ストライクウィッチーズ2 第11話「私であるために」

日本人の「心」をネウロイにしてしまった・・・。これは反応に困る




・最終決戦発動


最終話を目前に控えて、いよいよネウロイとの最終決戦に挑む人間たち。この勝負は果たしてどうなるのか・・・?


まずキャラクターは脇に置いておいて、戦略・戦術の考察から。


いままで自分はちょっと勘違いしていたようだったのだけど、ネウロイって、ヴェネチアとその周辺にまで追いやられていたのね。もっと広大な領域を支配しているものだとばかり思っていた。ってことは、アフリカで戦ってるウィッチたちは、いったいどこから沸いたネウロイと戦っているのかしら? 主人公たちがアドリア海に陣取っているので、アドリア海およびロマーニャ上空を通るルートはネウロイには通過不可能のはずで、またガリアは人間によって奪還されたのだから、あとは防衛力の貧弱そうなアルプスの辺りを横切って西地中海を渡るか、うんと東側を迂回していくことになるはずで、イベリアやバルカン半島の情勢が気になるところ。巣がいくつもあるという設定で無ければ、なんだかネウロイのアフリカ侵攻ルートはずいぶんといびつなものに思えてしまう。このあたり、戦局の設定があまり見えてこないのがもどかしい。


またもしヴェネチアの巣が全てのネウロイを吐き出しているのであれば、この作戦が成功すれば完全な平和を勝ち取ることに繋がるわけで、それを考えた時にオペレーション・マルスへの参加部隊が貧弱すぎる印象も否めない。たぶんこの巣の遠方ぐるりをウィッチや軍隊の防衛ラインが囲んでいるはずなのだから、陽動としてでも、全方位からの攻撃を敢行しても良さそうなものではある。もし次回、「ストライクウィッチーズ」という作品そのものに終止符を打つつもりであるなら、船の作画に気合いを込めるのも良いけれど、もっと人類一丸となっての乾坤一擲の大勝負なのだという感じを出してくれた方が、作劇的には盛り上がったと思う。


もちろん、ミーナが出入りしていた司令部とやらが持っている指揮権限の全てを活用して絞り出した戦力がアレだという設定なら、引き下がるしかないわけだけど。こういうところはもっとアニメらしいご都合主義で描いてくれて良いと思うなぁ。




そんな戦略面での疑問点はあったけれど、戦術に関して言えばまぁまぁ納得のいくものがあった。相変わらず戦争をしている印象が皆無であってあまり好みでは無いとは言え、きちんとウィッチ隊の作戦目標を提示しておき、その遂行を目指すキャラクターたちの様子と、坂本美緒の葛藤を描くドラマを包括せしめて、非常に秀逸なストーリー展開を見せてくれたと思う。


いちど失敗したコアシステムを、ウォーロックなぞより遥かに脅威になり得る戦艦大和に搭載するなんて、ウィッチ隊や視聴者に言わせれば愚の骨頂と思える作戦。しかしそんな荒唐無稽さが、ネウロイの巣の圧倒的な存在感と戦力が描かれたおかげで、すべてひっくり返る様は見事だった。さすがにこれではウィッチでも手が出せない、ネウロイの技術に頼るしかないと、視聴者に向かって強い説得性の下に描き出していた。


さらに巧いと思ったのが、第1期のときと同じように、どうせ大和も敵に寝返ってしまうのだろうと予測させる展開だったのに、(あくまで現時点では)そうではなく、まだ大和による攻撃に一縷の望みを託すことができそうであるという点。寝返った大和をぶっ叩くのは展開としてはやはり安直に過ぎるわけで、そうではなく、坂本さんに無謀な活躍の機会を与えるためのファクターとして大和を活用したこの発想は見事。当然、大和の甲板に突き刺さった烈風丸も良い伏線だ。


この戦いが勝つか負けるかはまだ分からない。けれどその結果以上に、坂本さんの安否の問題が大きくクローズアップされるよう持って行ったストーリー構成に脱帽だった。作品としてのメインコンテンツは坂本美緒のドラマとウィッチーズ11人の活躍だが、それを盛り立てるためのお膳立てとして、戦術描写(事前の作戦計画の説明、およびその遂行の成否)をちゃんと機能させていた今回の戦闘パートは、非常に秀逸だったと評したい。




・大和の扱いについて


正直、今回の大和の扱いについてはひどく戸惑った。戸惑ったというのは、ダメだ、嫌いだという意味での否定的意見ではなくて、一面でまったく納得しかねる要素がありながら、別の面で心の底から震えあがる興奮を見せてくれたので、どっちに傾いていいのか本当に困ってしまっている。


