亡念のザムド 第21話『禁猟区潜入 「泣いたら負けだ」 フサはずっとそう思っていた』

涙腺崩壊。おっさんとおばさんのキスシーンがこんなに魅力的だとは。

もうね、野村祐一はほんとうにすごい。なんでこんなにいい脚本書けるんだこの人は。フサの涙にしても、あるいは垣巣中佐の涙にしても、彼らの記憶とか過去にまつわるエピソードなんてまったく描かれてないので、こっちは彼らの背景を全然知らないわけで、それなのにここまで彼らのあふれる感情に共鳴させられるなんて、どんな魔法を使っているのかと思ってしまう。またその、一番盛り上がるシーンを描くのに、その前後に配されたひとつひとつのセリフの効果、そして展開の構成といったものがじつに見事。垣巣中佐の場面における須磨子や血、フサを描くときの弁当や手紙、離婚届など、物語を象徴させるアイテムの使い方もとても上手いし。今回に関してはタイトルもまた物語を深めるいい効果を発揮していた。


また公式サイトの各話紹介で、寺東克己の絵コンテの良さが指摘されていた。この作品の絵コンテは毎回素晴らしいと思うのだけど、今回はとくに、涙を流したりして感情がむき出しになるシーンで、キャラクターにどう演技させるかという部分でとてもいい仕事になっていたと思った。そしてその場面の周囲で、プロイや司令官らが、人間味のあるいい動きをしていて、劇を盛りたてる。アキユキやナキアミの出番がとても少なかったのに、思わずこっちが本筋なのではないかと錯覚してしまうほど、脚本も映像もクオリティが高かった。




「泣いたら負け」。今回はフサも中佐も完全に負けていたね。垣巣中佐は、ここにきていよいよ人間性が複雑になってきている感じ。汗馬博士に頭を下げたのは、本音も交えつつの演技だろうが、老人を上手く手玉にとってしまった。しかしアザミに対して暴力的な態度に出てしまったのは、心の奥底を覗かれることに対する防衛本能が働いたか。とても悲しい人として描かれていて、本当に憎めない人物だ。プロイとのロマンスシーンがある一方で、今回のヒーローであるおっさん三人衆を出し抜いて見せたりと、清濁併せ持ったじつに魅力的な敵役だ。


一方で本来の主役たるアキユキとナキアミ、また伊舟などは、描写としてはごくわずかではあった。しかしそちらも確実にストーリーが進行しているというのをしっかりと印象付けていた。

伊舟と雷魚の動きは、戦争好きの自分としてはとても期待してしまう。戦場のシーンは次回あたり描かれるのかな。某戦車アニメと違って、さりげないシーンでもちゃんと戦術考証をしてあるように描けているのがとても嬉しい。しかし、ザンバニ号で世界を飛び回る前は普通に戦場にいたような描写だったが、ザンバニ号にいた時間がずいぶんと短そうな印象だったのにはちょっと違和感があったなぁ。もし数年間も船にいたという設定なら、「戻ってきたか!」という場面はもっと驚きや感動が大きいはずだし、わずか数カ月の離脱であったなら、いままで描かれてきたザンバニ号の様子があまりにも生活臭が強い。彼らがどういう動きだったかというのは、そのうち語られるのだろうか。



また、ヒルケン皇帝が虚無だという話だったのにはちょっと驚き。もちろんまだ多くの設定が伏せられているので謎だらけだが、前に黒目玉がアキユキに言っていた「早く私を殺しに来い」というセリフの意味の一端が垣間見れた。そして以前から出ていた大巡礼がどうこうという話も、ぼんやりとだが、その輪郭が推測できる段階に入ってきている。
ヒルケン皇帝とアキユキの対峙は、恐らく、作品の持つメッセージを強く打ち出すイベントになると思うので、こちらも期待が膨らんでくる。

しかし胎動窟のイメージって、やっぱり「ナウシカ」の墓所なんだろうなぁ。もちろんその設定や、込められているメッセージまで同じだとはさすがに思えないけれど。どう描いてくれるのか、楽しみだ。




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