あそびにいくヨ! 第9話「いだいなるさいしょのあしとろいど?」

渋い作劇だったけど、すごく良かった。




・おいらは淋しいスペースマン


OP無しで始まったものだから一体何事かと思ったが、これほどしっとりとしたエピソードになるとは思わなかった。挿入歌の(古臭いんだけど)抒情的な魅力を、なんとか現代の若い視聴者に伝えたいという意図があったのだろう、なかなかに胸を打つお話だった。


作中で言及されている「キャプテン・フューチャー」、自分はまったく知らないタイトルだったのだけど、日本で制作されたアニメ版はあの「未来少年コナン」の後番組だとか。2001年に再放送されたりしたそうだけど、こうやって取り上げられると、俄然興味が湧いてくるなぁ。


この「キャプテン・フューチャー」を全面的にリスペクトしている今回の話数、発案が誰なのか分からないけど、こうやって往年の名作を大々的にプッシュするのはアニメとしてはちょっと冒険だったろう。それをあえてやって見せたというところに、作り手が本気でこのSF作品を敬愛しているというのが伝わって来て、なんだか微笑ましい。さすがにNHKアニメの映像を流すのは無理だったとしても、「おいらは淋しいスペースマン」をほとんど全ての登場キャラクターに歌を唄わせた上にED曲としても流すなんて、ださいとかくどいとか若い視聴者に思われるリスクを甘んじて受けて止める気概で行った演出だ。この気概を、大いに買いたい。




・アシストロイドとキャーティアの歴史が語るもの


あくまで概要としてしか語られなかったが、キャーティアの人間たちとアシストロイドとは相当悲惨な歴史を背負って今の関係を築き上げたらしい。エリスはきっと真面目にその歴史を学び考えているのだろう、大人になりきれていない彼女が、ラウリィとどう接して良いか悩み考える姿は、非常に印象的だった。


ロボットが、ヒトの似姿をし、言葉を話し、思考や感情を持つということ。この怖ろしさはSFにおいては定番のテーマ設定であろう。自分はSFなんてアシモフをほんのちょろっと読んだくらいなので詳しいことは分からないけれど、アニメ・漫画文化においても、例えば永野護「ファイブスター物語」においてやはり、人工物であるはずのファティマを人間たちがどう扱うのかというテーマをシリーズ全体を通して深く深く追求しているのを、今回の物語からは強く連想した。




また、キャーティアとアシストロイドが加害者・被害者の構図で捉えられるのならば、今回語られた彼らの歴史とエリスの葛藤は当然、日本の戦争責任の問題をベースとして論じられているのだろう。沖縄を舞台とした作品として、過去の戦争をどう捉えていくかという問題を曲がりなりにも扱ってくれたのは偉いと思う。


今回のエリスの葛藤は、戦争を知らない世代の多くの人が抱えている問題を改めて明るみに引き出したものだ。我々(あえてこういう言い方をするが)は皆、戦争を知らない。我々の2世代・3世代も前の日本人が背負った罪に対して、私たちには一体、どんな責任があるのか。


これは非常にデリケートな問題だから、不勉強な自分がおいそれと意見を披歴すべきことではない。ただ事実として、もし過去の戦争責任に対して「日本国民だから」という理由で謝罪しろと目の前で言われたら、自分は憮然とするだろう。一方で、過去の戦争を美化したり、他国民を苦しめたという歴史をことさら矮小化しようとする動きが日本人の中に少なからずあることについても、感情的にはすごく違和感を覚える。結局、自分の立場を自分で構築することができていないのだ。だからもし、70年も前に日本人の手によって苦しめられた人物が、いまここにタイムスリップしてきたら、もう本当に何と声をかけて良いかも分からないし、エリスと同じようにこそこそ逃げ回ることしかできないだろう。


私は、日本人として、また一人の人間として、未解決の問題をたくさん自己の内に抱え込んでいる。それは性急に答えを出すべきものではないが、答えを出す努力をせずに放置し忘却して良いものでもない。これらの未解決の問題を日々常に考え続けて、より納得のいく答えを探し続ける姿勢。その姿勢こそが、狭い意味では自分自身の人間性を深化させるし、広い意味では真の世界平和実現へ向かう着実な一歩となるはずだ。


心優しいラウリィは、葛藤するエリスに大切なメッセージを残して行った。しかしこれはあくまで創作された物語である。我々の住んでいる現実の地球では、他でもない我々自身の葛藤と努力によって、平和が勝ち取られなければならない。今回はそんなメッセージを、悩み苦しむ一人のキャーティアの少女が訴えかけてくれたと、言えるのではないだろうか。





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それでは、今回は以上です。


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