君に届け 第20話「プレゼント」

風早がヘタレ呼ばわりされてたのが面白かったw




・笑いながら泣けるAパート


前回は、千鶴が失恋に至るまでの過程を描写したエピソードであった。それを受けて今回は、失恋という事実を各自がどのように受け止めるかを描いたエピソードだ。


とくにAパートは、千鶴本人よりも、まずは周辺の爽子たちの描写から入る。深刻なシーンでわざとギャグアニメ風のデフォルメを用いるのは今作ではもはや定番の演出だが、千鶴のことを想って嘆き悲しむ爽子と矢野の描写ほど、この演出がぴたりとハマっていたシーンは無かった。絶望的なまでに打ちひしがれ、暗く沈んでいく二人の様子は、その想い、友情があまりに純粋で悲劇的な分、いっそう滑稽だ。声優の大袈裟な演技とも相まってそれはそれは可笑しなシーンに仕上がっていて、笑い声を押さえるのが大変だった^^


しかし、そんなふうに笑いながらも、同時に胸を締め付けられる悲しみに涙があふれ出てくるシーンでもあった。悲しいのに可笑しい。笑えるのに泣いてしまう。この感情をどう表現したら良いのだろう?




・親友たちのかなしみ


爽子と矢野の感情を正しく言い表すとするならば、それは「かなしい」という単語に集約されると思う。


かなしい、とは
自分の力ではとても及ばないと感じる切なさを言う語。悲哀にも愛憐にも感情の切ないことをいう。(広辞苑より)

とある。


今回、千鶴の親友たちが かなしんだのは、彼女の失恋そのものでもあるが、それ以上に、彼女に何もしてやれない自分たちの無力さだ。


ところで、ご存じだろうか。かなしい、という言葉は、漢字では「悲しい」「哀しい」の他に、「愛しい」という字をあてることを。厳密に言うと、「悲・哀」の字と「哀・愛」の字では意味が異なってきて、とくに後者はその意味するところがじつに多様であるのだが、しかし「悲哀」ではなく「愛」の字を用いる「かなしい」が存在することに、この語の奥深さがある。


「悲」とは相手の苦しみを取り除こうとする気持ちである。「哀」とは、可哀相だと思ってあわれむ気持ちである。「愛」とは、好きでたまらないと思いいとおしむ気持ちである。


こんな表現をすると国語の専門家からは怒られそうだが、しかし今回の爽子と矢野は、まさに「愛」のあるかなしみを、体現していたのではないだろうか。ただ悲嘆にくれる切なさだけではなく、親友のために何とか力になりたい、励ましてあげたい、そうして共に笑い合いたいという心からの同情。そこには、「悲」「哀」とともに、確かに「愛」が存在している。


こんな風に かなしんでくれる親友を持てたことは、千鶴にとって何よりの宝物であろう。胸がいっぱいになってオロオロするしかない当人たちに代わって、今回は風早が、そんな3人の固い絆を指し示してくれた。ほら、ここに救いがあるじゃないか。だから、存分に かなしんだらいい。そんな風早のメッセージが、私たちの胸にも深く届いたエピソードだったのではないだろうか。




・龍と千鶴の偽らざる気持ち


龍は、口数が少ない。しゃべるという行為に慣れていないのか、心に芽生えた感情を一生懸命に手繰り寄せて選別し、ぽつりと吐きだす僅かな言葉に万感の想いを込める。そのコミュニケーションは、爽子のものと良く似ている。


今回は、そんな龍の口数の少なさが、千鶴との間に亀裂を走らせてしまったのが、見てて大変心苦しかった。しかも爽子のときと違い、どうしても譲れない一言を口にしてしまったがための亀裂であったところに、龍と千鶴の関係性の微妙さが、浮き彫りになった。千鶴のためを思って、また自分自身の想いを伝えたくて発した一言が、まったく反対の意として伝わってしまう。しかしだからといって、本心であるその一言を撤回しようとはしない。そんな龍の決意が、たまらなくもどかしい。


しかし、千鶴が失恋の事実によってではなく、龍と喧嘩したことで感情を爆発させ大泣きしたというのが、この二人の面白いところであり、なおかつこのエピソードの肝なのだろう。千鶴の本心は泣き声の中で語られていたので不明瞭ではあったが、しかし彼女が徹のことよりも、龍に対して鬱憤を貯め込んでいたというのが伝わってきて、微笑ましい。


千鶴は涙を流すことで、少しは心を落ち着かせ、考えを整理することができたのだろうか。今後彼女がどうやって恋にけじめをつけるのか、はたまた龍との関係はどうなるのか、次回の展開を楽しみにしたい。




それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

まちゅぴちゅ
2010年02月25日 21:18
LIFE IS BEAUTIFULという映画を見れば泣き笑いの真髄が見れる。悲劇は喜劇であり、喜劇もまた悲劇になりえる。
君に届けは1話目から爽子の悲劇を喜劇として描いている。この手法は難しいがハマると凄い効果をもたらす(銀魂なんかもこの手法が多い)

悲劇を悲劇として描くのは手法としては容易である(ただし「やり尽くした」という最大の難点がある)
おパゲーヌス
2010年02月26日 00:45
>まちゅぴちゅさん
コメントどうもありがとうございます。

LIFE IS BEAUTIFUL ですか。こんどレンタルで探してみようと思います。悲劇を悲劇として描くのは、喜劇を喜劇として描くよりいっそう、易しいとは思いますね。もちろん、本当に素晴らしい悲劇は、どんなに「やり尽くされた」モノであったとしても、いいものですけどね。

きみとどの今後の展開に、否応なく期待が高まります^^

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