それでも町は廻っている 第1話「至福の店ビフォーアフター」

シャフト本気出しすぎwww




・圧巻の第1話


とにかく素晴らしい出来映えだった! 文句ないどころではない。驚かされ、惚れ惚れとさせられ、感服させられた。よく動く作画は見事だったけれど、それ以上に、今作における映像のコンセプトをこれでもかと見せつけられた、圧巻の映像演出。いつもシャフトは初回のクオリティは桁が違うとは言え(笑)、視聴者の期待感を煽り、そのプレッシャーを全身で受け止めて見せようと、自信満々にぶつけてきた第1話だったと思った。


少し前に新房監督がインタビューに答えて、「ようやくここまできた」、「新境地がなんとなく見えてきた」と発言していたけれど、大沼さんは他所で監督やっちゃうし、尾石さんも化物語以外の作品に関わることが極めて少なくなってしまっているなかで、シャフト演出というものの新境地がいったいどんな風に開拓されるのか、懐疑的にその発言を受け取ってしまう自分がいた。しかし今回、新房総監督はそのインタビューの発言を、言葉だけでなく作品としてちゃんと提示してくれたのではないかと思って、ニンマリとしてしまった。


とくに龍輪副監督に関しては、「絶望先生」シリーズの当時はその演出力をちょっと疑問に思っていて、とくにシャフト作品における氏の役割が明確に見出せなかったりしており、クレジットに龍輪直征の名が現われる頻度がいよいよ多くなってくることにあまり良い感情を抱いていなかった。しかしいくつもの作品において、とくにOP・EDの映像作りに関しては素晴らしい実力を発揮されているのを見て次第に評価を変えざるを得なかったし、また彼のやり方がだんだんとシャフト演出と融和してきたというか、むしろ龍輪氏のチカラを存分に発揮できるような演出に、シャフト作品がだんだん変化してきたというか。そしてそれが新房監督自身の志向性とも符合しているのなら、やはり今回こうして出来あがって来ているものが、新房昭之とその意図をしっかりと汲み取るスタッフたちによる、現在の、そしてこれからのシャフトのあり方なのかもしれない。


今回目に付いたのが、とにかくオーバーなカメラワークとパースの強調、そして全身を使った笑えるほど大袈裟なキャラの演技だ。直近の作品では「荒川アンダー ザ ブリッジ」(1期)のED映像によく通じる映像表現が、画面空間のメタ化やデフォルメ、光と影の強烈な使い方などの、従来からシャフト演出の特徴とされていた手法と絶妙に混在して、いかにもシャフトらしいのにまったく新しい、きわめて独創的な「それ町」ワールドを生みだしている。それでいて意味不明なネタ的要素(たぬき犬ジョセフィーヌのアイキャッチや、授業中に現われるUFO?など)を挿入してくるのは、どことなく「ぱにぽに」等を連想したりして懐かしい。確かにシャフトのDNAを色濃く受け継ぎながらも、新房総監督や龍輪副監督のもとで、しっかりと「新境地」を目指して励んでいるのがよく分かる。


シャフトの重要な魅力の一つが、その挑戦の精神だ。さまざまな発想や工夫(その中には制約のもとでの苦肉の策もたくさんあるだろう)を盛り込んで、他の誰にも作り得ないオリジナリティ溢れる映像演出を行うこと。それが何度も視聴者の度肝を抜くのが面白いのだし、膨大な着想を次から次へと使い古してゆくその革新性が、見る者を強く惹きつけるのだ。「化物語」によって、シャフト演出は確かにひとつの金字塔を打ち立てたが、そんな今だからこそシャフトは、すでに古臭くなった従来の手法を捨てて、新しく生まれ変わらなければならない。その高らかな産声のひとつとして「それ町」という作品が歴史に名を刻むことを、期待させていただきたい。




・原作に関して


じつはこの作品、自分にしては珍しく、原作漫画を読んでいる。とはいえ、大の石黒正数ファンのヨークさんに勧められて、第2巻あたりまで一度だけ読んだきりなのだが(同時に勧められた「ネムルバカ」のほうが好きだった)。なのであまりがっつり読みこんではおらず、失礼ながらむしろ流し読みした感すらあってあまり覚えていないから、いつも通り原作未読者と立場はそう変わらないのだけれど。途中までしか読んでないし、そもそもそれほどストーリーがあったとは思えない。1話完結型のコメディでしたかね。


その原作の印象としては、いちおうギャグ漫画で、決して萌え成分は多くなく、シュールな状況もあったりしてわりと大人向けのコメディであったと、記憶している。自分にとってはいまいちテンポの掴みづらいギャグ漫画で、ただ死を見つめてちょっとシリアス傾向に軸を映したエピソードなどは、すごく感慨深いものがあった。


そんな感じだったので、アニメになってぐっと萌え成分が増大し、またテンポよくコントを繰り広げてくれたのには驚かされた。高山カツヒコがうまくアレンジを加えながらスタイリッシュに脚本化してくれていたようだし、映像演出のよさ、音響の迫力とも相まって、じつに見ごたえたっぷりの濃密な30分間だった。アニメ作る人って、すごいな!w


この調子なら、自分にはいまいちピンとこなかった原作の魅力というものが、アニメーションを媒体として解釈することが可能になるかもしれない。主人公・歩鳥に小見川千明を起用したのも、最初はすごく違和感ありそうだと思ったけれど、アニメ絵の可愛さとよくマッチしている。もうちょっと、ボケボケ、サバサバした感じが出せるとなお良かったと思うけれど、今後の展開次第では評価がひっくり返るかもしれない。 他のキャラは、悠木碧と杉田智和の声と演技がじつにすばらしくて濡れた。櫻井孝宏は、劇中で婆さんの出番が増えエンジンがかかってくるのを心待ちにしたい。




・OPとED


OPもEDもじつに良く動いており、見せ方も素晴らしかった! 


OPを担当したのはかの梅津泰臣。いままでシャフト作品に関わっていた記憶が皆無なのだけど、面白い起用だなぁ。そういえば「化物語」のOPを板垣伸に依頼してたときも驚かされたな。エンドカードだけでなく、OPやEDで実力のある人をどんどん起用して、シャフトの内部に切磋琢磨をもたらして欲しい。また歌は坂本真綾さんで、「それ町」に似合わぬ豪奢なナンバーw 本編と関係があるかどうかは謎だけど、曲と映像の双方の効果で、じつに豪華な雰囲気を漂わせているな。これは癖になりそう。


一方EDはまさかのガールズ(?)バンドによる商店街ライブw こちらは龍輪さんの手によるもので基本的には正面ちょっと引いた地点から映した固定的なアングルではあるけれど、導入部のドラムのアップがめちゃめちゃカッコいいのと、細かいところまでよく練り込まれた、遊び心溢れる映像が見事。また曲は、これこそ癖になりそうな、ロックなんだか音頭なんだか歌謡曲なんだか良く分からない、喫茶シーサイドのごちゃ混ぜグダグダ感を巧いこと音楽化してしまったような歌だw いや、病みつきになるよこれは。




とにかくそんなわけで、最高のスタートを切った「それ町」。このクオリティをどれほど維持してくれるかはもちろん分からないけれど、ファンとして全力で期待しながら、温かい目で見守って行きたい。





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それでは、今回は以上です。


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