アマガミSS 中多紗江編 第三章「ヘンカク」

脳髄がとろけるような甘さ。もう死にたい。




・今回は見応えたっぷり


なんだなんだ、今回すっごく良かったぞ。前回は、ドラマの良さに比して映像演出がどうにも物足りないと思っていたけれど、その反動か知らないけれど今回は見応えたっぷり。こだわり抜いた描写や演出をさりげなく嫌味にならないよう織り交ぜて、珠玉の30分間に仕上げていた。こんなに完成度の高い回、今作では初めてじゃないのか。※←紗江ちゃんのポエポエオーラにすっかりヤラれて、正常な判断が出来なくなっている怖れがあります


アバンでは、階段を上る美也を絶妙な視点から撮影したり、強風吹きすさぶ屋上でスカートを押さえながらの特訓風景が秀逸で、とくにスカートの中身をパンツではなくTシャツの裾がひらひらと舞う様子で表現していたのには、もうほとほと感服させられた。こうした下半身へのあくなき探求は、梅原正吉のローアングル探偵団云々というセリフでしっかりフォロー。映像とセリフの両面での心憎い遊び心を、冒頭からしっかり意識づけている。


そんな冒頭の一連の展開が象徴しているのは、今回がとにかくシチュエーション描写にこだわり抜いた回だということ、そしてふんだんに遊び心を盛り込もうとする(=すなわち細部にまで力を傾注する)回だということだ。相変わらずネジのはずれている森島先輩は食べかすを頬につけてにっこりと微笑み、ミスコンへの参加を促された紗江はサンドイッチをくわえたまま首を振り振り。いままで懸案事項としてずっと引っ張ってきたバイト面接をAパートであっさり消化してしまうと、Bパートからはもう、これでもかと甘いシチュエーションを矢継ぎ早に繰り出してくる。


むろんそうした中で描かれるのは、第三章になって急激に積極性を増した紗江自身の変革と、その紗江に引っ張られるカタチで恋を意識していく純一の変革だ。教官と教え子という関係はまだ最後の殻として残されているが、それを突き破って高らかに飛翔するバカップルの姿は、もう目の前だ。




・カンスト知らずの紗江の魅力


いままでも可愛いなぁとは思っていたけれど、回を重ねるごとに、いや、シーンがひとつひとつ切り変わるたびに、そのつど中多紗江の魅力が増大していくように感じる。とくに今回のBパートは、ストーリー主体ではなく、いつも以上にキャラ描写ありきの展開をとってくれたのが、その感覚をいっそう強く感じさせた。


喫茶店のシーン。薫と違う店をあえて受けたという点に、純一へのアタック以外の部分でも、我らがヒロインの獲得した積極性を垣間見せて大きな成長を感じるところだ。ましてや紗江がそつなく仕事をこなしているのを見て、パパは思わず涙ぐんでしまいそうだったヨ。だから、純一がうっかり水をこぼしたときは、あれは絶対わざとだろうと思って怒髪が天を衝いたり。ひんぬー党員としてはあのゆさゆさ揺れるシロモノは決して受け入れがたい特徴であるハズなのに、もうそんな些細なことはどうでもよくなってきた。


遊園地デートに紗江のほうから誘ったのも驚いたなぁ。このシーンは、二人が待ち合わせに向かう映像に、もっと以前のセリフをかぶせてあるテンポの良い作劇がまず心地よかった。いきなり観覧車なんてムーディーな乗り物を拒否るとは純一を恨めしくも思ったが、メリーゴーランドで観覧車以上に甘い絵を見せてくれたのが大満足だった。


これは個人的な趣味なので申し訳ないのだが、こう、馬に横乗り(いわゆる女の子座り)するというシチュエーションが、もうこれ以上無いくらいにクリティカルヒットだった。自分は歴史を勉強してきた身で、とくにモンゴルをはじめとする騎馬民族の歴史風俗や、あるいはもっと古代の馬の歴史を学んできた人間なので、馬という乗り物にはちょっとした思い入れがある(だからと言って競馬は全然やりませんが)。たとえ作り物の馬だとしても、そこにちょこんと横乗りして「お姫様みたい」とか言ちゃったりしている自分だけのお姫様を、隣では無くできれば二人乗りで自分が前に座って、悠然とカッポカッポやってみたいとか、騎士に憧れたことのある男子なら誰だって抱く妄想だよね?


