神のみぞ知るセカイ 第４話「今そこにある聖戦」
超絶テクの裏側に潜んでいた、神の深い慈愛。まさに「くれよん」のエンディングこそ、「神のみぞ知るセカイ」だ。
・今回の相手は二次元少女
今回はこれまでと趣向を変えて、駆け魂狩りはひとまずお休みし、桂馬がゲームのなかの少女と向き合うお話。なるほど面白いシチュエーションだと思う。劇中に登場したのはあまりにも酷い出来映えのゲームだが、都市伝説よりはよっぽど現実味のある話だし、桂馬の愚直なまでのギャルゲー愛をトコトンまで描きだしてくれたことで、彼のキャラクター性がより深まるというもの。何より、なかなかに良く出来たエピソードだった。
もしかしたらこのゲームの中に駆け魂が潜んでいて、例えばエンディングに辿りついた暁には、ゲームキャラであるはずの飛鳥空が人格を得たかのように桂馬に語りかけてくる・・・なーんて物語を空想しながら見ていたのだけど、今作の良い意味で現実を冷めた目で見つめるスタンスが、如実に表れた格好だ。エルシィや地獄関連以外の部分では、極力ファンタジー色が強くなりすぎないように配分している印象。だから、いかにもアニメ漫画的な発想の土台に立っている作品であるにも関わらず、ひとつのエピソードの後にはどこか、地に足のついたメッセージ性を余韻として響かせる作品だと思う。
彼の特殊能力とも言える、頭の回転の速さと膨大な蓄積データを基にしたエンディングルートの先読みだが、システムの誤謬を相手にしては使い物にならない。だが、彼の特質が持って生まれた才能などではなく、ギャルゲーやそのキャラクターたちに対する深い愛によって突き動かされた努力の結晶なのだということが、今回の地道すぎるミッションを通じて語られることとなった。文字化けの後をどう攻略したのかは気になるが、ループの中に捉われているヒロインを救出するのだと語った彼の姿は、ちょっとだけカッコよかった。
・ループするＢＧＭの絶望感
今回のエピソードの肝は、なんといっても桂馬がゲームに没頭するあまり、ゲーム世界の中に入りこんでしまったように描かれた、ループ脱出を目指す攻略シーンだ。
何と言ってもこのループの絶望感の演出が良かった。薄暗い無人の食堂で描かれる無機質な少女の姿と、一転してコミカルに騒がしく動き回るドッヂボールとが、嫌になるほど交互に重ねられる。楽しげな体育の後にふたたびあの不気味な食堂へと回帰していくというのが、視聴者にも直感的に、ループの絶望感を味わわせる。我々が体験したループは、桂馬のプレイしている量に比べればひどく少ない回数でしか無いのだが、桂馬の感じている焦燥感や閉塞感をダイレクトに共感させられる演出だった。これくらい分かりやすくやってくれたのは大正解だったと思う。
そして映像や脚本以上に、我々視聴者にこのループの絶望感を感じさせるのが、音響の演出。ＢＧＭには、言葉や絵よりずっと効果的に、視聴者の心を支配するチカラがある。食堂と体育、うどんとドッヂボールとが、短いスパンで交互に繰り返される一連のシーンにおいて、今回はそれぞれのシーンの音楽も、映像に合わせて何度も行ったり来たりを繰り返していた。頭が痛くなるような、うっとうしいほどのＢＧＭの切り替わり。しかも、たった２種類の曲を何度も何度も流すのだから、そのうっとうしさは半端ではない。映像や脚本の上では決してそこまでくどい演出はやっていないのであるが、この音響演出こそが、ループする絶望感を嫌と言うほど我々の脳裏に叩きこんでいた。もちろんここは、ＢＧＭに加えて、うどんを食べる飛鳥空のロボットのような無感情の演技も、大きな効果を発揮していた。
アニメにおいて、音響というものがどれほど重大な影響力を持っているか。それをまざまざと見せつけられたシーンだったと、言えるのではないだろうか。
・秀逸な幕引きと次回予告
