ティアーズ・トゥ・ティアラ 第21話「初源の歌」

前回からそのまま続く話。1週間のブランクがじつにもったいない。Aパート終盤まで過去話を引っ張ったうえで、そこから目覚めたタリエシンが、CMを挟むカタチで活躍をするという展開になっていて、せっかくの感動的なエピソードなのに、TV放送という媒体ではちょっと残念なことになってしまっていた。


このエピソードは前々回からの3話構成であり、DVDなどで連続して視聴する場合は、90分間の一本のドラマとして認識することができるので、このような構成でも問題ないというか、むしろかなりよく出来たドラマになっているのではないかと思う。しかし我々としては今放送されているモノで判断しなければならないということで、30分の枠内では構成の整合性がイマイチ取れていないこういった回を見せられると、少し戸惑ってしまう。まぁ、すでに20話も放送してきたということで視聴者層は完全に固定されているし、全体を貫くストーリーを重視しているということは、それだけストーリー展開に自信を持っているということでもあると思う。だからこそ、今回のような、TV向けではない構成を採用できたのだと思う。

とはいえ一応、CMの直前に敵の強大さを描いておいて、CM明けに戦闘を持ってくるという構成は、TV放送時の印象をちゃんと考えてくれてはいる。けれどもいつのまにか巨人族を仲間につけていたりして、前回の過去話の裏では面白い動きのありそうなエピソードが展開していただろうに、それをばっさり切り捨ててしまったのはやはり、エンターテイメント的には失敗だ。そんなリスクを負ってまでアロウンの過去を描いたということは、やはりこの作品はただの娯楽作品ではなく、視聴者へ向けて重要なメッセージを発信しようという意気込みが見て取れる。





ミルディンの罪をつぐなうというのは、少女に対する洗脳だった。白の精霊たちはそれだけ、智慧を身に付けた人間の存在が怖かったのだろう。

前回の記事では、ミルディンが少女を助けたのは同情だけではないと書いたが、今回のルキフェルはむしろ少女に対する同情によって動いていたように見えた。いやむしろ、どこまでも正しい評価がなされず、消滅してなお厄介者扱いされる父ミルディンへの憧憬が、ルキフェルの第一の行動原理だろう。春の訪れた大地はたしかに美しく、ミルディンの業績の正しさを証明していた。しかし肝心の少女の扱いにおいて、ミルディンの想いと行為が踏みにじられていたのを見て、憤りを感じたというのがあったのだと思う。

少女に春の心地よさをなんとか語らせようとしたり、白の精霊と決別する際の、ルキフェルの表情や言動からはそういうふうに感じられた。彼が人間という種族の価値に気付くのは、その後になってからだったろう。そのあたり、彼がミルディンの思想をちゃんと理解できていたかどうかは、ちょっと疑わしい。




自由。ルキフェルが少女に与えた第一のものはそれだった。



人よ、自由であれ。

常に自由であり続けるよう、間断なく努力し続けよ。

それが、生きるという行為である。






ところが、タリエシンはこのエピソードを見て、人間の持つもっと違う価値を感じていたようだ。いや、究極的には自由のため、生きるためということになるのだが、彼は人間たちが、弱い者を守るようにして寒さに耐え、死んでいった光景を見て、それを自分の使命と重ね合わせたようだ。


タリエシンがアロウンに語った言葉に、「この道は、王道になんて繋がっていない」というものがあった。彼が決意していたのは、仲間を、人間を救うための自己犠牲。大勢の人の利益のために、少数の人を切り捨て、犠牲にするというのは、覇道のやり方だ。王道をゆくのであれば、一人も犠牲を出さないやり方を模索するはずである。この場面は、そんな理想論が通用しない状況であるために、タリエシンはあえて覇道のやり方を採用した。しかし、王道を目指すアルサルやアロウンにはそれに関わらせない。間違ったやり方を採るのは自分だけでよいというのが、タリエシンの意図だったろう。こういう部分で、少しづつ、今作のメッセージの根幹に関わる「王道」という言葉を表現しようとしていると思うのだが、果たしてどれだけ視聴者に伝わっているか、ちょっと頼りない描写の仕方ではある。


初源の歌の壮大な描写があり、つづいてアルサルの悔しさを滲ませるセリフ、そしてエポナの悲しみのこもった歌を聞かせるといった具合に、タリエシンの死というドラマを、いくぶんありきたりな(と思われそうな)展開で描いてしまっていただけに、見方によっては、ここらで一人殺しておけば盛り上がるだろう、などと制作者が意図しているのだと、視聴者に受け取られかねないのが、見ていてじつにむずがゆい。この作品が完結するまでに、なんとかもっと明確なカタチでメッセージを提示することができれば、今回のタリエシンのセリフもすごく生きてくるとは思うのだけれど。。。




今回はアルサルがまた新たな決意をしたような様子だったので、これから一層、過去の話や主人公たちの因縁が明らかになっていく展開だと思われる。ずいぶん前に話の出ていた、妖精王の持っていたという剣を探しに行くようだし。この作品が何を目指しているのか、そろそろ本格的に描かれる段階になってきたのかもしれないと思うと、期待が高まってくる。


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