地球少女アルジュナ DVD-BOX購入記念レビュー 第1話「時のしずく」

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「海が見たい」

このなにげない一言が、ごく普通の女子高生、有吉樹奈を大いなる使命へとむかわせる。

事故で瀕死の重傷を負った彼女は垣間見る。現代文明の行き着く姿、穢れた地球の未来を。

そんな彼女の前に現れる謎の美少年クリス。

「もしも地球の未来を開くならば、いま一度、命をさずけよう」

謎の存在・ラージャと戦う運命を担わされる樹奈。運命の先に光はあるのか?


原作・シリーズ構成・監督:河森正治/シリーズ構成:大野木寛/キャラクターデザイン:岸田隆宏/デザインサポート:佐山善則/デジタルコーディネート:竹内康晃/3Dモーション監修:板野一郎/美術監督:太田大・野村正信/色彩設計:笠森美代子/美術設定:平澤晃弘/音楽:菅野よう子/音響監督:三間雅文/副監督:佐藤英一/アニメーション制作:サテライト



というわけで(?)、大昔から欲しい欲しいと思っていた「地球少女アルジュナ」のDVDが、このたび廉価版のBOXとして発売されたということで、念願かなって手に入れることができました。2001年に放送された当時、TVの前ににかじりついて、大きな興奮と思索の真っただ中に放り込まれながら観賞していたこの名作とこうして再会できたことは、この上ない幸福です。


というかね、TVで見終わった後、一度だけ友人にDVDを借りたほかは、一切見ることが叶わなかったわけですよ。レンタルにも置いてないし! まだ放映から10年も経ってないし、何より巨匠・河森正冶が監督し、他にも名だたるスタッフが集結している注目すべきタイトルであるはずなのに、なぜかあまりにもマイナーすぎる!w 


例え河森ファンでなくとも(否、アニメファンでなくとも)、ぜひ多くの人に見ていただきたい作品ということで、この際、青春の思い出語りも含めながら、紹介&レビューをさせていただこうと思い立った次第です。いや、たぶんどうしても、紹介なんて軽いものでは済みそうにはないですが、でも極力、未視聴者にも読んでいただけるような記事にしようと思いますので、もし興味がおありでしたら、なにとぞお付き合い頂ければと思います。キャプも使いますので^^


では早速まいります。今回は第1話「時のしずく」(脚本・絵コンテ/河森正冶 演出/佐藤英一 作画監督/外崎春雄・守岡英行)のレビューです!

 

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・「アルジュナ」の思い出と我が人生の起点


第1話のレビューの前に、少しばかり思い出話をしたいと思います。第1話はそれほど語る部分は少ないのでwww


アルジュナが放映された当時、私は高校生で、ちょうどアニメに対する姿勢が劇的に変化した時期でした。その直前まで自分は、アニメや漫画をとにかく毛嫌いしていて、見ても無いのに「子どもが観るための娯楽」であり「くだらないモノ」だと認識していました。ところが友人から借りて「少女革命ウテナ」という作品と再会し(リアルタイムで観てた頃は子どもだったのでちんぷんかんぷんだった^^)、なんかアニメってすげぇぞ、高校生や大人が見てこそ楽しめる作品があるらしいぞ、という感じで、アニメという媒体のもつ奥深さに気付かされた時期でした。


そんな自分をアニメの道に完全に引きずり込んだのが、その「ウテナ」と、そして今回取り上げる「アルジュナ」でした。どちらも実験的要素をふんだんに取り入れた、マニアックな作品と言っていいと思いますが(笑)、しかしこの2つの作品と出会ったことで、アニメというものに強く心惹かれ、またアニメの持っている大きな可能性を確信したのでした。今思えばその時の出会いが、アニメに大きすぎる期待をかけることになってしまった気もしますw


その後も、いわゆる頭でっかちな作品には何度か出会う幸運に恵まれ(90年代後半~00年代初頭は、そういう時代の空気があったと思います)、そのたびに色々感じたり考えさせられたりしました。が、10代というかけがえの無い時期に出会った忘れ得ぬ作品として、「ウテナ」と「アルジュナ」は自分の青春の基盤を形成するただ二つきりの出会いとして、記憶に深く焼き付いています。それくらい、この両作品は私の魂の奥深くに響く感銘を、与えてくれました。