飛鳥空編はこの１話で完結ということで、桂馬が無事にエンディングに辿りついたらしいということを見せて幕を引いた今回のエピソードだったが、その締めの部分はじつに良かったな。ちゃんとエンディングを見せるのではなく、ただでさえ信憑性の薄いネット上の、しかも「誰も信じていない」と念を押した上での伝聞情報。ついさっきまで目の前でゲームをしていた桂馬たちが、一瞬にして雲の上のそのまた向こうの世界へと飛んでいってしまったような錯覚と、でもやっぱり桂馬はすぐソコにいる身近なキャラクターである、というふたつの相反する感覚が同時に芽生える、なんとも不思議な気分。このような唐突な伝聞形で締めるというのは大昔からあるひとつのスタンダードな演出だが、それを現代日本風にアレンジして見せた、洒落た結末だったと思う。
こういう幕引きの仕方ってすごく好きで、どうせ作中の設定では無事に桂馬はエンディングへ辿りついているだろうに、あえてそれをはぐらかすことで、「きっとハッピーエンドであったに違いない、いやそう信じよう」という、ポジティブ志向の想像力が掻き立てられる。たとえそれが作り手によってうまいこと誘導されたものであっても、やはり幸福な奇跡を信じたり、希望を持つという心の動きは、それだけで我々の意識に心地よい作用をするものだ。
といっても、ただゲームをやっていただけなんだけどｗ この、何だかすごそうに見えて結局はショボい、みたいな親近感が、この作品のひとつの魅力だと思っている。
飛鳥空バージョンの特別ＥＤを挟んで、次回予告は数学の豆知識。３７ってすごいな！
・・・と思って、１１１から９９９まで電卓で試した馬鹿は自分ですｗ １１１が割り切れる時点で、２２２～９９９も割り切れるに決まってるじゃんねぇ。「数学は美しい！」と言われて、頭に血がのぼりすぎました。数学なんて大嫌いダヨｗ
さて、これにてすでに３人のヒロインを攻略してしまったわけだが、公式サイトに掲載されているヒロインは残り２名。この２人を残り話数で消化するのか、別のヒロインが出てくるのか、それとも駆け魂討伐だけで収まらない別の展開が待っているのか。今後の展開にも要注目だ。
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それでは、今回は以上です。
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・今回の相手は二次元少女
今回はこれまでと趣向を変えて、駆け魂狩りはひとまずお休みし、桂馬がゲームのなかの少女と向き合うお話。なるほど面白いシチュエーションだと思う。劇中に登場したのはあまりにも酷い出来映えのゲームだが、都市伝説よりはよっぽど現実味のある話だし、桂馬の愚直なまでのギャルゲー愛をトコトンまで描きだしてくれたことで、彼のキャラクター性がより深まるというもの。何より、なかなかに良く出来たエピソードだった。
もしかしたらこのゲームの中に駆け魂が潜んでいて、例えばエンディングに辿りついた暁には、ゲームキャラであるはずの飛鳥空が人格を得たかのように桂馬に語りかけてくる・・・なーんて物語を空想しながら見ていたのだけど、今作の良い意味で現実を冷めた目で見つめるスタンスが、如実に表れた格好だ。エルシィや地獄関連以外の部分では、極力ファンタジー色が強くなりすぎないように配分している印象。だから、いかにもアニメ漫画的な発想の土台に立っている作品であるにも関わらず、ひとつのエピソードの後にはどこか、地に足のついたメッセージ性を余韻として響かせる作品だと思う。
彼の特殊能力とも言える、頭の回転の速さと膨大な蓄積データを基にしたエンディングルートの先読みだが、システムの誤謬を相手にしては使い物にならない。だが、彼の特質が持って生まれた才能などではなく、ギャルゲーやそのキャラクターたちに対する深い愛によって突き動かされた努力の結晶なのだということが、今回の地道すぎるミッションを通じて語られることとなった。文字化けの後をどう攻略したのかは気になるが、ループの中に捉われているヒロインを救出するのだと語った彼の姿は、ちょっとだけカッコよかった。
・ループするＢＧＭの絶望感
今回のエピソードの肝は、なんといっても桂馬がゲームに没頭するあまり、ゲーム世界の中に入りこんでしまったように描かれた、ループ脱出を目指す攻略シーンだ。
