ささめきこと 第13話「CALLING YOU」&シリーズ感想

つながらない、会話。


事だと思った。携帯世代の恋物語として、届かない言葉のもどかしさを情感豊かに描き上げた脚本の素晴らしさ。色と視線を巧みに用いながら、セリフ以上に多弁に語りかける映像演出とカメラワーク。そして、秘めたる感情の起伏を少ない音数でダイレクトに表現してしまうBGMの用法等々。


第1話から随所で用いられてきた演出の妙を、30分の時間の中に凝縮して見せた。地味ではあるが、非常に良質のドラマだった。




ながらない、会話。それが、今回のエピソードの主題だったろう。


携帯がつながらずに純夏と風間が会話ができない、というだけではない。純夏も風間も、周囲の人間とのコミュニケーションが半ば壊滅状態になっている。セリフの方向性と、想いの方向性がまったく噛み合っておらず、会話のキャッチボールがまるで成り立たない。各キャラクターがそれぞれ強い想いを発しているのに、そのベクトルが完全に向き合うことがなく、常にすれ違い、交錯できずに、不安感ばかりが募る。


この構図はしかし、今作では第1話の頃から繰り返し描かれてきたテーマでもある。どこまでも一方通行の、報われない片恋の物語。中盤以降のコミカルな展開に引きずられて忘れてしまいがちだが、「ささめきこと」はそういう作品であった。それを改めて描き、しかしながら初めてそこに変化(=希望)を加えたのが、この最終話であったと言えるだろう。




局、純夏も風間も”仲の良い友達”の状態から抜け出たわけではない。その意味において、恋愛ドラマとしてはまったく未完結の幕引きであったのだが、「ささめくべき秘密」を描くというスタンスの今作においては、もっとも美しい終わり方だったのではないだろうか。


いまさら今作を「青い花」と比べるのも愚かしいが(もはや同系統の作品だと思ってる視聴者は皆無であろう)、しかし一応、友達であった少女同士が恋愛感情を募らせていくという共通点があるこのふたつの作品。1クールを消化してどこで幕を引くかという問題に関して、あくまで友達同士という関係に終始していたのも同じであった。


ただ、より観念的な青春ドラマという様相の強かった「青い花」に比べ、もう少し生々しい感情をコミカルに描く傾向のあった今作は、よりエンターテイメント的であった。高尚な恋愛感情と下劣な煩悩を併せ持ったキャラクターの、心理の揺れを見て楽しむ作品であったと言える。そんな等身大の片想いを注意深く描写してきたからこそ、今回の最終話のエピソードが際立って美しい印象を与えていた。


あくまで、まだまだ片想いの段階。でも少しだけ、前進することができた喜び。13話も使ってその程度の前進にとどまっているというのは随分と気長な話ではあるが、そのわずかの前進に心ときめかせる作品であったし、また冗長にならないよう丁寧に作り上げてきたのが成功に結びついていたと思う。




画や演出について、


今期の他の作品に比べて、絵づらはとにかく地味だったと思うw そもそも動きのある作品ではないし、それを無駄に動かそうという意識も無かったように見える。場面ごとの表情の変化(とくに視線)さえきちんと提示できていれば、あとはそれほどオーバーな芝居をさせなくても良い、というスタンスだった。これは手を抜いたとかそういう話ではなく、あえてそれを作風として定着させようという作戦だったと思う。オーバーだったのはコメディパートでのデフォルメと純夏のセリフくらいで、それも、今作だから比較的オーバーに見えるが、もっと派手なことをやっている作品はざらにある。


その一方で、色の使い方や画面の構図の取り方には、細心の注意を払っていた。私のブログでは何度も指摘させて頂いたが、背景色の青と赤の切り替えによる空気感の転換は何度も行われていたし、例えば信号機の色でキャラの心情等を間接的に表現しようとしたりするなど、随所で象徴的な映像表現の工夫が試みられていた。また、キャラが動かない作風だと書いたが、その一方で一枚絵としての構図に意味を持たせるカットが非常に多く、カット割りに大きな意味を持たせる映像表現であった。


また演出でとくに注目したいのが、BGMの用い方だった。これも何度も書いてきたのであまりくどくど説明する気は無いが、こちらも地味で動きの少ない曲を揃えておきながら、音を挿入するタイミングや音量にかなり気を配っていた。先に音楽ありきで描いたのではないかと思う場面もあり、ただ劇を彩るだけではなく、劇を組み上げる重要なファクターとして、BGMを活用していた。ここは高く評価したい。




体的に見て、脚本、映像、音楽等、アニメを構成する要素が見事なまでの計算の上に噛み合っていて、職人技的な巧さを見せつけられた印象の作品だった。もちろんドラマとしても純粋に面白かったし、大変楽しませてもらった。


それと個人的には、斎藤千和の演技を堪能出来たのが嬉しかった。戦場ヶ原ひたぎも良い役だったが、「ぱにぽにだっしゅ」のファンとしては、みやこのような役柄はご褒美だった。とくに扇風機とフリーフォールが強く印象に残っているなぁ。



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