戦場のヴァルキュリア 第26話(最終回)「決戦」&シリーズ感想

中盤、何話か記事を書いていた手前、シリーズ感想を書かないわけにはいかないだろうと思ったので、書くだけ書きます。完全に批判記事ですので、ご注意ください。



もったいないなぁ、と思う。戦争モノで、魅力的なキャラが揃っていて、主人公が知将タイプで、ツンデレのヒロインに純真な妹キャラ。これだけ自分好みの素材が揃っていて、絶対に気に入る作品になると思っていたのだけど。


あまりに陳腐で、意図の不明な、言葉は悪いがまったく下手クソな作り方にがっかりだった。最終回はまさにその象徴的な回で、なおさらゲンナリした。終わりさえ良ければ株を上げることだってできたろうに。



まず今作のどこに期待して、どうして失望したかという点を書こう。


自分は、今作にはやはり戦争モノとしての熱いドラマを期待していた。正直恋愛要素はあまり興味はなかった。

なんといっても自分は戦争モノが大好きで、本当は火器出現以前の戦いが一番好きなのだが、今作くらいのテクノロジーなら十分、戦争がまだ人の手によって行われているので、ストライクゾーンだ。(これが現代戦になってくると、もはや戦争が科学になってしまって、人間の入りこむ余地が見えなくなってくるので好きではなくなってしまう。)


ところが、どうも序盤から、戦術の描き方が甘く、突っ込みどころが多くて、あまり燃える展開になっていなかったのでアレ?っと思っていて、それが「ファウゼンの選択」あたりでようやくマトモになってきたかなと期待してたのだけど、それ以降はますます戦争描写がおざなりになって行ったことに、はっきり失望を感じた。


過去の記事でも書いたのだが、まず戦略面の説明や描写が全くなく、劇中どんな状況になっているかというのを、スタッフが描く気がないのだというのがはっきり感じられた。まぁ、それは、主役が小隊長だというのを考えれば、戦略はどうでもいいという側面は確かにあったろう。しかし、戦況を分かってないと登場人物たちに共感しきれない部分が出てくると話は別だし、終盤、戦争の動きが大きくなってくるあたりでは、戦局の説明はぜひ欲しかった部分だ。


それに加えて、肝心の戦術面の描写は、これはまったくもって描写力が不足していた。戦場の描写にはなんのリアリティも戦術的な整合性もなく、あからさまなご都合主義が満載。例えば最終話では、敵はばったばったとやられていくのに、第7小隊にだけは弾丸が当たらない。ウェルキンなんか、光線食らって何度死んでることか。あまりにも主人公補正全開のその描写は、開き直りすぎてむしろ清々しささえあり、まったく緊迫感のない場面に失笑がこみ上げてくる。これが、程度の差こそあれ、シリーズのほぼ全体を通して行われてきた戦場の描写だった。


はっきり言って、今作のスタッフは戦争を知らなすぎる。

これは実際経験したことがないという意味ではなく、どうすれば戦場を描くことができるのかを知らないということだ。それに、ドラマとしての戦争の盛り上げ方も知らない。脚本もそうだし、映像演出はなおさらだ。

この作品に取り掛かる前に、歴史小説や、あるいはヘロドトスあたりでも読んだらよかったと思う。戦争の描き方としては、素人以下の出来映えだったと酷評しておきたい。





さてそうなると、肯定的に作品を捉えようとするなら、今作において戦争はあくまでオマケであって、そこで描かれる人間と人間の絆こそが主題であったのでは、という話になるだろう。私も、戦争描写が残念だと思った時点で、作品の見方を変えようと思っていた。


ところが、その点についても、これだけ魅力的なキャラデザでありながら、極めて残念な出来だった。


今作の描写力不足を痛感したのは、中盤、ロージーがイサラに、なぜ自分がダルクス人を忌み嫌っているのかを打ち明け、二人の対峙と和解が描かれるシーンである。ここは第7小隊の人間関係における重要な転換点であり、ロージーというキャラの最大の見せ場であって、しかも後々のイサラの処遇をも考えると、中盤においてもっとも重要なシーンのひとつだったと言える。しかしそこで描かれたのは、脚本的には無難でさして盛り上がらないセリフ回しであり、映像的には、なんの感情表現もできていない、いつも通りの演技しかしないキャラクター描写であった。


