STAR DRIVER 輝きのタクト 第1話「銀河美少年」

何が何だか分からないケドすごいっ!




・今期一番の期待作、始動! 


ボンズが手掛けるオリジナルロボットアニメーションということで、各方面から大きな期待を寄せられていた「STAR DRIVER 輝きのタクト」が、いよいよスタートした。注目作揃いの今期アニメの中でもその代表格のひとつであり、メインスタッフをざっと見ただけで期待が否応なく膨らんできたものだったが、その期待感に全力で応えて見せる見事なスタートだったと言って良いだろう。


世界観や舞台設定、それにまつわる種々の用語、そして何より作品テーマも含めて、視聴者を突き放し置いてきぼりにするちんぷんかんぷんな30分間だったが、そのもどかしさも含めてすべて快感にしてしまえるだけのパワーをぶつけてきた第1話。主人公の外面的なキャラクター性だけはフォローしながら、あとは意味のあるものも意味の無いものもごちゃごちゃと、羅列するだけ羅列して見せた。「サイバディ」「巫女」「綺羅星」「銀河美少年」など、作品を象徴するであろう単語をケレン味溢れるセリフ回し・キャラ演技の中であげつらいながら、有無を言わさぬ迫力でまずは今作のビジュアル的なコンセプトを大々的に提示してきた格好だ。


何が何だかワケが分からない。ギャグにしか見えない秘密結社の姿恰好や、虚構性を強く印象付けるマネキン状の巨大な物体、時間の停止と異次元への跳躍という極めて非現実かつ幻想的な光景を目の当たりにさせておいて、クサイくらいに颯爽と登場する主人公および彼のロボット。シーンが切り替わるごとに視聴者の度肝を抜いて来るこうした視覚的快楽は圧巻の戦闘シーンで最高潮に達し、我々を圧倒する。しかし最後には空腹を知らせる腹の虫が日常への回帰を促し、強烈な違和感は安らかな親近感へと転調して、視聴者と作品は抱擁を交わす。我々を散々突き放しておいて引き際にぐっと惹きつける、最高の初回エピソードだった。


今の段階では、今作がどんな方向へ走りだすのか皆目見当がつかない。ただ、体の中に残る熱き快感の余韻が、銀河美少年の巻き起こす青春の謳歌とやらを渇するほどに求めているのは、疑いようが無い。




・青春の謳歌とは、何か


作品で描き出そうとするテーマに青春を掲げる作品は多い。アニメでは、10代の少年少女を主役に据える作品が多くを占めている以上、それは当然のことであろう。今作も、高校入学というイベントから物語がスタートしたように、まさに少年少女を主役としたドラマであり、主人公たちが体験する様々な事件や物語によって、即現実的にか、あるいは象徴的にかは別としても、青春の一幕を描き出し、そこに作品の投げかける主題を織り込んで行こうというのだろう。


だがこれはあらゆる作品について言えることだが、ここで扱われている「青春」の定義には、よく留意しておくべきだろう。青春を描くと言っても、作り手が青春の何を描こうとするのか、それを視聴者どう汲み取るか、そこにこそ作品テーマのもっとも肝要の部分がある。


青春とは、もともとは時期を表わす言葉だ。人生の春、草木が芽吹き生き物が活動を開始するように人間形成の第一歩を歩んで行く、可能性に満ち溢れた年頃。それが青春だ。だが、年の若い人々の生活や心性において、何を重視するかというのは、一概にひとつの答えを定められるものではない。青春の本質とは、友情であるかもしれない、家族であるかもしれない。勉学や部活動に求める人もいれば、恋愛こそが青春だと考える人もあるだろう。また、青春時代の幸福の経験が重要なのか、それとも青春時代に負った傷にこそ人生の基礎を求めるのか、それも人により、あるいは作品によって大きくことなってくるだろう。


今作の掲げる「青春の謳歌」という言葉には、恋と、夢と、友情という、3つの言葉が付与されている。ドラマが描こうとする表面的な要素としての青春は、どうやらその3点に集約されると予想できるかもしれない。だが、そうした青春の時間を切り取り描写する行為を通じて、作り手は我々に何を見せ、訴えかけようとしているのか、そこに注目しながら視聴していく必要があると思う。とくに今作に盛り込まれた様々なギミックが強烈に作品世界を異化しているということは、取りも直さず、作品の虚構性の中に現実存在としての自分自身の影を見出し、作中のテーマを自分の中に還元して欲しいというメッセージに他ならないだろう。


極めてポジティブかつアグレッシブに、漲る生命力を全方位に振りまいている主人公ツナシ・タクトの存在は、そのメッセージの第一のものだ。彼のキャラクターの中には、自己実現へのあくなき欲求とそれを達成するためのバイタリティが満ち溢れている。青春は、それに相当する若者の全てに訪れるが、それを謳歌するという決意は、ただ若いという状態に甘んじているのではなく、積極的にその時間を生きようとする行為に他ならない。これはそのまま、10代の若者たちだけでなく、すでに青春を終えた、大人と呼ばれる人々に向かっても発信されているメッセージとして汲み取るべきだ。生きるということに、状態ではなく行為としての意義を見出すこと。そんな青臭いテーマが、すでにこの第1話から存分に見て取れると思う。


作品の描く、恋や夢や友情の物語を全身で楽しみながら、そこで語られる作り手のメッセージを少しでも汲み取り還元していければ、より深く楽しく作品を受容できると思うし、そういう類の作劇を行ってくれる作品であると期待している。当ブログも、感想レビューを行う際にはなるべくそうした部分にも触れて行けるよう心がけたい。




・とはいえやっぱり作画を見たい!w


まぁ何と言っても、この作品の最大の注目点は映像表現でしょうw 作画クオリティに関しては十分すぎるほど期待の持てるボンズが、錚々たるメンバーを結集して作り上げるオリジナルロボットアニメ。これで、作画が良くなかったら詐欺だ。とくに、にわか板野サーカスファンの身としては、特技監督・村木靖の仕事によく注目しておきたいと思っている。作画のことはあまり分からないけれど、素人なりにワクワクドキドキ、させていただきたい。


また、ロボット同士の迫力満点の戦闘シーンにはもちろん期待大なのだけど、同時に前述したようなストーリーに関する要素と、映像演出がガッチリと歯車の噛み合った作品になって欲しい。今作がただ戦争を描く物語ではなくて、「青春を謳歌する」という今作のコンセプトを真っ向から描き切るための作劇を行ってくれそうだというのは、第1話から存分に提示されていることである。ロボットによる戦闘や、特殊な世界観設定等は、エンターテイメント性と同時に作品テーマを描き出すギミックとして活用されるのだと思われるから、そうした作劇上のコンセプトを、映像演出によって120%引きたてられるような表現法を、追求して欲しい。


第1話、とくにBパートで描かれた一連のシーンは、まさにそうした期待に合致するものであった。視覚に強く訴える、カッコよすぎる見事なロボットアクションは、今後の戦闘シーンのクオリティに大いに期待させると同時に、セリフの提示しようとするテーマ性を補って余りある映像効果を発揮していた。今後の展開で、物語と映像とが連動する高度な作品形成をもっともっと大胆に目指して行って欲しい。




ともあれ、じつに良いカタチでスタートを切った今作。謎が解き明かされ、友情と恋が発展し、夢を追い求める若者の姿を、最高のエンターテイメント性のもとに描き出してくれることを願いたい。




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それでは、今回は以上です。


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