聖痕のクェイサー 第4話「女王様とあたし」(販促版)

今回の誘拐犯はなんだったの?


第3話ディレクターズカット版の感想はこちら



・サーシャとカーチャの邂逅


サーシャ×まふゆ&燈の主人公軸と並列関係になりそうな予感の、カーチャ×華コンビ。今回はカーチャだけが接触してきて、挨拶代わりの前哨戦を見せる回。同組織に所属しながら毛色の違う2つのグループのニアミスで、適度にドラマを盛りたてながら伏線を撒いて今後の展開に備える。デフォルメを多用したコミカルなシーンと、戦闘や謎をほのめかすシリアスシーンのバランスが、なかなかに絶妙だ。


コミカルなパートで、まるで別アニメに見えてしまうほどキャラ絵を崩しているのは前回までにも散見されたが、非常に可愛い。日常の穏やかさを直感的に分かりやすく提示できているし、とくに特別なことをしているわけではない無難な場面が、デフォルメ描写によって途端に魅力的な場面に生まれ変わる。


ところでこのデフォルメが、まふゆグループ(と仮に名づけておこう)の4人とカーチャグループの3人では、違った意味合いを持っているのは注目に値する。


まふゆグループの間では、サーシャをはじめとして陰鬱な背景を持っているキャラばかりなので(テレサは謎だが)、ともすれば暗く沈んで行きかねない心の危うさを抱えている。デフォルメ描写を多用して描かれる日常ドラマは、そんな彼らが自身の背負う重たい運命や現実の辛さから逃避し、たとえひと時の間であろうとも、人間らしい幸福に浸れる瞬間として、大変貴重な輝きに満ちた時間だ。


一方のカーチャグループにあっては、デフォルメ&コミカル描写はほぼそのまま、カーチャの猫かぶりシーンである。本性がどす黒い分、極めて軽薄な、取ってつけたような萌え描写。そのギャップが、劇を大変魅力的に彩っている。つい「まりあほりっく」を思い出してしまうが、持ち上げた際より堕とす瞬間にこそ魂のこめられた演出であろう。ジェットコースターのようなスリルこそが、このグループの会話劇・人間関係の肝である。




・暗躍する敵の存在


今回は、次に戦うことになるであろう敵役の顔見せ回でもあった。構成としては手堅い。次は何の金属を操るのでしょうねぇ。神の子よろしく磔にされた女性は、ソーマを吸われた後なのだろうか、かなり凄惨な光景だった。マグネシウムもそうだったが、ソーマ目当てで捕まえた女性を殺してしまうのは何故なのだろう。秘密結社だからか。どこかに幽閉して何度も乳を吸えばいいのにと思うのだけど、そうすることができない理由が、何かあるのかもしれない。


しかし、燈とテレサをさらったやつらはマヌケすぎて笑ったw いったい何だったんだろうこいつらは。アデプトに雇われたりしてたのか、何の関係もない連中なのか。はやくディレクターズカット版が見たいですな。




・名前に関する話


知ってる人も多いだろうが、知らない人の方が多いと思うので、ここでロシア人の姓名に関する話でもしておこうと思う。サーシャがその長ったらしい本名を名乗るシーンは、すでに何度も見せられてきた。これを覚える必要があるかどうかは謎だが、ロシア人の名前は日本や英語圏の名前とはかなり異なる法則を持っているので、それを知っておくと、今後このアニメを見ていく上で何かイイコトがあるかもしれない。いや、ないだろうけどさw


劇中や公式サイトによると、サーシャの本名は「アレクサンドル=ニコラエビッチ=ヘル」。苗字+名前に慣れた我々の感覚では、名前を3つも持っているという点に違和感(あるいはかっこよさ)を感じると思う。名前を3つ4つに区切る文化は少なくないが、ロシア人の名前に関して言えば、「名前+父称+苗字」というのが、一般的な名称の法則だ。


