おとめ妖怪 ざくろ 第3話「かこ、哀々と」
シリアスエピソードが、うまくスパイスとして機能してるなぁ。
・いよいよ深くなるざくろの深淵
人間と妖怪の断絶と差別を描いてきた第1話・第2話のエピソードが、しっかりと機能している今回の同衾シーン(違うw)。しかし今回は、ざくろが直接その差別を受けている現状ではなく、もっと根源的に彼女を苦しめている差別、すなわち自身の出生にまつわる認めがたい事実と、母子が苦しめられてきた忌まわしい仕打ちにスポットがあてられることとなった。人間と妖人の溝を埋めるということが、言うは易くともいかに難しいことか、ざくろ達がどれだけ深い傷をその小さな胸の中に背負っているかを、厳然と突き付けられた格好だ。
景がどれだけ気を使っていようとも、ほんのちょっと憎まれ口を叩いただけで、その言葉は軽々しくざくろの傷をえぐってしまう。それが意図した悪意ではないからこそ、余計に景は、彼女と本当の意味で分かりあうことの難しさを、今回よく思い知ったことだろう。それでも、彼のけなげな行動が少しづつざくろの心に響いて、その心の隙間を埋め始めていることに、彼が気付くのはいつになるだろうか。
どんなに気丈に振舞っていても、ざくろは景のような”幸福な人間”には到底理解できないような深淵を抱え込んでいる。景はパートナーとしてだけでなく、その深淵を一度でも覗き見てしまった者として、ざくろの傷の一端を背負ってあげる責任が生まれた。良くも悪くも実直で責任感の強い景なら、その重みを使命として受け持ってくれるであろうと願いたい。
・だんだん物語の構造が見えてきた
今回のエピソードで、今作が当面目指すことになるであろう外面的なストーリー構造が次第に明らかになってきた。
すなわち、ざくろが過去の出来事や母親の所在にとても執着しているという事実が今回はっきりと認識されて、まずは彼女の傷を癒すことができるかどうか、また母親の行方を突き止めることができるかどうか、そのあたりにざくろと景を主役とした今作の基本的な方向性があるようだ。
それに加えて、同じ半妖でも妖人省とは敵対関係にあるらしい組織の様子も、今回初めて言及された。二人の少女(?)が登場したが、彼女らの狙いは明らかにざくろだったという事実が、今後どう物語に絡んでくるのか。まぁ差別の根絶を目指して地道な努力を続けられても、地味すぎて面白味も何もあったものではないから(笑)、外面的にはふたつの組織の対立構造で転がして行ってくれたほうが、チームとしてのキャラクター描写も、またバトルシーンも盛り上がるだろう。
ただ心配なのは、そうした外面上の派手な展開に飲み込まれて、せっかくこれまで丁寧に描いてきた異文化間・異人種間の断絶の超克といったテーマ性が、奥に引っ込んでしまうのではないかということ。ここは、原作でどうなっているのかは分からないが、期待させてしまっているだけに何とか描き切って欲しいところ。ただ可愛い女の子たちがラブコメとバトルを同時に展開するアニメなんて、掃いて捨てるほど生み出され消化されてきたワケだから、ここでぐっと深いテーマ性を孕んだ見応えのあるドラマを楽しませて欲しい。
とはいえ、単なるラブコメも、今作は描き方が非常に丁寧かつ面白いので、こちらも大いに楽しみではある。今回など、女の子の裸を見てしまった男子が大慌てするみたいなパターンの萌えアニメに馴れきってしまった身としては、服を脱ごうとする男を見て赤面するなんて、じつに新鮮で可愛い描写に見えたw 近世の情緒ある世界観の中で描かれるラブコメというのが、また何とも素敵な味わいがあるわけで。
次回は薄蛍と芳野葛のカップリングということで、ざくろ達以上に、砂を吐きたくなるラブロマンスが展開されることはもはや確定したも同然。大いに期待しよう。
----
それでは、今回は以上です。

にほんブログ村
↑ランキングに参加中です。拍手の代わりですので、読んで良かったとちょっとでも思ったら、クリックしてもらえると嬉しいです^^
