十分に狙っていたとは考えられるけれども。しかしインキュバスは夢の中で性行為を強要する悪魔だそうで、インキュベーターとはまるで違う存在である(それはそれで同人誌的にはとてもおいしい設定だったりするけどね)。


ところで、この”子どもから大人へ”という成長を、恐怖や嫌悪や背徳感といったマイナスイメージで扱っていたのは、やはりどこまでも『少女革命ウテナ』的なテーマ設定である。そして、その『ウテナ』がモティーフとしたヘッセの小説『デミアン』において、そのもっとも有名な箇所に、卵が孵化するイメージが非常に象徴的に採用されている。引用すると、

鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという


――というものだ。


この『デミアン』は、その冒頭から”ふたつの世界”すなわち善と悪に分裂したこの世界の様相と、その間で揺れ動く青少年の生き様を問題とした小説である。とくにヨーロッパ社会では、それまで絶対の正義として君臨してきたキリスト教会への信頼が崩れ、たくさんの若者たちが無神論に走って、何人によっても縛られることの無い本当の生き方を探し求めていた時代であって、ヘッセ自身も深い苦悩と思索を繰り広げていた。『デミアン』はまさに、作家のそうした精神的闘争の過程を生々しく書きつづった作品であって、引用した部分も、善だけによって構成されたキリスト教の神を否定し、善悪を併せ持った新たな神(=生き方)を追い求めようとする極めて挑戦的な姿勢として語られている点を、よく留意しておかなければならない。もちろん現代日本においては、キリスト教を真剣に信仰している人は少数と言って良いし、それどころか宗教と言えば問答無用で詐欺扱いされる社会であるから、信仰の問題に深く斬り込みながら思索を繰り広げる『デミアン』のような作品は、表面的には、さほど必要性の感じられない作品だと看做されてしまうかもしれない。けれど、では宗教に縛られない人間が果たして本当に真剣な生き方ができるかと考えたとき、多くの人々がそのような面倒なことは考えようともしないで快楽ばかり追い求めている現状に、無宗教時代の悪弊はドグマ宗教なぞよりはるかに深刻に、人々を束縛し支配してしまっていると思わざるを得ない。現代では、無神論者が戦うべき相手は神を奉じる宗教組織ではなく、社会システムに隷属し家畜と化してしまっている人々の心そのものなのである。


それを踏まえて『ウテナ』という作品は、青年が抱える大人社会への絶望を驚くほど真摯に汲み取り描きあげて見せることで、「卵からぬけ出ようと戦う」姿勢を、現代社会のみならずどんな時代・地域にも広く通じる普遍性と、見る者一人ひとりの心を強く揺さぶって見せる極めて個人的な切実さとの両方をもって、全力で表現して見せた作品であったと言える。まさにあのアニメは、『デミアン』を初めとするいくつかの古典文学と同様に、一人の青年の人生を根底から変革してしまえるチカラをもった作品であった。なぜならこれらの作品は、人が生きるということの意味について、そのもっとも根本的な価値について問いかける作品であったからだ。


子どもから大人への成長、それに伴う恐怖や嫌悪感、世界システムの絶対不変の不条理性、自分の生きている意味や人生の価値・・・。こういった、じつに『ウテナ』的要素が随所に盛り込まれた今作に、新たに、卵から孵化するというイメージとしての「インキュベーター」が登場したことで、さらにいっそう『デミアン』的な匂いの強く漂う作品になってきた。ここまでやっておいて、『デミアン』で扱われたテーマを今作なりに解釈し提示してくれなければ、いったい何になるんだという個人的な想いがあるのだけど、果たしてどこまでのことを今作がやってくれるか。ただモティーフだけ借りてテーマの掘り下げがまったく行われなかったら大いに失望するぞ、と予告しつつ、しかしこの期待がひとりよがりなものであるかもしれない不安に苛まれながら、今後のキュゥべえと魔法少女たちの物語を見守っておくことにしたい。


・・・どうもセリフを思い返すと、自分の期待とはまったく違う方向に行くんじゃないかと思ってしまうのですがw 




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それでは、今回は以上です。

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