そらのおとしもの f (フォルテ) 第4話「死闘!零下1.4度の温泉(カッセン)」

やば・・・。いまのところ、2期で一番好きなエピソードだこれ。



・今回は合戦回!


いや、素晴らしかったです今回は。歴史が好きで、とくに古代・中世の戦争が大好きな自分としては、今回のエピソードはたとえオフザケのパチもん合戦描写だとしても、十分に手に汗握るものがあった!


とくに素晴らしかったのが、投石機! 古代から中世に用いられた投石機には、張力の原理を用いたタイプ(大きな弓状のもの。バリスタ)、ねじりの原理と木の弾力を活かしたタイプ(カタパルト)、そして平衡力の原理を用い巨大な錘を取り付けたタイプの、主に3種があった。また、それぞれの原理を組み合わせて改良されたものも考案され、主に城砦戦などで、攻撃側・防御側の双方が活用したという。

今回用いられたのは第3のタイプ、いわゆるトレビシェットと呼ばれる、平衡力の原理を用いたもの。コレに関しては、西アジアやヨーロッパだけではなく、モンゴル軍が難攻不落の襄陽を攻略した際などにも用いられ、火砲出現以前における攻城兵器の花形的存在と言って良いであろう。ウィキペディアには、「最大のものは140キログラムの石を最大300メートルも飛ばすことができた」と書かれてあるが、手許の別の資料によれば、700メートルを超える飛距離が記録されている場合もあるという。むろん、投擲する石の重量にも左右されるであろう(軽い石の方が飛距離は伸びるハズ)。


今回、劇中で描かれた投石機は、一般的なトレビシェットとは石を乗せる部分の形状が異なるけれど、これは恐らく女子チームの勉強不足などではなく、山上から斜面に向かって雪玉を撃ち出すという戦術を考慮した上での改良なのではないかと推測できる。より鋭角に撃ち出した方が、転がってさらに損害を大きくすることが出来ると考えたのだろう。ただし投石機はその形状から、いちど設置すれば標的を変更することは難しいから、今回のように防御側が用いる場合、広い原野に向かってせいぜい数十名の敵兵を相手にするには、あまり効果的な兵器ではなかったと思われる。むしろ城攻めの態勢を取っていた男子側が持ちだして欲しい兵器だった。




・空美町冬の陣 戦局推移



さてその男子勢だが、今回はなぜか、山上に陣を構える女子に対してそもそも不利な状況でゲームが開始されてしまった。だが無論、男子たるもの、守るよりも攻めて勝利と女を掴みとることこそがロマンというものだろう。


その山上の敵に対して、陽動部隊が中央から攻撃を試み、敵がそちらに注意を向けている間に主力が側面から回り込むという作戦。これは図を見る限り、じつに真っ当な戦術だと言えよう。敵は部隊を3つの地点に展開していたから、中央から陽動部隊が攻撃をかければ三方から攻撃を受けることになる。だがそのかわりに、少数精鋭からなる別働隊は敵翼が背中を向けているところから攻撃をかけることが可能となるわけだ。


事実、劇中では会長の指示で、女子勢の左翼が男子陽動部隊の横っ面を狙い展開しつつ、右翼部隊が相手の戦列を突き崩そうと突撃の構えを見せていた。両翼とも、戦場の中央区域へと完全に目を奪われる格好となり、智樹が自ら率いる強襲部隊の存在に気づきさえしなかったのは、鉄壁の備えに対する過信が招いた失態であった。むろんこれは軍師・守形英四郎の作戦の良さもあったが、むしろ身を呈して勇猛果敢に戦った陽動部隊にこそ、その功績を帰すべきだろう。




別働隊の戦いぶりも素晴らしかった。とくに智樹の戦術眼はまるでアレクサンドロス大王の再来かと見紛うほど。


かのアレクサンドロスも、少数だが精強な騎兵隊を自ら率いて、敵戦列のうちもっとも強力な部隊へ奇襲攻撃をかけることで、幾多の勝利をものにしてきた。アレクサンドロスの場合も今回の智樹も、まず第一段階として敵の分厚い戦列を突破しその背後に躍り出ると、次に敵の最強戦力へ猛烈な攻撃をかけた。戦い馴れていない軍勢の場合はなおさらであるが、軍隊というものは頭を切り落とせばほぼ終わりである。アレクサンドロス大王は、かつてテバイの名将・エパメイノンダスが重装歩兵の斜線陣を考案して実行した「敵の頭を叩きつぶす」という作戦目標を、騎兵による戦列突破と背後からの急襲、いわゆる「槌と金床」戦術として確立した。桜井智樹はまさにその戦術理念を正しく継承・実行して見せた英雄として、歴史に名を刻む活躍を見せたと言っても過言ではない。


格好ばかりで役立たずの雑兵・アストレアには目もくれずに、唯一の脅威・そはらを真っ先に排除して男子勢の勝利を呼び込んだ桜井智樹。その類い稀なる戦術眼と戦場慣れした冷静さ、そして大将自らがもっとも危険な部署の先頭に立って戦うという騎士精神は、一軍の将として絶賛に値するものだ。じつにカッコよかった!





