おおきく振りかぶって~夏の大会編~ 第13話(最終回)「また始まる」&シリーズ感想

TV放映直後に日本×デンマーク戦。勝っても負けても、本気で戦う選手たちの姿は胸を打つ。スポーツって良いものだなぁ。




・目標


残念ながら美丞大狭山に惨敗してしまった西浦高校。彼ら一年生が、負けてこそ掴み取った何かがあることを描き出すエピソードで、第2期シリーズは終幕。それぞれが目標を考えてきて、それがみんなの意識の方向性、なかんずく三橋廉という一人の少年の意識と決意を大きく羽ばたかせる。


三橋が最初に、甲子園優勝・全国制覇という、田島と同じ目標を掲げたのは、もしかしたら崎玉の佐倉が延長戦を嬉しがっていたのと同じように、ただみんなと一緒に少しでも長い間プレーがしたいという、そんなささやかな想いから出たものだったのかもしれない。勝つ楽しさや負けた悔しさも含めて、”野球楽しい”と心から実感できた、そんな三橋の半年間だったのだろう。


しかしただ”楽しい”だけでもいいのだけれど、それが厳しい練習への覚悟やライバルへの対抗心も加味された”勝ちたい”という意味での全国制覇に、大きく夢を前進させた。田島は最初からそこへ向いていたようだし、花井や泉、そして阿部も、田島たちに感化されて目を全国制覇へ向けた。チームで一番、精神的落ちこぼれだった三橋が、彼ら優秀組と同じ立場、同じ視線で、同じ目標を決意した点に、計り知れないほど大きな感動があった。


マウンドの上には何か底知れない魔力がある。それは投手にしか味わえないものだが、しかしその魔術的な快感を生み出す要因がどこにあるかと言えば、それは確かに、チーム全体の絆、個々の選手同士の絆に求められるのだろう。練習やプレーやミーティングの中でそうした絆が着々と強くなっていく様を徹底してクローズアップしてゆく様が、この作品のスゴさだ。


田島と並んで、三橋が全国制覇への熱い決意を口に出して見せた最後のシーンは、作劇の良さはもちろん、まるで劇場アニメのラストシーンかと思わせるような音響演出に、涙があふれかえった。今作は本当に音楽が良いなぁ。原作の持つ魅力を、原作にはない要素(アニメーションの妙、独自解釈の演出、音楽等々)によって最大限以上に引き出し積み上げて見せるこの作品の素晴らしさに、改めて胸を打たれた。




・帰宅後のそれぞれ


まるで謀ったように、優秀組とそうでない組の行動の差異が如実に描き出された帰宅後のシーンw 


今回だけ見ると、花井は足腰を鍛えて強い打球を飛ばそうと決意したのかなぁ、とか、俺の泉は今日もかっこいいぜ泉は素振りでバットコントロールを磨こうとしてるのかなぁとか、栄口はそんな真剣にゲームやんなよww などと素人目には映るのだけど、たぶん花井と泉はあれが日課なんだろうねぇ。


地味な3番・巣山が、やはり地味に靴磨いてたのは、好感が持てた。コツコツとやる子はきっと結果がついてくるよ。水谷は西広にレギュラー取られてしまえwww あとは感慨にふける沖がなんかすごくカッコよかったなぁ。栄口のゲーム(パワプロ?)には、何か意味があるんだろうか。あと、しのーかも映して欲しかったってのは、全国5千万のしのーかファンの心の声。


「みんなの目標にしなくちゃ」という三橋のセリフから、このそれぞれの風景を映して行ったのは、今後の西浦高校の伸びしろを大いに予感させる、希望と期待に満ち溢れたシーンだった。ここから大きく成長して見せた2年生の彼らの姿も、ぜひ見たいなぁ。



・シリーズ通しての展開と構成について


第2期シリーズである「夏の大会編」は、第1期が大好きだった者からすれば非常に残念なことに、わずか1クール全13話の尺で企画されたシリーズとなった。このことで、第1期から大幅に変更しなければならない部分は間違いなく多かっただろうし、それによる弊害もあった。


