HEROMAN 第24話「リザレクション」
全編戦闘パートで、濃密な30分間。
いよいよ始まった、スクラッグとの最終決戦。圧倒的な物量で迫りくるスクラッグの戦闘部隊は十分に脅威で、NIAの強化アーマーが無ければとっくにやられていてもおかしくない激闘を繰り広げているのが、画面からよく伝わって来る。
強化アーマーを活用したヒーローマンの活躍、それを巧みにサポートするジョーイの動き、司令塔として存在感を放つヒューズ。それぞれがそれぞれの仕事をきちんとこなしながら、戦局は展開していく。そこへ、なんだか大きな権限を与えられているデントン先生が、ステルス爆撃機を発信させたりドクター・ミナミのMR-1を用意していたりと、バックアップ体制を整えつつある。そうした主人公側の動きを描写しつつ、彼らに先んじて手を打っていくスクラッグたちの行動を軸にストーリーを展開していくことで、なかなかに緊迫した戦場を演出することに成功していたのは良かった。
かてて加えて、スクラッグの用意している数々の兵器(?)のインパクトが強く、彼らの怖ろしさやグロテスクさを視聴者に理解させるのに、ビジュアル的にも十分すぎる効果を発揮していたのはポイントが高い。孤島でのエピソードでさんざん苦しめられた植物(通称:謎の物体。名前付けたらいいのにと思うw)、地面からせり上がって来た蜘蛛状のゴゴール復活装置、通常の戦闘員の何倍もの大きさの中ボス、そしてタマの存在。これらが姿を現すたびに人間側の勝算が確実になくなっていく。この調子で、次回までは戦局がどんどんスクラッグ側に傾いていくのだろう。ヒーローマンとジョーイの死闘を演出するのに、まずはしっかりとスクラッグに注目させることに成功できていたと思う。このあとの展開が楽しみである。
とくに、タマだ。なんか劇中では恐怖の象徴のように語られていたが、以前登場した時は、たしかに止まらないのは厄介だがスピードも遅いし破壊・殺戮兵器としてはあまりにも不可解だったから、あのタマには転がるだけではない何か重大な仕掛けがあるに違いないと思っていた。今回改めてタマが登場し、転がって拡散していくのではなく飛翔して集まりつつある状況だが、このタマにいったいどんな戦略性が込められているのか、ぜひ解説して欲しい。「なんでこんなもんを考えた?」という視聴者の疑問を、「なんて見事な発想なんだ!」と大転換させる仕掛けが、あるといいなぁ。
ところで今回は、戦闘シーンの盛り上がりに反して、物語そのものやセリフ回しに、突っ込みどころというか、疑問を提示したくなる部分が散見された。
とくにもっとも違和感があったのは、この作戦の目的である合衆国大統領の救出が、どうして世界を救うという結果に結びつくのか、視聴者にはその必然性がまったく見えないままに話を進めてしまっているという点。ヒューズは大統領直属部隊の指揮官だから、大統領を救出するのが至上目的になるのはよく理解できる。またジョーイも、ヒューズの要請で動いている言わば傭兵なのだから、彼の指示に従って大統領を助けること、それを目的に行動しているというなら話は簡単だ。
しかし、じゃあ世界を救うためにはどうすれば良いのかというと、それはスクラッグを打倒するしか道は無いわけだ。だが今のところ、大統領救出とスクラッグ殲滅をイコールで結ぶ論理的必然性は全くない。大統領を救いたいのなら、スクラッグの猛攻をかいくぐって潜入・救出を目指すべきだし、スクラッグを倒すのなら大統領の命になんか構ってはいられない。そもそも大統領が生きている可能性も低そうな状況だし、もうこの展開なら最初から、スクラッグを倒すというのを最優先の目的に据えてドラマを展開していくべきだったのではと思う。
報道ヘリについては、これを見殺しにしてでも大義のために動くべきだとヒューズは言った。それなら、アメリカ一国の大統領を見殺しにしてでも、地球を救うべきなのではないか。いままでスクラッグ対策で大統領が何か重要な役割を担っていた描写は無かったし、ミッションの目的と戦う意義との間に齟齬が見られるのは、脚本の落ち度だ。それに、アメリカ人の書いたアメリカ人のための物語ならいざ知らず、日本人向けの作品でわざわざ大統領の命を重視する意味はあまり無いだろう。
あとは、強引さが売りの女性陣の描写。ヒーローマンの邪魔になると言われても退避しようとしないキャスターは、いくらカッコいい演出で描写されても、さすがにこれは支持できないなぁw ジョーイ・ジョーンズという真のヒーローを全米・全世界に喧伝する重要な役割のキャラなのだから、あまり心証を悪くしないで欲しいなぁ。ヘリが邪魔になる、という言及は、果たしてドラマに必要だったのか。次回以降の伏線だろうか。
そしてジョーイがヒーローマンのパートナーだと知って愕然とするホリー。こちらは、弟想いの(乱暴だけど)心優しい姉の姿として悪くは無い描写だったのだけど、ジョーイの活躍を彼女だけが知らなかったという設定を、もう少し事前に匂わせる描写が欲しかったかな。唐突感があって、いまいち共感しきれないもどかしさがあった。
最終話へ向けてがんがん加速して行く重要なタイミング。あまり不備や違和感の無い脚本を、大和屋氏には期待したい。
そう言えば、最終話付近できっとドクター・ミナミが、MR-1を引っ提げてヒーローマンを援けるべく颯爽と登場するはずだという私の希望は、無残にも打ち砕かれたw いやしかし、ここは新作・MR-2を開発していると期待して、楽しみにしておこう。天才マッドサイエンティストの活躍に注目。
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それでは、今回は以上です。