Tweet
・いよいよ深くなるざくろの深淵
人間と妖怪の断絶と差別を描いてきた第1話・第2話のエピソードが、しっかりと機能している今回の同衾シーン(違うw)。しかし今回は、ざくろが直接その差別を受けている現状ではなく、もっと根源的に彼女を苦しめている差別、すなわち自身の出生にまつわる認めがたい事実と、母子が苦しめられてきた忌まわしい仕打ちにスポットがあてられることとなった。人間と妖人の溝を埋めるということが、言うは易くともいかに難しいことか、ざくろ達がどれだけ深い傷をその小さな胸の中に背負っているかを、厳然と突き付けられた格好だ。
景がどれだけ気を使っていようとも、ほんのちょっと憎まれ口を叩いただけで、その言葉は軽々しくざくろの傷をえぐってしまう。それが意図した悪意ではないからこそ、余計に景は、彼女と本当の意味で分かりあうことの難しさを、今回よく思い知ったことだろう。それでも、彼のけなげな行動が少しづつざくろの心に響いて、その心の隙間を埋め始めていることに、彼が気付くのはいつになるだろうか。
どんなに気丈に振舞っていても、ざくろは景のような”幸福な人間”には到底理解できないような深淵を抱え込んでいる。景はパートナーとしてだけでなく、その深淵を一度でも覗き見てしまった者として、ざくろの傷の一端を背負ってあげる責任が生まれた。良くも悪くも実直で責任感の強い景なら、その重みを使命として受け持ってくれるであろうと願いたい。
・だんだん物語の構造が見えてきた
今回のエピソードで、今作が当面目指すことになるであろう外面的なストーリー構造が次第に明らかになってきた。
すなわち、ざくろが過去の出来事や母親の所在にとても執着しているという事実が今回はっきりと認識されて、まずは彼女の傷を癒すことができるかどうか、また母親の行方を突き止めることができるかどうか、そのあたりにざくろと景を主役とした今作の基本的な方向性があるようだ。
それに加えて、同じ半妖でも妖人省とは敵対関係にあるらしい組織の様子も、今回初めて言及された。二人の少女(?)が登場したが、彼女らの狙いは明らかにざくろだったという事実が、今後どう物語に絡んでくるのか。まぁ差別の根絶を目指して地道な努力を続けられても、地味すぎて面白味も何もあったものではないから(笑)、外面的にはふたつの組織の対立構造で転がして行ってくれたほうが、チームとしてのキャラクター描写も、またバトルシーンも盛り上がるだろう。
ただ心配なのは、そうした外面上の派手な展開に飲み込まれて、せっかくこれまで丁寧に描いてきた異文化間・異人種間の断絶の超克といったテーマ性が、奥に引っ込んでしまうのではないかということ。ここは、原作でどうなっているのかは分からないが、期待させてしまっているだけに何とか描き切って欲しいところ。ただ可愛い女の子たちがラブコメとバトルを同時に展開するアニメなんて、掃いて捨てるほど生み出され消化されてきたワケだから、ここでぐっと深いテーマ性を孕んだ見応えのあるドラマを楽しませて欲しい。
とはいえ、単なるラブコメも、今作は描き方が非常に丁寧かつ面白いので、こちらも大いに楽しみではある。今回など、女の子の裸を見てしまった男子が大慌てするみたいなパターンの萌えアニメに馴れきってしまった身としては、服を脱ごうとする男を見て赤面するなんて、じつに新鮮で可愛い描写に見えたw 近世の情緒ある世界観の中で描かれるラブコメというのが、また何とも素敵な味わいがあるわけで。
次回は薄蛍と芳野葛のカップリングということで、ざくろ達以上に、砂を吐きたくなるラブロマンスが展開されることはもはや確定したも同然。大いに期待しよう。
----
それでは、今回は以上です。

にほんブログ村
↑ランキングに参加中です。拍手の代わりですので、読んで良かったとちょっとでも思ったら、クリックしてもらえると嬉しいです^^
Tweet
この記事へのコメント