もちろんその最大のものは、試合運びのテンポだ。1期と2期では、西浦の試合描写は同じ2試合。その2試合を、1期ではのべ16話(三星戦が第3話~第7話、桐青戦が第14話~第24話)もの話数を割いて描いていた。一方2期ではのべ8話(崎玉戦が第3話~第5話、美丞戦が第8話~第12話)と、なんと半分の話数しか充てられていない。1期の試合(とくに桐青戦)は前回話数のおさらいや応援団のバンク等でかなり時間を引き延ばして描いてあったとはいえ、濃密に試合経過がレポートされる今作の作風にとっては、この大幅な尺の削減は相当痛い。


おかげで第1期の試合に比べて、試合経過のテンポが大幅に加速され、ごちゃごちゃとせせこましいアニメーションになっていた感は否めない。それは映像表現よりはむしろ音響のほうに大きな弊害があって、アニメとしてはあまりにも早口なセリフ回しにならざるを得ないシーンが随所にみられた。そのため、キャラや演出の見せ場である重要なセリフがその重みを失ってしまっていたり、複雑な展開を見せたプレーに視聴者の頭がついていけないのではないかと危惧される場面が散見されたのは、第1期の出来栄えが素晴らしかった分、苦言を呈したくなる部分ではあった。




しかし興味深かったのは、尺が半分になった上で作り手がどういう選択をしたか、という点。試合描写に割く話数を約半分(=2倍速と言っていい)にする一方で、その試合の前後に充てる日常風景の描写は、驚くほど余裕を持って制作していたように見えた。


これはつまり、作り手が「おお振り」という作品のドコをキーポイントに考えているかというのが、如実に表れた構成だったと言えるのではないか。もし試合描写こそ今作の醍醐味だと考えるなら、試合をやらない話数をもっと縮小して、少しでも試合運びのテンポを1期に近づけようとすると思う。しかし実際には、試合描写のほうを無理くりスピーディーに展開してまで、試合の前後における主人公たちの言動を丁寧に描いた。つまり作り手は、日常描写こそが今作の肝であり、最重要部分であると判断したわけだ。


この判断が大正解だったのは、多くの方が同意するところではないだろうか。スポーツを題材にとったアニメだから、試合の展開で楽しませなければならないのはある意味では当然なのだが、しかしその勝敗そのものではなく、それを通じてキャラクターがどう成長したか(そしてそこから視聴者にどんなメッセージを発信できるか)という部分にこそ、「おおきく振りかぶって」という作品の中心テーマがある。そこをおろそかにせず、グラウンドの外での西浦ナインの姿を丁寧に丁寧にアニメーションして見せた今作は、1クールしか尺が取れなかった(取らなかった?)ことに対する口惜しさは残るものの、それでも手放しで称賛したい作品だった。




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それでは残念ながら、「おおきく振りかぶって~夏の大会編~」の感想はここまで。本当はもっと映像演出とか原作との兼ね合いについても言いたいことがあったけれど、過去の記事である程度言及してるので、興味があればぜひご覧ください。


それでは、以上です。どうもありがとうございました。



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この記事へのコメント

2010年06月25日 23:05
個人の目標を掲げる時の泉の真面目な目はかっこよかったです。1日どのように考えてどのような結果を出すかは気になるところですが、そこは脳内補完とことで^^;

さて、また原作のストックが尽きたとことで、続編はだいぶ空きそうなのが辛いです……>_
おパゲーヌス
2010年06月25日 23:14
>本隆侍照久さん
もうテレビで泉に会えないのが寂しい限りですね。録画保存してある奴を繰り返し見て、泉を愛でることにしたいと思いますw 

原作ストックがたまっても、果たして3期はあるのでしょうか? テレビシリーズとしては、すごく綺麗なところで終わったので、これでもういいかなぁと、満足してる部分はあります。もちろん、またアニメ化するのは大歓迎ですが^^

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