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いよいよ始まった、スクラッグとの最終決戦。圧倒的な物量で迫りくるスクラッグの戦闘部隊は十分に脅威で、NIAの強化アーマーが無ければとっくにやられていてもおかしくない激闘を繰り広げているのが、画面からよく伝わって来る。
強化アーマーを活用したヒーローマンの活躍、それを巧みにサポートするジョーイの動き、司令塔として存在感を放つヒューズ。それぞれがそれぞれの仕事をきちんとこなしながら、戦局は展開していく。そこへ、なんだか大きな権限を与えられているデントン先生が、ステルス爆撃機を発信させたりドクター・ミナミのMR-1を用意していたりと、バックアップ体制を整えつつある。そうした主人公側の動きを描写しつつ、彼らに先んじて手を打っていくスクラッグたちの行動を軸にストーリーを展開していくことで、なかなかに緊迫した戦場を演出することに成功していたのは良かった。
かてて加えて、スクラッグの用意している数々の兵器(?)のインパクトが強く、彼らの怖ろしさやグロテスクさを視聴者に理解させるのに、ビジュアル的にも十分すぎる効果を発揮していたのはポイントが高い。孤島でのエピソードでさんざん苦しめられた植物(通称:謎の物体。名前付けたらいいのにと思うw)、地面からせり上がって来た蜘蛛状のゴゴール復活装置、通常の戦闘員の何倍もの大きさの中ボス、そしてタマの存在。これらが姿を現すたびに人間側の勝算が確実になくなっていく。この調子で、次回までは戦局がどんどんスクラッグ側に傾いていくのだろう。ヒーローマンとジョーイの死闘を演出するのに、まずはしっかりとスクラッグに注目させることに成功できていたと思う。このあとの展開が楽しみである。
とくに、タマだ。なんか劇中では恐怖の象徴のように語られていたが、以前登場した時は、たしかに止まらないのは厄介だがスピードも遅いし破壊・殺戮兵器としてはあまりにも不可解だったから、あのタマには転がるだけではない何か重大な仕掛けがあるに違いないと思っていた。今回改めてタマが登場し、転がって拡散していくのではなく飛翔して集まりつつある状況だが、このタマにいったいどんな戦略性が込められているのか、ぜひ解説して欲しい。「なんでこんなもんを考えた?」という視聴者の疑問を、「なんて見事な発想なんだ!」と大転換させる仕掛けが、あるといいなぁ。
ところで今回は、戦闘シーンの盛り上がりに反して、物語そのものやセリフ回しに、突っ込みどころというか、疑問を提示したくなる部分が散見された。
とくにもっとも違和感があったのは、この作戦の目的である合衆国大統領の救出が、どうして世界を救うという結果に結びつくのか、視聴者にはその必然性がまったく見えないままに話を進めてしまっているという点。ヒューズは大統領直属部隊の指揮官だから、大統領を救出するのが至上目的になるのはよく理解できる。またジョーイも、ヒューズの要請で動いている言わば傭兵なのだから、彼の指示に従って大統領を助けること、それを目的に行動しているというなら話は簡単だ。
しかし、じゃあ世界を救うためにはどうすれば良いのかというと、それはスクラッグを打倒するしか道は無いわけだ。だが今のところ、大統領救出とスクラッグ殲滅をイコールで結ぶ論理的必然性は全くない。大統領を救いたいのなら、スクラッグの猛攻をかいくぐって潜入・救出を目指すべきだし、スクラッグを倒すのなら大統領の命になんか構ってはいられない。そもそも大統領が生きている可能性も低そうな状況だし、もうこの展開なら最初から、スクラッグを倒すというのを最優先の目的に据えてドラマを展開していくべきだったのではと思う。
報道ヘリについては、これを見殺しにしてでも大義のために動くべきだとヒューズは言った。それなら、アメリカ一国の大統領を見殺しにしてでも、地球を救うべきなのではないか。いままでスクラッグ対策で大統領が何か重要な役割を担っていた描写は無かったし、ミッションの目的と戦う意義との間に齟齬が見られるのは、脚本の落ち度だ。それに、アメリカ人の書いたアメリカ人のための物語ならいざ知らず、日本人向けの作品でわざわざ大統領の命を重視する意味はあまり無いだろう。
あとは、強引さが売りの女性陣の描写。ヒーローマンの邪魔になると言われても退避しようとしないキャスターは、いくらカッコいい演出で描写されても、さすがにこれは支持できないなぁw ジョーイ・ジョーンズという真のヒーローを全米・全世界に喧伝する重要な役割のキャラなのだから、あまり心証を悪くしないで欲しいなぁ。ヘリが邪魔になる、という言及は、果たしてドラマに必要だったのか。次回以降の伏線だろうか。
そしてジョーイがヒーローマンのパートナーだと知って愕然とするホリー。こちらは、弟想いの(乱暴だけど)心優しい姉の姿として悪くは無い描写だったのだけど、ジョーイの活躍を彼女だけが知らなかったという設定を、もう少し事前に匂わせる描写が欲しかったかな。唐突感があって、いまいち共感しきれないもどかしさがあった。
最終話へ向けてがんがん加速して行く重要なタイミング。あまり不備や違和感の無い脚本を、大和屋氏には期待したい。
そう言えば、最終話付近できっとドクター・ミナミが、MR-1を引っ提げてヒーローマンを援けるべく颯爽と登場するはずだという私の希望は、無残にも打ち砕かれたw いやしかし、ここは新作・MR-2を開発していると期待して、楽しみにしておこう。天才マッドサイエンティストの活躍に注目。
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