何と言ってもこのループの絶望感の演出が良かった。薄暗い無人の食堂で描かれる無機質な少女の姿と、一転してコミカルに騒がしく動き回るドッヂボールとが、嫌になるほど交互に重ねられる。楽しげな体育の後にふたたびあの不気味な食堂へと回帰していくというのが、視聴者にも直感的に、ループの絶望感を味わわせる。我々が体験したループは、桂馬のプレイしている量に比べればひどく少ない回数でしか無いのだが、桂馬の感じている焦燥感や閉塞感をダイレクトに共感させられる演出だった。これくらい分かりやすくやってくれたのは大正解だったと思う。
そして映像や脚本以上に、我々視聴者にこのループの絶望感を感じさせるのが、音響の演出。ＢＧＭには、言葉や絵よりずっと効果的に、視聴者の心を支配するチカラがある。食堂と体育、うどんとドッヂボールとが、短いスパンで交互に繰り返される一連のシーンにおいて、今回はそれぞれのシーンの音楽も、映像に合わせて何度も行ったり来たりを繰り返していた。頭が痛くなるような、うっとうしいほどのＢＧＭの切り替わり。しかも、たった２種類の曲を何度も何度も流すのだから、そのうっとうしさは半端ではない。映像や脚本の上では決してそこまでくどい演出はやっていないのであるが、この音響演出こそが、ループする絶望感を嫌と言うほど我々の脳裏に叩きこんでいた。もちろんここは、ＢＧＭに加えて、うどんを食べる飛鳥空のロボットのような無感情の演技も、大きな効果を発揮していた。
アニメにおいて、音響というものがどれほど重大な影響力を持っているか。それをまざまざと見せつけられたシーンだったと、言えるのではないだろうか。
・秀逸な幕引きと次回予告
飛鳥空編はこの１話で完結ということで、桂馬が無事にエンディングに辿りついたらしいということを見せて幕を引いた今回のエピソードだったが、その締めの部分はじつに良かったな。ちゃんとエンディングを見せるのではなく、ただでさえ信憑性の薄いネット上の、しかも「誰も信じていない」と念を押した上での伝聞情報。ついさっきまで目の前でゲームをしていた桂馬たちが、一瞬にして雲の上のそのまた向こうの世界へと飛んでいってしまったような錯覚と、でもやっぱり桂馬はすぐソコにいる身近なキャラクターである、というふたつの相反する感覚が同時に芽生える、なんとも不思議な気分。このような唐突な伝聞形で締めるというのは大昔からあるひとつのスタンダードな演出だが、それを現代日本風にアレンジして見せた、洒落た結末だったと思う。
こういう幕引きの仕方ってすごく好きで、どうせ作中の設定では無事に桂馬はエンディングへ辿りついているだろうに、あえてそれをはぐらかすことで、「きっとハッピーエンドであったに違いない、いやそう信じよう」という、ポジティブ志向の想像力が掻き立てられる。たとえそれが作り手によってうまいこと誘導されたものであっても、やはり幸福な奇跡を信じたり、希望を持つという心の動きは、それだけで我々の意識に心地よい作用をするものだ。
といっても、ただゲームをやっていただけなんだけどｗ この、何だかすごそうに見えて結局はショボい、みたいな親近感が、この作品のひとつの魅力だと思っている。
飛鳥空バージョンの特別ＥＤを挟んで、次回予告は数学の豆知識。３７ってすごいな！
・・・と思って、１１１から９９９まで電卓で試した馬鹿は自分ですｗ １１１が割り切れる時点で、２２２～９９９も割り切れるに決まってるじゃんねぇ。「数学は美しい！」と言われて、頭に血がのぼりすぎました。数学なんて大嫌いダヨｗ
さて、これにてすでに３人のヒロインを攻略してしまったわけだが、公式サイトに掲載されているヒロインは残り２名。この２人を残り話数で消化するのか、別のヒロインが出てくるのか、それとも駆け魂討伐だけで収まらない別の展開が待っているのか。今後の展開にも要注目だ。
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それでは、今回は以上です。
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この記事へのコメント
コメントどうもありがとうございます。
そうなのですか、公式サイトのキャラ紹介に載っているメンバーが、全てだと思っていました。期待しておきます。