夏のあらし!感想

※シリーズ通しての感想になります。

個人的には今期の最高傑作!!

ネット上では他の流行作の影に隠れていまいち人気のほどを実感できない今作ですが、演出といい話の組み立て方といい、極めて優れた作品でした。

自称・シャフト教大沼派信者ですので、かなり色眼鏡で見てる部分はあるかもしれませんが。


作画・演出に関して

シリーズディレクターの大沼氏が、「ef」シリーズで非常に効果的に用いていた技法を、作風のまったく異なる今作においても巧みに取り入れてうまく料理していたと思う。光の使い方、舞台セットのような背景、オーバーなポージング等々、近年の他社作品にくらべてきわめて演劇的な演出法で、たとえば「少女革命ウテナ」における演出と路線が近い。またそうした演出を引き立てるカメラワークも面白かった。

また、そうした表面上の劇の描き方と、まるで前衛芸術のような抽象的な映像表現とが違和感なく混在しているところもさすがだと思う。とくに空襲のシーンでは、「戦争をいかに描くか」という、映像表現において誰もが直面する難しさに、正面から挑んでひとつの回答を提示していた。詳しくは第6話の記事 http://coffeemonster.at.webry.info/200906/article_4.html で述べているので参照していただきたいのだが、アニメーションの持つ可能性を追求しつづける新房作品には毎度ながら脱帽させられる。



ストーリー・脚本に関して

原作を知らないので単純な娯楽作品になると予想していたのだが、重々しいシリアス展開を交えながら、予想以上に心情を揺さぶる作品であった。1クールものの場合、中途半端な展開で終わらせる原作宣伝アニメになってしまいがちなものだが、13話の中できちんとストーリーで魅せる作品に仕上がっていたと思う。

1話にいきなり面倒くさいギャグ回を持ってきたのは、最初は大失敗だと思っていた。登場人物の紹介も兼ねた回だったのだが、タイムトラベルものはどうしても、直感よりも考えて理解する話になるので、キャラの設定や関係を理解していない段階で、頭を回転させないと分からないギャグを見せられても魅力が半減してしまう。何話か視聴したあとに改めて見ると大変面白い回なのに、もったいないなぁと思っていた。

ところが、13話を見て、この構成に納得。原作との兼ね合いがどうなのかは私には分からないが、本編のほうは11話分できちんと描けていたので、最終回に気兼ねなく楽しめるギャグ回を持ってきて視聴者にいい気分で帰ってもらうのに1話を伏線にしたというのは、作戦として実にうまい。また最終回はOP映像で使われたポーズを各キャラにやらせたり、シーンごとにコスプレが変化したりと、視聴者を面白がらせる仕掛けがたくさん散りばめられていた。見る側も、それを罠だと分かったうえで安心してニヤニヤできる余裕があるように、作り手のほうでうまく調整してくれていたように思う。まるで作り手が、視聴者と一緒になって劇を楽しんでいるように見せるネタやパロディの使い方は、シャフトのお家芸といっていい。



本編は、意外とシリアス展開に占める時間が大きかった。作風からいって、もっと遊びの多い作品になるかと思っていたのだが。ただそのシリアスな展開へ持って行くまでの構成はじつに上手かったと思う。序盤はシャフト作品らしい、ナンセンスなギャグがほとんどで、いちど空襲の中へ人助けに行ったときもそれほどシリアスには描かず、むしろ人情もののドラマであった。

しかし、ヒロイン達が空襲で死んだ(?)幽霊であるという重い設定を、ところどころで実感させるセリフや演出が挿入してあって、単なるギャグアニメとして楽しむには若干のとまどいを覚える場面が散りばめられていた。そしてそれらを土台として、第6話、潤が空襲のさなかに放り込まれたりカヤの秘めた恋心が描かれる場面が描かれるのだが、まるまるシリアスに展開したこの回が決してそれ以前のギャグパートから浮いてしまうことなく、むしろこの暗い設定こそが物語の根底にある作品なのだと実感させられることになる。そしてだからこそ、過去における人助けが正しい行為なのか(歴史的観点からも、また一たちの命の問題でも)という問いが発せられ、それに対する回答としてグラサンの出生の秘密が明かされた時の感動を生みだすのである。この一連の流れは描き方に失敗すると何の共感も感動も得られることなく流されてしまいかねない部分だが、ストーリー構成と演出のうまさ、そして暗い設定をギャグパートで包み込む絶妙なバランスの取り方が、この作品を笑いも感動も味わえる大変魅力的な物語に仕立てあげることに成功していると思う。


あと高山カツヒコさん監修の特撮シーンが2,3回ありましたね。この人のストーリー構成・脚本の力量も素晴らしいものがあったけれど、こういう無駄なトコに力入れるのって大好きですよ。


キャラクター・演技について

とりあえず潤には萌えさせていただきました。もちろん、大好きな野中藍さんや名塚佳織さんの演技も堪能させていただきましたが。藍ぽんは中盤までCパート要員だったのが残念だったし、各回ラストの叫び声が印象強すぎてあまり萌え的楽しみ方はできなかったんですがw
杉田さんのモブキャラは神懸ってましたね。シャアとアムロには盛大に吹きました。杉田さんがシャフト作品に関わるようになったのは絶望シリーズからですかね?たぶん「らきすた」での活躍を見て、シャフト作品にも採用されるようになったのではないかと推測。それにしても、シャフトは声優ファンを楽しませるよなぁ。「ぱにぽに」なんかまさにそうなんですが、絶望2期のキャスト入れ替えとか、今作の挿入歌とか、ネタ要員としての活躍の場を与える機会が多くて楽しい。

あとシャフトでは毎度おなじみの小ネタ群。こんなものすべて理解しろってのが無理だって毎回思うんだけど、今回は昭和ネタが多くて余計分からなかった。Cパートも、ドラえもんとかまちこ先生とか、よほど有名なトコ以外は理解できませんでしたわ。本編中、客席にいたモブも、しゃべる人しゃべらない人含めてネタが多そうでしたね。「まりほり」のゴッドとかがいたのは気づいたけど。。。スルーしても問題ない部分ではあるけれど、2度3度と見て探したくなってしまう部分でもある。



音楽等について

EDは神曲。OPは最初聞いた時いまいちだと思ったけれど、だんだん慣れてきた。映像も面白かったし。「まりあほりっく」で見せた尾石さんのOP映像とは作風の違いが大きく出ましたね。OP映像だけ見ても、デザイン志向の尾石さんと演劇志向の大沼さん、という構図が見て取れると思う。その尾石氏のターンは7月からの「化物語」。こちらも期待したい。
シャフト作品はやはり音楽に恵まれてる部分があると思う。どういうモノを持ってきたら効果的か、というのをよく分かってる感じがしますね。BGMは作風によく合っていたし、昭和の名曲を声優さんに歌わせたのもよかった。昭和末期の生まれである私には分からない曲も多かったけど。CD出たら買うな、きっとw



総評。とてもいい作品でした。大沼心さんや高山カツヒコさん、また新房監督とシャフトの今後の活躍に大いに期待。




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