学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD 第10話

紫藤のこと、すっかり忘れていたよw




・日常への回帰?


「いつも通りの時間だった・・・」とかモノローグ入れてたけど、全っ然、いつも通りには見えないんだがね。むしろ例の騒ぎが始まって以降の非日常的な状況の中で夢見ていた、相当に脚色された”日常らしさ”の中に埋没している主人公たち。


鞠川センセの友人とかいう人の家に上がり込んだときの精神状態も、まさにこんな感じだったろう。あの時はものの数時間で壊されてしまったつかの間の平和だったが、今回はまる一日を経過しているということで、停滞する幸福の中にまどろむうちに腐敗臭が漂い始めている、そんな人間関係。人間というイキモノの、幸福に対するだらしないまでの依存体質が、如実に表れている。


そう、幸福は麻薬だ。強烈な快楽で人間を虜にする幸福は、人がそれを手にしていない際には強烈にこれを希求せしめる一方、ひとたび手にした幸福も時間がたてば、同じ量の快楽ではすぐに満足がいかなくなる。より強い快楽を、より大きな幸福を追い求めるというのが、人間にとっての運命であり、呪いである。それを良く分かっていたからこそ、高城沙耶や毒島冴子はこの状況に危機感を感じ苛立っていたのだろう。




・家畜化された安全か、死と隣り合わせの自由か


また平野コータ(および彼に同調した仲間たち)は、一度手に入れた自由と独立を、ある社会組織の内部に取り込まれることで失ってしまうことに反発を感じていた。ここにも、人間の生き方を問う興味深いテーマ設定が見て取れる。


文明社会を築くということは、すなわち人間を家畜化することに他ならない。太古の時代においては、人々の周囲にはたくさんの危険が潜んでいたから、ある程度の束縛を受け入れてでも組織化されることに価値はあった。だが果たして人間が、そもそも集団で生活”しなければならない”種であるかどうかは、大いに考察の余地がある。社会のなかで暮らすと言うことは、羊飼いに自身の命と生活を委ねて飼いならされるということだ。だが、ひとたび荒野を一人駆ける魅力を知ってしまった狼は、もう家畜たちの群れの中で安住としてなどいられない。


高城の両親がやろうとしていたことは、世界中が死と混乱の渦に叩き込まれている中で、ふたたび羊飼いとそれに先導される家畜たちの群れを現出させようというものだ。それは、危険に満ちた世界の中では一見極めて合理的で魅力的な判断だろう。また飼いならされた人々にとっては、それこそが正しい人間のあり方に映るかもしれない。


しかし平野たちがはっきりと突き付けた彼ら自身の生き方とは、家畜化された安全・安寧の中に生きることではなく、自由と独立を勝ち取るべく危険の中を生きることであった。一度”柵の外”を見てしまった獣たちは、そこがどんなに危険に満ちていようとも、否、危険に満ち溢れているからこそ、荒野の中にたった一人の王国を築き上げようとする。真の自由とは、法律ごときに保障され規定される代物ではない、自分の手で選び戦い掴みとるものだ。そして真の自由の味を知ってしまった者は、もうニセモノの自由には到底、満足することはない。


小室たち6人の関係は、同じ人間の集団であっても、文明的社会組織とは全然同じではない。柵によって守られ、羊飼いによって餌場へと導かれるのとはわけが違う。彼らはそれぞれが独立の意志を持って、対等な立場で協力し合う同盟関係だ。一人ひとりが自分の力で生き抜いて見せると心に決めているからこそ、それまでの面識の有無に関わらず、良き戦友としての絆を築き上げることができた。人が、群れであることに依存せず、一人きりで生きるということ。それを体を張って体現して見せているのが、今作の主人公たちの姿ではないだろうか。




しかしむろん、彼らの置かれている状況はあまりにも苛酷だ。進んで独立の道(これは、決して幸福へは続いていない、むしろ不幸への道である、とはニーチェの言葉だ)を選んで見せた彼らの生き様には心から心酔するが、この作品世界の場合、あまりにも死という存在が人間に近すぎる。もし彼らがこのまま高城家の頼もしいコミュニティから離脱し、彼らだけで活路を見出そうとするのだとすれば、いったいそんな活路はどこに切り開いてゆけば良いのだろうか。


それとも、心情的には納得していないでも、便宜的にしばらくはこの巨大組織の庇護下に留まるのか。Cパートでは、なんだか見たくないキャラが見たくない姿で再登場してくれたが、この人の作品中における存在意義も良く分からないままだったので(まさかお門違いな宗教批判のためだけに生み出されたキャラではないだろう)、そのあたりも含めて、小室たち一行、高城父、紫藤といったそれぞれの価値感がどう交錯しあるいは対立していくのか、楽しみにしよう。




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それでは、今回は以上です。


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