名前と苗字は分かるだろう。サーシャの場合、「アレクサンドル」が名前(ファーストネーム)で、「ヘル」が苗字だ。では、真ん中にある父称「ニコラエビッチ」とは何なのか。これは、父親の名前に由来するものである。「ニコラエビッチ(正確にはニコラエーヴィチ、だと思う)」とは、「ニコライの」という意味で、もっというと「ニコライの息子」という意味合いがある。ロシア人の名前にはほぼ必ず、「○○の息子(娘)」という単語が組み込まれるのだ。


逆に言えば、フルネームを聞くだけで、その人の父親の名前が分かる仕組みでもある。サーシャの場合は、父親(あるいはそれに該当する人物)がニコライさん、というワケ。仮にそのニコライ氏の父親(=サーシャの祖父)がピョートルさんなら、サーシャの父のフルネームは「ニコライ=ペトローヴィチ=ヘル」になる。ペトローヴィチとはもちろん、ピョートルの、という意味だ。


また、これは女性にもあてはまる。もし仮にサーシャに妹がいたとして、彼女の名前がアンナだとしよう。その場合、彼女の名前は「アンナ=ニコラエーヴナ=ヘラ」になると思われる。ロシア語の場合は単語に女性形とか男性形とかいうのがあって、同じ意味の単語でも性によってカタチがかわる。「ニコラエーヴナ」は「ニコライの娘」という意味だ。また女性の場合は苗字まで女性形にしなければならないのだが、私のロシア語力は英語で言えば中学1年生レベルにも達していないので、「ヘル」の女性形はたぶん「ヘラ」でいいだろうという、ただのヤマカンである。もし違っていたらごめんなさい。それに、そもそもヘルなんて苗字は英語のhellから取ってつけたものだと思う。


カーチャの場合は、「エカテリーナ=クラエ」という設定で、父称がない。これは何故なのか、現時点では自分には分かりません。まさか手抜かりとも思えないので、父無し子という設定があるのかも。これは今後に注目しておこうと思う。




名前の法則が異なるということは、その呼び方も異なる法則や習慣に基づいているということでもある。気の置けない友人同士ではファーストネームの略称で呼ぶ、というのは、すでに劇中で示されているので理解できるであろう。アレクサンドルはサーシャ、カテリーナはカーチャと、信頼を寄せる関係であることを呼び名で表している。ほぼすべての名前に略称が存在していて、ロシア文学を読むと前置き無しに呼称が変わったりするので、非常に厄介だったりする。


またとくに気をつけなければならないのが、敬称に関してだ。我々の感覚では、目上の人は苗字で呼ぶのが習わしであって、それは日本語も英語も同じであるのだが、ロシア語では、苗字で呼ぶのは敬称としてあまり好ましくない。もちろん、日本語の「○○さん」や英語の「Mr.」に相当する単語もあって、苗字で呼ぶときにそれを使う機会もあるのだが、それよりももっと敬意を表する呼称として、「名前+父称」で呼ぶ、というのが慣習である。


すなわち、サーシャとあまり親しくない人間が彼と会話をするとき、気安く呼んで斬りつけられたくなかったら、「アレクサンドル・ニコラエビッチ」と呼ぶのが正しい。もちろんサーシャは、日本人がそんな慣習を知るわけが無いと分かっているので、そのあたりを気にしている様子はないけれど。しかしもし今後、劇中のロシア人キャラが「名前+父称」で呼ばれているのを見たら、あぁ、敬語を使ってるんだなぁ、と思っていい。またロシア文学では頻繁に出てくる呼称なので、ドストエフスキーとかトルストイとかを読む気があるなら、ぜひ知っておきたい部分だ。




さて、余計な話をずいぶんと長々と書いてしまった。しかも偉そうな口調に見えるかもしれないが、前述のとおり、私はロシア語なんてちょろっとかじっただけなので、もっと詳しい人に聞いた方が正しく、分かりやすい説明を聞けると思う。あくまで参考として、こういう話もあるんだということで、お茶を濁させていただきます。




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