四畳半神話大系 第1話「テニスサークル『キューピット』」

面白すぎるってコレはw




・愚者の恋物語


西尾維新の作品が立て続けにアニメ化されたからか、最近のアニメはことさら「小説的な語り口」を売りにする作品が、増えた印象が強い。印象だけで何も論証できないのだけれど、もしこの印象が当たっているのだとしたら、これはとてもいい傾向だと思う。言葉というものの面白さを、もっと取り入れる作品が増えたほうがいい。


そうした点からも非常に楽しめそうな予感をもったこの作品。事前情報はほとんど無しに視聴したのだけれど、なんか滅茶苦茶面白かったぞw


とくに、コンプレックスのために雁字搦めになっていて、なまじ(悪い意味で)頭がいいためにその自分の状況を冷静に分析することができるため、自嘲したり自虐したり恥と絶望で狂い踊りそうになっている主人公が、とにかくキュートすぎる。愚かしい、どこまでも馬鹿な男が、恥ずかしげもなく一輪の花を咲かせようとトンチンカンに走り回るその姿が、前衛的なアニメーション演出によって剥き出しにされていく様が、心の底から痛々しさと愛着を覚える^^




・内外の視点の混在


面白いのが、この作品に付きまとうふたつの視点だ。


ひとつは、主人公に視聴者自身の内面や体験を投影させる”内的視点”。あたかもテレビ画面が鏡となって、アニメを見ている自分自身の暗部を映しだしているような感覚に陥るようで、それだけ主人公の怒涛のような”語り”と彼の行動が、男(それも、限りなく敗者側の男性)にとって異様に共感・共鳴できる描き方が、出来ているということだ。


しかし同時にもうひとつの視点があることも事実である。それは、我々視聴者が画面の外にいることを決定的に意識させ、コミカルな主人公の不幸をゲラゲラと嘲笑う態度を取らせる、すなわち”外的視点”に立って視聴できるよう、誘導していることだ。主人公のみじめなキャンパスライフは、そのぶっ飛んだ行動とその動機は確かに漫画的・アニメ的で、全然現実味を帯びていない。また空想的な映像演出とも相まって、我々は自分とはまったく異質の存在、異質の世界の出来事として、作品を鑑賞することになる。




例えば『吾輩は猫である』の面白さは、この”外的視点”から、人間の滑稽さを如実に描いて見せたところにあった。極めてシニカルかつ喜劇的に、本人たちは大まじめに生きようとしている人間たちを、斜に構えた態度で描きだす。そこで繰り広げられる群像劇は、いかにも現実にありそうで、しかしよく考えればまったく現実的でない、漫画チックなドラマであり、それを楽しむ作品である。


一方で「四畳半神話大系」第1話の面白さは、視聴者が自分自身を”内的視点”から見る(自己投影できる)ように主人公を描いてみせる一方で、同時に”外的視点”から皮肉たっぷりに、その自分自身を投影したキャラクターを観賞するように、仕向けている点にある。我々視聴者は、架空の世界の住人による滑稽な喜劇を大いに楽しみながら、ある時ふと、こう自問するわけだ。「おや、いま画面の中で馬鹿をやっている男は、この俺ではなかったか?」と。


まるで「胡蝶の夢」のような現実と非現実の倒錯が、そこにはある。しかし夢などという捉えどころの無い話としてそれを描くのではなく、男なら多くの者が抱え込んでいる、劣等感や、恥や、傷心や、嫉妬や羨望や逆恨みといった、下劣で悪質な感情を媒介としている点に、今作のポイントがあると思う。オリジナリティがあるだけでなく、エンターテイメントとしても、下世話な話なだけに俄然面白い。




極めて興味深い切り口からのスタートを切った今作が、次回以降、はたしてどのようなテーマのもとに展開していくのか。いまのところラブコメの一形態として認識しておきたいところだが、まったく予断を許さない。次週から大いに楽しみにしたい。


----


それでは、今回は以上です。



にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
にほんブログ村
↑ランキングに参加中です。拍手の代わりですので、読んで良かったとちょっとでも思ったら、クリックしてもらえると嬉しいです^^

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 3

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック