アマガミSS 棚町薫編 最終章「シンテン」

あれ、結婚ネタはないの？ｗ




・感動よりも、ドギマギさせる最終章


展開的に重要なドラマをほぼ前回で消化し終わっているため、今回はもう心おきなくニャンニャンできる純一と薫。森島はるか編でもうすでに今作の基本構造は理解できているため、視聴者としても安心して二人の様子を眺めることができたのではないだろうか。


そんなわけで、告白からデートを経て幸せいっぱいにエンディングを迎えるという、どう転んでも転びようのないエピソード。しかしそんなふうに簡単に予測がついてしまう回だからこそ、視聴者を楽しませるのは一筋縄ではいかない。序盤からいきなりヒロインのウェイトレス姿を披露したり、あるいは待ち合わせに来ないのではないかというちょっとした波乱を紛れ込ませたり、もちろん展望室での告白シーンは丁寧かつ真摯にセリフを並べていたりと、要所要所で心に残るシーンを散りばめようと努力はしてあった。だが、それでも二人の恋の成就をあえてクライマックスとして据えなかったという点に、手堅かった今回のエピソードにおける最大の挑戦があり、またそこが勝因ともなっていたと思った。


すなわち、この最終章においては、二人のカップル成立はドラマの軸ではない。展望室での告白シーンは、確かに胸を打つセリフが並べられてはいたが、それは至極あっさりとした口調のもとに語られて、決してドラマティックであるとはいえない、むしろことさら平静さのもとに描かれたシーンだった。


では今回の軸はどこかと言えば、むろん、薫が純一の部屋に泊まりに来た場面だろう。ここでは、いったいどこまで突き進んで見せるのかと心配になってくるくらい、生々しく扇情的で甘酸っぱい、ドギマギさせるシチュエーションが描かれていた。今作の肝はまさにこのシチュエーション描写にこそあるわけで、ドラマはその下敷きであり土台に過ぎない。それは森島はるか編第一章から徹底されてきたスタンスであり、今回もそのスタンスが貫かれていた。棚町薫というキャラで、このような初々しくもエロティックなベッドシーンを描きたかった。それを描くための恋愛ドラマ。そんなふうにさえ言えると思う。そしてそれだけの威力が、このシーンには備わっていたのだ。


もちろんドラマとしても、このベッドシーンは非常に重要であることは言うまでも無い。それまでは性別をあまり気にすることの無い悪友だった二人が、いつしか男女の性を強烈に意識するようになり、そしてそれを意識するからこそ、幸せを掴みとることができたのだ。一緒の布団で寝るというシチュエーション、そこで過度なスキンシップを取るということが、純一と薫の関係性の”シンテン”を強く強く実感させた。ここにおいて正式に、純一と薫は友人から恋人へと昇格したと言えるだろう。




・それでも森島はるかは偉大


メインの二人がベタベタやっている脇では、他のヒロインたちが自分たちなりに青春を謳歌している。前回なぞは純一と薫がシリアスな話をしている真っ最中に、後輩ズの３人が意味不明な会話を繰り広げて和ませるシーンが挿入されていたりしたけれど、本筋は本筋でしっかりやって、しかしなんだかんだ言って結局ごちゃ混ぜ感を出しているのが、今作の面白いところだ。


まだ自分の担当エピソードを迎えていない４名のヒロインや、脇役なんだけれど注目したくなる魅力的なキャラクター勢のエピソードは、今後もたくさん楽しませてくれるだろう。しかしすでに自分の出番を終えているのに、相変わらずのテンションで強烈なインパクトを残していく森島はるかは、アレはいったいなんなんだろうｗ　


今回のサンタコス、色々アウトだろうと響さんから指摘されていたけれど、もう、あの衣裳を見せてくれただけで、メインヒロインであるはずの薫ですら影が薄くなる。ほんのちょっとの出番でも決してめげずに魅力アピールしてくる彼女のたくましさに、脱帽だった＾＾


インパクトという意味ではもちろん、美也ちゃんも毎回のように我々を楽しませてくれているが、次回から美也ちゃんの友人である中多紗江の担当エピソードということで、はるか編とも薫編とも異なる顔を見せてくれそうだ。ヒロインによって態度や雰囲気がガラリと変わるのは純一と同じで、もしかしたらこのカメレオン体質は橘家に特有のものなのかもしれない。だからこそ、次回の純一もどんな男として描かれるのか楽しみなわけで。橘兄妹の今後の活躍に、目が離せない。





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それでは、今回は以上です。



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