あらゆる芸術について言えることですが、面白いかどうか、等の感覚とは完全に別の話として、人の人生を大きく揺るがす、決定的で重要な出会いというものがあります。それは自分にとって、ヘッセであり、ドストエフスキーであり、ニーチェでありました。そしてまた、「ウテナ」であり「アルジュナ」でもあったのです。もう大人になってしまった方や、あるいは自分とまったく異なる感性の持ち主から見れば、私のこの発言は冷笑に値するもので、あるかもしれません。しかし、少なくとも一人の少年の人生を変えるだけの影響力を、「地球少女アルジュナ」という作品は持っていたし、今後も持ち得ていくであろうことを強く確信するものであります。


そんな、輝かしき少年時代の思い出を呼び起こしながら、この作品を再度見直したい。そういう想いでレビューを綴っていく予定です。


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前置きが長くなったw(←いつもの悪い癖^^



・第1話あらすじと、Aパート見どころ


主人公の有吉樹奈(ありよし じゅな)は神戸に住む女子高生。ある日、弓道の大会(?)で失敗した彼女は、ボーイフレンドの大島時夫(おおしま ときお)に「海が見たい」と告げる。バイクで日本海の夕日を見に行くことにした二人はしかし原因不明の事故に遭遇、樹奈は瀕死の重傷を負ってしまった。ベッドに横たわる自分自身を見つめる樹奈。彼女はその臨死体験の中で、この地球が、人々や動植物のたくさんの命が滅亡の危機に瀕しているのを見る。そんな彼女に語りかける声があった。

「もしも、お前がラージャと戦い、清め、未来を拓くのならば、今一度、お前に命を授けよう・・・。」



さて第1話です。第1話というのはだいたいどのアニメも気合い入れるのが定番ですが、見かけ上のクオリティは今作もその例に漏れません。ただあらかじめ断っておきたいのは、今作が本当の意味でスタートを切るのは第3話からですw


どういうことかっていうと、この作品はやたら難しい(そしてトンデモない)テーマ性のもとに描かれるのですが、「あぁ、こういう作品なのかにゃ?」というのが分かってくるのは、第3話以降(正確には第4話から)という構成になっておりますw ですので、第1話と第2話はあくまでビジュアル的な魅力を追っかけて行けば、あとはちんぷんかんぷんでも構わないのですねー。とにかく視聴者を置いてけぼりにするストーリー展開が、非常に美麗で高クオリティなアニメーションによって見せられるので、この時点では好きなだけ戸惑っておけばいい。今作が実験的な作品と評されるひとつの所以であります。


ということで第1話は、表層的な魅力(脚本、キャラクター、映像、音楽)を追っかけて行きますよー。まずはこちらのシーン↓

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これは、ヒロインの樹奈がカレシである時夫くんに「海に連れてって♪」とおねだりをして、時夫くんがカッコいいところを見せてやろうと、バシっとキメるシーンですw


ここは、今まさに海が目の前にあるっていうのに「海に行きたい」とか言いだす樹奈の奇天烈っぷりに驚かされるわけですが、早くも今作のテーマのひとつである環境汚染が話題に上がるのは今は置いておいて(笑)、時夫くんのキメポーズに惚れていいシーンですw なんだか頼りなさそうな男がふとしたときに見せる懐の大きさと粋の心が、何気ないセリフ回しの中によく表れているシーンですし、ポージングとカメラアングルもカッコいい。映像的にもこの少し前あたりから徐々に面白くなってくるあたりですからね。何気ないシーンなのにしっかりとコンテで魅せる。見事です。


そして、放映当時本気で惚れ込んだのが、この一連のバイクシーン↓

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このあたりから、今作のウリのひとつであるCG作画が全開なのです^^ そんで、

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一瞬目をつぶるほどの陽光がふっと差し込んできたかと思ったら・・・

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こう、ぶああっ! ・・・とねw そしてトドメが

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この美麗な夕焼け!!


この一連の流れは当時、本気で惚れました。この作品は(サテライトということで)CGをふんだんに取り込んだアニメーションが、作画的には大きな”売り”でした。2001年という時代においては画期的にCGの量が多く、それ以上に使い方が巧かった印象が強かったです。


今見るとさすがに、ショボさはあるんですけどねw 車とかオモチャみたいだし、主人公カップルの乗るバイクもどうにも、「あぁ、CGですね(悪い意味で)」という感じは、まぁ否めません。そりゃ10年前のTVアニメだもの、しょうがないよw でも、当時はコレがかなり物珍しかった上に、やはり見せ方が巧かったんですよこのアニメは。3Dモーション監修に起用されている板野一郎氏の手腕でしょう、疾走感あふれる流れるようなアニメーションと、高速で移動しながら中心キャラを追尾し、ここぞというトコでぐぐぐいっと動いて魅せるカメラのアングル。たとえCGの作画技術が今に比べてショボくても、その見せ方が最高に巧いので、今でもまったく色あせないアニメーションになっていると思いますね。