こうして、日中の戦いは男子勢の大勝利に終わった。やはり軍団同士の真っ向勝負になれば、体力・気力共に勝り、将の勇猛さと軍師の智謀にも恵まれた男子勢が勝利を収めるのは、必然であったとさえ思う。諸葛孔明みたいなコスプレをしていた女子勢の将・五月田根美香子は、しばしば孔明が軍略においては二流であったと称されるのをなぞるように、日中の戦いでも劣勢を強いられてしまったわけだ。だが、彼女の頭脳は戦場でよりも、むしろ計略・謀略のほうに長けていたようだ。


彼女が日中の戦いの推移を予測していたとは思えない。だから捕虜となった女子の多くが彼氏持ちであったというのは、撤退戦の最中に意図的にそうなるよう仕向けたのだろう。恐らく全員の詳細なプロフィールを全て頭に叩き込んでおり、敵の追撃を防ぐための殿軍の人選に活用したのではないか。たかだか1クラス分20~30人のこととはいえ、プライベートのグレーゾーンまで踏み込んでデータを収集している五月田根会長の本領が、発揮されたと言えよう。


しかも、男子勢の大将・智樹のことを当然考慮しての温泉作戦。先ほども述べたように、軍勢というのは頭がいなければその力はまったく発揮できない。偵察によって温泉の存在を知られることを計算した五月田根会長は、入浴中に攻撃を受けることは絶対になく、むしろ総大将自らが偵察(と言う名ののぞき行為)を敢行するであろうことを完全に読んでいたわけだ。総大将を失った男子達の結束力は、モテ男たちによる些細な反抗をきっかけに雪崩を打って瓦解することとなり、女子勢による鮮やかな大逆転劇が成功することとなった。ここまで来るとまさに、孔明ばりの智謀と讃えるしかないw



それでも、最後まで抵抗を続ける非モテ男たちを壊滅させたのが、巨大化そはらというオチにはがっくり来てしまったけれどw 面白かったが、怪獣映画にせずに、最後まで戦国合戦絵巻で締めて欲しかったなぁ。まぁ、これが「そらおと」クオリティではあろう。


ともかく、これにて女子側の勝利は確定。壮大な雪合戦は無事(?)に幕を閉じましたとさ。




・ここへきて増大するシリアス要素


そんなこんなで盛大に楽しませてもらった雪合戦シーンだったが、その前後に挟んで、シリアス描写がぐっと増えてきたのは注目というか、いよいよ来たかといったところだ。俄然、ドラマの面白さと深みが増してくる。


やはりアストレアは、シナプス人によって苛酷な運命を強いられていた。ミッションに失敗すればおしおき。この言葉の、アストレアとそのマスターの間における温度差にはつくづく、ゾっとさせられる。


きっと、マスターはアストレアがミッションを成功させるとは、あまり思っていないのではないだろうか。そして、失敗してビクビクしながら帰って来るアストレアを見て、彼女にきついおしおきを加えてやることが、何より楽しいのだ。アストレアたちエンジェロイドは、そんなマスターの残酷さをよく分かっていながら、それに抵抗したりなど考えもしない。それは鎖というシステムに縛られているのもあるだろうが、むしろいじめられっ子の絶望的な精神状態に近いのではないか。


そんなアストレアが、五月田根会長を無邪気に師匠と呼んで懐いているのが、笑えるほど哀しい。また彼女を心配するイカロスとニンフの様子も胸に染みいるものがあって、あくまでもエンジェロイドという悲哀な存在の描写が、今作を貫く一本の軸であることを痛感させられる。


そんなエンジェロイドに、今回また新たな存在が垣間見れた。しかも、イカロスやアストレアたちを娘だと称し、いままでのエンジェロイドとはまるで違う印象を受ける。いったい彼女は何なのか、籠の鳥に例えられるエンジェロイドたちの解放は実現できるのか。手に汗握る展開に、いよいよなってきた。


それともう一つ、なんだか五月田根会長にも、明かされていない秘密がありそうな印象だったが・・・? 温泉を掘り当てた彼女の不可思議な幸運は、ギャグとしても、また守形とのラブコメの導入としても、あまりにも違和感が大きすぎる。何かもっと重大な伏線に見えなくもないが、さて、どうなることやら。さすがに次回すぐにとはいかなくても、この第2期シリーズ中にひとつの回答が示されることを、楽しみにしておきたい。




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それでは、今回は以上です。


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