まぁそんなわけで、デート序盤ですでに心臓を撃ち抜かれていたところへ、今度は戦隊ヒーローショーを一緒に見ようと言う、自分にとっては(というか純一にとっても)どう反応したら良いのか困惑するシチュエーション。さすがにこれは萌えないかなぁと思っていたら、全然そんなことはなかった。


珍しく必死にイナゴマスクについて語ってきたり、子ども騙しの舞台を本気で楽しんでいる紗江も超絶可愛いのだけど、ただかぁいい、かぁいいと思って眺めているのではなく、あまりにアホくさくて笑いだしてしまうようなシチュエーションを持ってくるとは御見それした。譲治さんのナレーションやイカ男の演技もここぞとばかりに笑いを取りに来て、思わずテレビの前で純一とまったく同じ反応をしてしまった。こんなギャグにもならない、それでいて心底可笑しい場面が描かれることで、中多紗江の思いもよらない一面を堪能できたのだった。ここにきてヒロインの魅力は、もはや上限を知らないインフレーションを引き起こす。


もうその後は何も言うことが無いだろう。積極的に畳み掛ける紗江の前に、純一も視聴者もたじたじ。しかし鈍感な主人公にヤキモキさせるストレス満載な状況はそう引っ張らずに、彼をして素直に手を握らせたのは、良い幕引きだった。奥手な純一の戸惑いが巧く我々にも伝わって来るよう、絶妙な塩梅で間を取っていったシーンだったろう。




・「中多紗江編」の評価


まだ結論を出すには早すぎるが、しかし現時点では、森島はるか編や棚町薫編よりも、現行エピソードのほうがずっと好きかもしれない。何と言ってもそれは、今作が渾身の力と発想を傾けて、ヒロインの魅力を引き出すという目的だけを見据えて邁進しているという姿勢が、中多紗江編においてもっとも効果的に発揮されていると思うからだ。


視聴者でさえ手探り状態だったところを暴走特急のように駆け抜けていった森島はるかは、自分の担当エピソードだけではその魅力を十全には発揮しきれず、後々のエピソードにちょいちょい顔を出してはその強烈な個性をアピールしている。また物語の展開が至極真っ当だった棚町薫のエピソードは、ヒロインと主人公が同格の存在として並び立っていたから、純一とセットでなければ薫の魅力は成立せず、それはそのままヒロインの描写にかける比率がどうしても減少してしまうことに繋がっていた。


ところが今回のエピソードはどうだろう。純一の可笑しな言動やナレーション演出は確かにインパクトがあるが、それらがヒロインの魅力を引き立てているのではなく、紗江が自ら放つ輝きによって、すでにドラマの大半は成立してしまっている。純一もナレーターも、そんな紗江の魅力を客観的に観賞し堪能するための視座を視聴者に提供しているに過ぎず、あるいはドラマそのものも、物語性よりヒロインの魅力を追求することに主眼が置かれている。中多紗江というキャラクターを追いかけ、彼女がひょんなきっかけから自分の殻を破り、さなぎから蝶へと変化して行くその様子を描写していくこと。それが、中多紗江編のコンセプトであり、また「アマガミSS」という作品に置いて追及されている魅力と完全に符合する手法でもあった。


まさに、このアニメにはうってつけのキャラクターであったと言える中多紗江。むろんそう演出せしめたアニメスタッフの力量が素晴らしいということでもあるわけで、次週放送される最終章も、画竜点睛を欠くことにならぬよう、極上のラブロマンスで締めくくって欲しい。またこうなってくると、再来週以降に主役を張るヒロインたちのエピソードについても、俄然期待が増してくる。楽しみにしよう。





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それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

頭髪の薄い20代後半
2010年09月10日 11:24
>サンドイッチをくわえたまま首を振り振り
 ここはやられたw今回余すところ無く見ごたえが有って素晴らしかったです。変に橘さんがグダグダしていないから素直に紗江ちゃんの魅力に目を向けられて楽しめました。
おパゲーヌス
2010年09月10日 13:36
>頭髪の薄い20代後半さん
やられましたねw 「は?おまえ何言っちゃってんの?」的な空気感がもうたまらない・・・。

>変に橘さんがグダグダしていない
その通りですね。いちおう鈍感キャラとして描かれてはいるけれど、視聴者をイライラさせるほどではなくて、じつに巧いヤキモキ感を演出してくれていました。紗江の引き立て役としても、これ以上無いカタチでここまで来れていると思います。

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