そう、画としてのクオリティうんぬんも大事ですが、それをどう動かすか、どういう演出をするか。そうした点こそが、アニメーションの肝だと思うわけで、それを存分に堪能させてくれる点でも、今作は大いに魅力的だと言えるでしょう。


さてこうしてしっかりと視聴者の心を捉えておいたところで、ココからいよいよ、今作らしい超展開(笑)に突入します。バイクで事故を起こして(あとから考えると主犯はヤツなのですがw)、樹奈が目を覚ますと幽体離脱していた!という衝撃の展開。そしてその後の臨死体験で、地球の色んな場所で起こっている悲惨な光景を目にするわけです。

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↑こんなのとか、もっときつい映像が何枚も出て来ます。

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見ただけでハンバーガーが気色悪くなるアニメ、それが「アルジュナ」www


まぁとにかく、胸が締め付けられるような色んなフラッシュバックを見せられる。ここからはもう、菅野よう子の手掛けたBGMがそれはそれは絶大な効果を発揮していて、映像のインパクトと相まって恐ろしい衝撃を受けましたね。それまでのん気にテレビを見ていたのが、すっかり息をするのも忘れて画面に見入っていた。空気読まない母親がここで「風呂に入れ」と怒鳴ってきて、本気で憤りを感じたのは良い思い出^^




そんな超体験を味わった後、樹奈はクリスと名乗る少年から、「ラージャと戦い、この世界を守るなら、もういちど命をあげよう」と言われるのですね。どこのゾフィーだよ、っていうw


こいつがクリス↓

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この男の子が、もう本当にウザいことこの上ないキャラでw 言ってることはいちいち矛盾してるし、そうでなくとも話が飛びすぎて理解できないし、ということで、樹奈も視聴者も散々振りまわされるハメになります。でもそれはもちろん後の話。この時点では、戦えと言われても困る、なんて戸惑っては見せるものの、生き返らせてやろうと言われて断る道理はないわけで。ここで彼と契約を結ぶことによって、樹奈は「時の化身」として、スーパーパワーを見に付けてラージャと戦うことになります。


こうやって書くと、なんだ魔法少女モノかと思われますね。でも第1話と第2話は、魔法少女モノだと思って見て構わないと思う。明らかにそういう作劇ですし。魔法少女かどうかは別にしても、普通の人間だった主人公が運命に導かれてスゴい力を獲得し、正義の味方として奮闘することになるってのは、アニメではとっくの昔から定番のシチュエーション。今作も、定石どおりにそのパターンを踏襲して見せることで、視聴者に今作の表面上のスタンスを分かりやすく提示してくれています(ある種ミスリードな側面はありますが)。


逆に言えば、魔法少女モノっぽい作劇を踏襲している時点で、今作はまだ「地球少女アルジュナ」ではない、ということ。これはさっきも言及しましたが、まぁ第3話以降でまた説明させて頂きます。




・Bパート見どころ


Bパートでは、クリスと契約を結んだ樹奈が命を取り戻し(←なぜか体力全回復状態。ザオリクってすげぇw)、でも心配する時夫や母親を置いてけぼりにして、クリスに導かれるままに軍用ヘリに飛び乗ります。そう、すべては打ち合わせ済みだったのだ!!w こりゃ詐欺としか言いようが無いw


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↑手術の直後なのでこんな格好に。そこはかとない健康的エロスがありますが、樹奈がお世辞にも萌えキャラとは言えないのが、残念と言えば残念w でも樹奈は可愛いヒロインっすよ。

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↑そして置いてかれるカレシ。しかし時夫はこのあと無謀にも、事故ったばかりのバイクにまたがってヘリを追いますww 


この時夫くん。彼はすごいキャラクターですよ。一見軟弱なイマドキの男子校生って感じだけど、いいところでちゃんと、男を見せる。頭悪いなりにいろいろ物事を考えてるし、情熱的で、正義のヒーローに仕立て上げられてしまった樹奈や組織に散々振りまわされながらも、120%のチカラを振り絞って必死に追いすがり、見事に樹奈の恋人役を全うしてみせた。この健気なカレシとの幸福を取るか、地球を守る使命を取るかという部分は、当然ながら今作のドラマの重要な軸となります。第1話からその存在感を行動でしっかりと見せつけているんだから、この作品の作劇はかなり良く出来ていると、思いますね。




