ささめきこと 第1話「ささめきこと」

また青春の古傷を深くえぐってくるドラマが始まったなぁ。


百合を題材にした青春ドラマというのは、やはりついこの間までやっていた神アニメ「青い花」を連想せずにはいられないわけだけど、原作未読のまま公式サイトを見てたら、「青い花」よりももっとコミカルな群像劇になるのかなぁと、多少は軽い気持ちで視聴した。そして、予想より遥かに泥沼な展開に焦りましたw


どこまでも一方通行な想いのベクトルの、複雑に絡み合った残酷な物語を、第1話からがっつり見せつけられるとは思ってもみなかった。しかもこれが序章であって、次回以降さらに多くのキャラが登場し、友情と恋愛の狭間でゆらぐ愛憎劇が描かれるのかと思うと、これは相当、肝を据えて見なければならなくなりそうだ。もうこうなると、わりかしポップな印象のキャラデザだとか、大好きな女装っ娘が登場するらしいとか、そんな軽いノリの期待感は捨て去ったほうがいいのかもしれない。もちろん次回以降どんな方向にドラマを転がしていくのかにもよるが、現時点では完全に、先制パンチを食らった格好だ。


今回の話は風間の恋の顛末を描いていたように見えて、実情はむしろ村雨純夏の心情をこそ中心に描いていた話だった。風間の恋愛をいまいましく想い、思わず彼女を邪険にしてしまった純夏が、友情の暖かさを思い返し、友人として手を差し伸べる。しかし今度はその友人というポジションを思い知らされることで恋の失望を味わうことになって、、、というように、恋と友情とを行き来する純夏は、まるで振り子のようだ。どっちつかずで、ひとつところに腰を落ち着けることができない。


恋と友情の対比は、そのまま、まだ見ぬ大きな幸福か、すでに手にしている小さな幸福か、という対比でもある。幸福を追い求めることの愚かしさは、人の背負う宿命であり、原罪だ。純夏の涙は、それをよく象徴していたと思う。きっと必要なのは”かんたんなこと”。それに気付けない、気付こうとしない愚かな人間が主役だからこそ、心を打つドラマが描けると言うのは、なんとも皮肉である。





主人公たちがむつかしい問題に取り組んでいる中での、鳥追きよりのコミカルな立ち回りは大きな救いだ。シリアス劇における道化の役割は重要なので、彼女にはただの癒し要員にとどまらない、大きな活躍を期待したいところ。それとも、道化ではなく、恋愛ドラマの舞台に登ってくる展開とかあるんだろうか?ただその前に女装っ娘と、冒頭でキスしてたキャラあたりが前に出て来そうだ。読書好きらしいデコメガネは個人的にポイント高い。





今回すごく気になったのは、BGMの使い方だろうか。落ち着いた曲調のBGMが多かったが、バックグラウンドというにはやたらと音量が大きく、こういうタイプのBGMの役割(劇中の空気感の形成)からすると不自然なくらいだ。これはもはやBGMの域にとどまらない演出で、音によってキャラクターやドラマを描写しようという意図がはっきり表れていた。


”音によって”というのは、音を、絵やセリフと同じように、場面描写を構成する重要な要素として意識的に用いているということだ。普通なら、場面の雰囲気に合うように決まったパターンで曲を流すことが多い。もちろん今作でもBGMがそういった使われ方をしている場面はあるが、特徴的なシーン(例えば風間が純夏に「ずっと友達でいてね」と言ったシーン)で、通常のBGMの用い方とは明らかに異なる、強い音や、ボリュームの大きな曲を流している。そうすることで、音の持つ感情表現力をよりダイレクトに提示しようという意図だろう。


もちろんこういった手法は古くからあるが、今作はそれを、嫌みを感じさせないように、巧みに活用して見せていた。絵とセリフと音、この3つの要素を複合的に用いることによって、ドラマがまるで建築物のように立体的に立ち上がっているように感じられる、優れた演出だったと思う。





お話としても、また映像や演出においても、第1話時点ではかなり高く評価できたので、これは次週以降も大変楽しみだ。ミクシィのニュースで根拠もなく「秋アニメは不調」などと書かれていたが、全然そんなことないじゃないかと、胸を張って言えるような作品のひとつになると期待。



ところで今期はAIC系列が3つですか。同時期に作品を集中させることに、企業として何か意味や意図があるのだろうか?


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この記事へのコメント

2009年10月08日 16:07
>ところで今期はAIC系列が3つですか。
そらのおとしものはAICアスタ、と別スタジオなので実質二つじゃないですかね。
AICは業務を完全に社内で割ってますから、合計三つもやるのは数撃って当てる作戦じゃないでしょうか。たぶん。ゴンゾがそんな感じで大変な事になってしまったので心配ですが、質はおパゲーヌスさんもおっしゃる通り良いものが出来そうなので大丈夫そうかな?
おパゲーヌス
2009年10月08日 18:09
>神酒原さん
サンレッド入れたら計4つでしたね。2つづつということで制作体制としては大丈夫なのかもしれませんが、戦略として何か意図があるのか、たまたまなのか、ちょっと気になりました。ゴンゾと同じ轍は踏まないで欲しいですね。シャフトとか怖いよw

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