四畳半神話大系 第5話「ソフトボールサークル『ほんわか』」

ターニングポイントか?




・今回のお話


珍しく理想的な活動風景のサークルに飛び込んだかに見えた主人公。今回は、善人ばかりでおよそ敵対関係の成立し得ないサークルで、しかも女子部員が多く、活動もゆるゆるという、リビドー優先主義者にとっては考え得る限り最高の環境。


しかしそんなところに罠(=小津)が待ち受けているいつものパターンだろうとタカをくくっていたら、小津ではなくサークル自体が罠そのものだった。これは怖い!w


「責任者はだれか。恐らく私であろう、今回ばかりは」という冒頭のセリフ。しかし今回は、まぁたしかに自分からドツボにハマって行ったのは確かなんだけど、むしろあっさり洗脳されずに帰ってこれたその精神的タフネスを褒めたたえるべきだろう。最初は低俗な動機で入部した者は、主人公だけではないはずで、しかし彼はその低俗な根性を最後まで捨てなかった。ブレてない人生で、まぁなかなか良かったのではないかと。



・真に迫る洗脳シーン


しかし今回のエピソードは、中盤以降すごく怖かった。怖い、というのは、お化けとか暴力とかが怖いのではなくて、背筋がゾクっとする、恐怖ではなく畏怖に近い怖さだ。むろんそれは、今回描かれたエセ宗教結社の内部描写についてのことである。


このサークルが罠だったというのは、健康食品うんぬんという話が出てきた時点で視聴者には自明のことだったろう。だが、主人公が招き入れられた山奥の工場(?)で描かれたソレは、なんとも生々しいリアリティを、我々の前に突き付けてきた。実際体験したことではなくとも、さも本当にこんななのだろうなぁという追体験を、存分に味わわせるアニメーション。セリフのひとつひとつ、仕草や行動のひとつひとつが妙に現実的で、しかもヘタをすれば画面のこちら側にいる人間まで一緒に洗脳されてしまうのではないかと錯覚させる。じつに空恐ろしい光景だった。


また、映像表現の中でことさら強調されていた構図の歪みが、そのまま、主人公がこの会合に感じた違和感を直接的に体感させる現象に繋がっていたのも、じつに巧いなぁと。作られた感動、ハリボテの幸福を前に、強烈な反発と恐怖を覚えた主人公が、彼が費やした2年間がガラガラと音を立てて崩れて行くのを目の当たりにするこの絶望感。人生の儚さと愚かしさを痛烈に皮肉って見せたエピソードだった。




・いよいよ多重に敷き詰められる伏線


今回はしかし、全体のストーリー構成がさらに複雑に捻転して見せた回だったと、言うこともできる。毎回のように巻き戻される主人公の2年間だが、まったくのやり直しではなく、それぞれの人生がパラレルワールドのように存在しながら、わずかな影響を相互に与えあっているかのような印象を、より強くさせる描写が見られた。


第1話で主人公自身が食い散らかしたカステラが、第2話でその散らかされたままの状態で出現したときと同じようなデジャヴ的感覚を、ことさら強調させる描写。占いババアの言う「目の前にぶら下がっている好機」が、どうやら”もちぐまん”であるらしいことはもう何度も意識付けさせられてはいるが、しかしそれを明石さんに突き返すだけで万事まるく収まるかと言うと、とてもそうではない複雑なパズルのような印象を受ける。


おまけに、最後に登場したヒゲの男である。「そんなオカルト信じない、だって怖いではないか」と言って男の侵入を拒否したところで幕引きとなったが、しかしいろいろ考えさせ、想像をかき立てる展開であった。この迷路の構造が、当初思っていたよりずっと入り組んでいるらしいことは、確かなようである。


ともあれ、多くの伏線をバラまいたように見える今回のエピソードがもつ意味を、じっくりと見定めることができるのは、もう少し後のことになるのだろう。悶々としながら首を長くして次回を待ちたい。




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それでは、今回は以上です。



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