さて樹奈ですが、彼女が「乗れ」と言われて乗ったヘリはSEEDと呼称する謎の組織の所有するもの。クリスやシンディは超能力を使いますが、良く分からない最先端の科学技術も駆使しながら、普通の人間の眼には映らない怪物・ラージャと死闘を繰り広げている組織ですね。最終話まで見ても、その実態はよく分からなかった記憶がw


またラージャですが、こいつらはその概念的な設定は後々説明されることになります。でも、結局何だったの?と聞かれると答えに窮するw だいたいの場合は人の眼には見えなくて、人間の活動によって地球本来のバランスが著しく損なわれている地点に出没して悪さをする連中らしい、というのが、第1話第2話で提示されている部分ですな。今回ラージャは、原子力発電所に出没してこれを破壊しようとするのだけど、そんなことされたら畿内全域が死の土地になってしまうということで、非常に切羽詰まった危機的状況下でのミッションなのでした。初陣なのに荷が重すぎる!w

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↑これが原発を襲いに来たラージャ。すごく・・・大きいですw 


もちろんこんなのに勝てるわけが無い。勝てると思う方が気がふれている。当然のように、何も出来るわけが無いと思っている樹奈ですが、戦えと言われたって、やり方なんぞ誰もヒントすら教えてくれてないわけで。しかしそんな樹奈の姿にイラだったクリスは、なんとバイクでわざわざ駆けつけた時夫をこの現場へ誘導して(←鬼畜だ!w)、爆発の真っただ中に飛び込ませる! 恋人が今にも死んでしまうという光景を目の当たりにすることで、お約束ですが、樹奈は時の化身としての力を開眼させることになりました。


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↑覚醒した、時の化身・樹奈。全然、魔法少女じゃないですね^^ いや、だから魔法少女モノじゃないんだってw 変身シーンで服脱いだりすることは無いし(というかそもそも変身バンクが無い)、物語もラージャと戦うのがメインかと思わせておいて、全然そんなことは無いですからね。まぁそれは後の話。とにかく第1話は、カッコいい樹奈の姿をよく目に焼き付けて、異様に盛り上がったところでの幕引きとなります。決着は次回へ持ち越しです。




・EDとスタッフロール


まずテーマ曲についてですが、この作品はなんと、OPがありません! いきなり本編が始まって、劇の中にOP用のテロップが提示されるという、いわゆる最終回仕様の演出を、毎回やってます。その分、本編の尺がちょっと長くなるし、なんだかOVAや劇場作品みたいな硬派な雰囲気が出るので、とても好きですね。


EDは、基本的には坂本真綾が歌う「マメシバ」。この作品で菅野よう子を知り坂本真綾を知った自分にとっては、この「マメシバ」こそが、歌手としての坂本真綾さんのベストナンバーだと思っています。清々しくて、カッコよくて、暖かくて、最高に名曲。樹奈や時夫の青春まっさかりな生き方に、よく通じるテーマ曲だと思いますね。


また面白いのが、ED映像が実写で、女の子がひたすら走ったりしてるw 出演してるのは田中美保というモデルさん(?)らしいのですが、私には分からん。顔も映ってないし。アニメのOPやEDをひとつの作品として楽しみたい人にはちょっと残念な仕様だけど、本編で濃いアニメーションをしっかり堪能した後のデザート的な感覚で、雰囲気としてはけっこう好きでした。




さて第1話のスタッフは、前述の通り、脚本・絵コンテ/河森正冶 演出/佐藤英一 作画監督/外崎春雄・守岡英行 という面々。また原画スタッフは以下の通りです↓

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まぁ、自分はあまりアニメーターのことは詳しくないので、こちらは紹介だけ。どのカットが誰とか、分かんないしねw こっち方面が気になる方のために、一応、毎話ごとに紹介だけはさせていただきますよ。




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さて、こんな感じで第1話は表層的なストーリー展開が中心だったので、あまり話を膨らませることはできませんでしたが、第2話もこんな感じになりそうかなぁ。まぁ、未視聴の方はぜひ参考にしていただきたく、また視聴済みの方も思い出話に付き合って頂く感じで、読んで頂ければなぁと思います。


それでは、今回は以上となります。



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※第2話はこちら




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2010-04-23

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