アニメにおける”演技”というのは、なにも声優の演技のみにとどまらない。作画演出上の問題として、キャラクターの動作や表情で、どれだけその心理を描くことが出来るか。この、キャラの演技というものが非常に大切になってくる。何でもないシーンならさして動かさなくても構わないけれど、そのキャラの一番の見せ場であり、心情を吐露する場面において、キャラが迫真の演技が出来ていなかったというのは、これはアニメとして重大な過失である。ここの描写力不足が、ロージーというキャラの掘り下げができずに、見ていて何の共感も得られないという事態に直結していたわけで、ここの描き方は激しく疑問である。


同じようなキャラクター描写の弱さというものが、以降、ドラマがシリアスに加速していく中で、ますます散見されるようになっていった。セルヴェリアあたりはそれでもかなりいい演技が出来ていて良かったのだが、最終回におけるキャラ描写はまたひどかった。ここはアクションシーンでもあり、また各キャラとも感情が大きく動く展開であって、どうしてこのシーンで、棒立ちになったまま顔と口だけ動かすなどという芝居をさせるのか、理解に苦しむ。まったくの素人が学芸会などで演劇をやるとちょうどあんな動きになるのだけど。


ここは脚本もひどかったなぁ。仮にもプロだろうに、もっと真面目に劇を作って欲しい。それとも、あまりに陳腐な展開に脚本家もやる気をなくして、無理やりまとめるしかなかったのだろうか。


結局、今作は人間ドラマとしても恋愛ドラマとしてもまったく中途半端なままだったし、戦争ドラマとしては最低だった。


こうなってくると、もはやヴァルキュリア人のトンデモ設定とか、マクシミリアンのやりすぎな兵器とか、もはや突っ込む気力がない。鼻で笑うしかなかったわ。



2クールも枠を確保しておいて、なにこの出来損ない。
そういう印象だった。


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この記事へのコメント

2009年09月27日 05:25
ははは、言いますねぇw。
自分以上に不満をぶちまけてくれて、なんか気分がスカッとしましたわ。自分は戦争モノは嫌いだし、恋愛モノも苦手。それでも、見る価値はあったというのが、時折、見せる人間関係。脚本が横手さんの時はそれなりに見所はあったんだけど、その他はだめですね。これは監督が悪いんでしょうか、脚本が悪いんでしょうか?
そこら辺のアニメスタッフ事情を知らないので、酷評できない部分があります。

だから、イサラが死ぬまでは、スタッフと同じ戦争モノに知識がない私でも、それなりに楽しめたんだけどなぁ。むしろ、戦争シーンは省いてくれて結構みたいな感じでしたw。恋愛ドラマも途中から恋愛じゃなくなってきましたものね。ファルディオがアリシアを撃った時点で恋愛モノじゃなくなりましたw。
おパゲーヌス
2009年09月27日 12:55
>ヨークさん
コメどうもです。はっきりいって、現代においてこんなひどいアニメが作られたことに驚きなのですが、しかしイサラ死ぬ前後あたりも、すでにこの作品が嫌いになっていた私はほとんど感情移入できなくて弱りました。このあたりは、「嫌い」と「評価低い」がかなり連動してしまった結果です^^

ヨークさんとこの記事とコメ読ませていただきましたが、自分は今作の批判のやり玉に挙げるべきはシリーズ構成の横手さんではないかと思ってます。まぁ監督もですが。ストーリーの方向性を間違えちゃったのはこの二人でしょう。原作知らんけどw

横手さん、「かなめも」ではいい脚本書いてて、やっぱ実力あるなぁと思うのに、戦闘シーンは素人でした。大和田氏はまだよかったけど、この人も大軍同士の会戦を描く力量はなさそうだと、今回感じましたね。あの「コードギアス」でさえ会戦シーンはおざなりだったのを考えると、戦場を描くことの困難さがよく分かると思いますし、それが出来ているアニメ(ファーストガンダムとか)はすげぇと思います。
セガの本音
2009年09月27日 13:38
      ゴガギーン
             ドッカン
         m    ドッカン
  =====) ))         ☆
      ∧_∧ | |         /          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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おパゲーヌス
2009年09月27日 14:23
>セガの本音さん
ご訪問いただき大変ありがたいのですが、どうか意味も意図も不明なコメントを付けるのはおやめください。迷惑コメと見做して削除させていただくことになるかもしれません。
おパゲーヌス
2009年09月27日 19:25
ぐはっw
↑のコメで大和田氏とか書いてるけど、大和屋氏でしたねwごめんなさいw

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