自分は近現代史にはさっぱり疎くて、大戦中の兵器や逸話についてもほとんど知らない。けれどそんなペーペーであっても、「戦艦大和」という名前の持つ圧倒的な存在感には、強い強い憧れを抱く。我が祖国の生んだ、文字通り未曾有の戦艦。日本人の叡智と努力の結晶であり、かつて日本が輝いていた時代を象徴する兵器であり、またそれが生み出された事実とは無関係であるところの時運の流れに翻弄され散って行った、悲劇の主人公である。英雄たるべくして登場し、戦果の貧しさにも関わらず、いやむしろその姿が大日本帝国の黄昏を連想させるものであるがゆえにこそ、真に日本人にとっての英雄として祭り上げられ、思い起こされるようになった。戦艦大和という存在に込められた時代錯誤の使命の前に、もし歴史が少しだけ異なってさえいればと口惜しがりながら胸を熱くさせられたことは、日本男児の多くが経験していることではないだろうか。


そんな大和を、今作のスタッフは悪の象徴たるネウロイに変身させてしまった。しかもそのシステムは、あのウォーロックのものである。それはただネウロイ的な、問答無用の破壊者としての悪だけではなく、狡猾で軽率な人間的な悪までも背負わされた最低最悪の兵器として、第1期に登場したものであった。人間がその浅知恵で利用しようとしたネウロイのコアが、いかにして人間に牙をむいたか。その光景を強く脳裏に焼き付けている視聴者は多いだろう。それを連想させられながら、あの戦艦大和がネウロイの姿に変わっていくのを見せられれば、どんな気持ちになるか。国家の英雄が、公然と侮辱され凌辱されているようなものではないか。




けれど! その直後、全身を真っ黒に光らせた巨大な戦艦が、雄々しく浮上していく様のなんとかっこよかったことか。やはり国民的な人気を勝ち得ている「宇宙戦艦ヤマト」を強く連想させるそのシチュエーションを、細部までこだわった見事な作画によって実現されたら、興奮するなと言う方が無理だ。船やらネウロイやらのCG作画に1期以上の熱意を込めているこの作品の、ひとつの真骨頂と言えるシーンだったと思う。


そして浮上してからの大和の圧倒的な戦闘。UFO型の迎撃ネウロイをハリネズミのような弾幕射撃で撃ち落として行くその様は、まさしく人類の勝利を約束するものに見えた。残念ながら(そして視聴者の予想通りに)決戦兵器としての大和の作戦は失敗してしまったが、そこに至るまでの活躍には胸が熱くならざるを得なかった。


ここにおいて自分の中では、今作のやった戦艦大和への仕打ちが、果たして良かったか悪かったか、好きか嫌いかという点で、まったくどちらとも言えない状況になってしまった。間違いなく、大和をネウロイ化したこの発想は大っきらいであるし、冒涜であると思う。しかしカッコよかったのも事実だし、何よりあっさり敵の手中におちるのではなく、まだ次回にも、決戦兵器としての活躍が描かれるかもしれないと予感させたのが、相当救われた。もしウィッチ隊によって大和を撃沈させるシーンなんか描かれたら、たまったものではなかったw


これに関しては、次回の描写を待ってから、最終的に心の整理をつけたいと思う。ああ、なんてもどかしいw




・坂本美緒の覚悟


今回はもう書きすぎなのであとはサラっと済ませてしまうけれど、前述した通り、今回は作戦展開と坂本さんのドラマをきわめて密接に絡めて描いてくれたのが、最高に良かった。とくに坂本さんの魔法力消失という事態が、あたかもこの戦争そのものの先行きを暗示しているかのような不吉さでもって描かれてあったのが見事。ストーリー展開の発案としては鉄板と言えるものだが、ここまで巧みに構成できるのがすごい。


一人で訓練に飛ぼうとする坂本さんの前に立ちはだかるミーナ、11人の中の一人でありたいという悲痛な叫び、実戦の最中に烈風斬が発動しなかったことの衝撃と、その後の呆然自失。脚本も、映像演出も、とにかく素晴らしかった。


あとは、坂本さんの決意がどう行動として描かれるか、それを次回は大いに楽しみにしたい。自分が魔法力でどうにかすると言っていたが、決意の力で本当にどうにかなっちゃうのか、それとも魔法力の尽きた彼女の代わりに10人の仲間たちが一致団結して事に当たるのか。あるいは予想だにしない展開が待っているかもしれない。大局的に戦局を概観して行く中で、あくまでメインのキャラクターにしっかりスポットを当てるという理想的なバランスを、今回はわりと出来ていたので、次回もこの調子でやってくれるだろうと安心して見ていられる。その上でさらに、本当にネウロイを殲滅してしまうのか、それとも決着付かずに3期への布石とするのか、そのあたりにも注目しておきたい。




・・・1期のストーリーをほとんど活用せずに殲滅戦に持っていってしまった強引さがあれば、たとえここでネウロイを完全に消滅させたとしても、3期やる時には説明無しにまた登場させるとか、やりそうだけどw




----


それでは、今回は以上です。


にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
にほんブログ村
↑ランキングに参加中です。拍手の代わりですので、読んで良かったとちょっとでも思ったら、クリックしてもらえると嬉しいです^^





ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

面白い

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック