デュラララ!! 第24話(最終回)「則天去私」&シリーズ感想

何も始まらず、何も終わらず、物語はただそこにあり、流転しつづける。「バッカーノ」のときも思ったけど、こういう終劇って好きだなぁ。




・この結末は臨也の思惑だとどうなん?


黄巾賊とダラーズの確執、および黄巾賊内でのクーデターを勃発させて池袋に戦争を引き起こすという折原臨也のたくらみ(それが本当に目的だったとして)は、結局、三頭会談による友情エンドとドタチンたちダラーズの活躍による火消しが奏功して、池袋の薄氷の平和が依然として守られる結果に終わった。


セルティの首をどうこうしようという目的からすれば、今回の顛末は”失敗”と言う認識で良いのだろう。しかし、失敗しても痛くもかゆくも無さそうで(サイモンに殴られたのだけは想定外?w)、この計画は「いつか成功すればいいや」ってスタンスなのかもしれない。むしろ平和島静雄を亡きものにすることのほうが、優先度が高かったのか?


いずれにせよ、戦争は起こらなかった。池袋は表面上の平和を取り戻し、しかし薄皮一枚で隠された裏にはとんでもない魑魅魍魎の巣窟、あらゆる紛争と事件と怪奇現象の火種が転がっている混沌とした空間であることにも、変わりは無い。これからも池袋はここにあり続けるのだろうし、ただちょっと、その構成員や色や日々の小さな出来ごとに、変化が生じるだけだ。




・シリーズ通しての感想


最終話だけに限って言えば、「あれ?これで終わり?」という印象だったのは否めない。たしかに最終話よろしく、ずっとモヤモヤしていた主人公たち3人(+1人)の関係が綺麗にまとまったのは感動的だったし、悪役の法螺田たちに対する豪快な制裁も、ことさらコミカルな演出とも相まって異様なスッキリ感。また上述の通りの、変わったんだけど変わらない、変わらないんだけど何かが変わった、そんな日常の風景を微笑ましく描いて幕を下ろした作劇には、拍手を送りたい気分だった。ただ、色んな肝心な伏線はすべてそのままに置いて行かれて、まったく決着した気がしない物語の終焉にカタルシスがあったかと問われれば、それは否だ。


しかしむろん、これはこれで良いのだろう。「バッカーノ!」のアニメも、DVD収録のTV未放映話まで見ても、やっぱりこんな感じだったし(笑)、このアニメスタッフの描きたい”物語”はこういったものなのだと、改めて今回も提示されたわけだ。あるいは原作者の意向も強く反映されているのだろうか?


とにかく「デュラララ!!」に関しても、始まりもなく終わりも無く、ただ延々と繰り返される人間の所業をあくまで客観的かつ断片的に、そして興味深い眼差しで切り取り叩きつけてくるこのストーリーテリングの手法を、徹底して貫いてみせた作品だったと言える。魅力的なキャラクターが相互に依存し関係し合う中で、彼らが必死に生きようとする様を怜悧な視点で滑稽に描き出して見せる。いちおう主人公的な立ち位置の人物がいないこともないが、決して一人の人間に肩入れすること無く、箱庭かゲーム盤か何かの上で踊る人形駒のようなキャラクターたちの言動を、その面白いところ・おいしいところだけをつまみ食いするようなドラマ。そのスタンスを意図的に貫き通して見せたからこその、オリジナリティであり、魅力があった。


そしてむろん、断片的・客観的に提示された各キャラクターの個々の表情やエピソードは、これは最高のクオリティで描写されるエンターテイメントであった。キャラクターの個性付けや言動はもちろん、複雑で時には方向感覚を完全に見失ってしまう(それでいてちゃんと脈絡はある)ストーリー構成、緻密な背景世界と縦横無尽に走り回るキャラクター描写、そしてそれを根底から支える秀逸なコンテ・演出と音響。どこを切り取っても濃密なエンターテイメント作品として、輝かしい魅力を放つアニメーションに仕上がっていたと思う。見事と言うほかは無い。




・折原臨也について


それにしても今作に置いて面白かったのが、やはり折原臨也の存在か。このストーリーにおいて、もっとも視聴者に近い視点を持った存在。当初はまさにそんな道化の役で登場し、劇中の”人間”たちを小馬鹿にして嗤い者にしながら、視聴者を大いに楽しませ、またそれとともに自分も楽しんでいるようなキャラ。舞台と観客の間を行ったり来たりする、アニメ的に言えば2.5次元の立ち位置の存在。しかし途中から彼はその役割を捨て、自ら劇をひっかきまわす”登場人物”の一人になってしまった。道化的なキャラクターが大好きな自分としては、彼のこの宗旨替えはあまり好みではなかったが、その後も彼は道化的な振る舞いの中に自分を置き続けた。


道化は、洋の東西を問わず、演劇等において非常に重要な役割を担う存在だ。そしてまた、人間を愛すると言いながらも、その人間の破滅的な側面ばかりを見たがる彼の姿はそのまま、ゲーテ『ファウスト』に登場した有名な悪魔メフィストーフェレス(およびその影響下にあるキャラクター)に通じている。そうした道化であり悪魔であるところのキャラクター性を存分に体現してみせた臨也は非常に面白い人物だったし、彼を設定した作者の脳内もじつに興味深いw


だから、最後にサイモンから、結局静雄と張り合っているだけなんじゃないのかと言われて、そうらしいと頷きたくなる様子で描かれていたのは、ちょっと残念と言えば残念。まぁ口先だけでも「人間が好きなんだ」と言っていたし、その信念をどこまでも貫いていって欲しい。そういえば、殴り飛ばされて”LOVE”のオブジェに激突したのは、さすがに笑ったww


今回、結局のところ彼が持っている首はどうにもならなかったわけだが、そうするとまだまだ先の物語が紡がれる中で、臨也も相変わらずあんな役割を担い続けてゆくのだろうから、サイモンに殴られただけで池袋の日常の中に埋没してしまうとはさすがに考えられない。臨也はいついつまでも、矮小な人間たちの渦巻くカルマの中に堕することなく、超然としたうすら笑いで人間を見降ろし続ける人であって欲しい。むろん、画面のこっち側で見てるから魅力的なわけで、現実では絶対に会いたくはないけれどw




折原臨也はいつか、人間を愛することを、人間を操り破滅させて楽しむことを、倦むことがあるのだろうか。もしあったとすれば、それは人間がすべてコンピューターになったときではないか。人間が、大昔と同様に今も愚かな生き物であり続けるように、未来に置いてもまた愚かな生き物に留まり続けるなら、臨也が人間に飽き飽きしてしまうことも無いと、私は思う。あるいは、いつか彼が個人的な愛や幸福に目覚め、彼自身が人間になり下がったりでもするなら、そのとき初めて彼は、人間を眺めて楽しむことに飽きるのかもしれない・・・。



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それでは、以上となります。お付き合いくださりどうもありがとうございました。



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