とある魔術の禁書目録Ⅱ 第5話「蓮の杖(ロータスワンド)」

メロンの乗ったプリンが土産とは、土御門もうまいことを言うw




・オルソラ編、決着


いろいろと錯綜とした展開ながらも、なんとか一件落着までこぎつけたオルソラ編。あくまで上条当麻のヒロイックな活躍を全力でフィーチャーしながらも、その背後に複雑に渦巻く陰謀と政治の大局的な流れをぐっと掘り下げて描いてくれた点は、とても面白かった。1期の頃にはこうした政治劇っぽい作劇はあまり感じなかったので、それに比べると非常に自分好みなエピソードで満足だった。


前回ちょっと心配していたアニェーゼの善人化(じつはこんな真意があったんだ的に、イメージを逆転させる作劇)を行わず、あくまで敵としての行動を最後まで貫いてくれたのは、シビアで好きだなぁ。建宮が見せたように、どう考えても悪人面していた相手が実は善人だったっていう安直なミスリードは感心できないので、いちおう回想シーンで過去の辛い記憶を描いてはいたが、最後までブレずに悪役を演じてくれたアニェーゼには一安心だった。


それにしても、いくら痛い目にあってもしぶとく立ち上がる上条当麻の姿は、さすがにアニメ漫画的虚構性だ。モブキャラならアニェーゼの最初の一撃で失神してしまうところで、彼の強さの秘訣は右手ではなくその体力にあるのではないかとか、寝てる間にカエル顔の医師から改造人間手術を受けたのではないかとか、それでなくとも記憶を失う前はせっせとボクシングジムに通っていたに違いないとか、色々と邪推してしまうところ。この辺りはまぁ、主人公だからイインダヨと、納得しておこう。


むろん今回の一騎打ちを耐え抜いたのは、当麻の目的が攻撃ではなく時間稼ぎにあったからこそ出来た芸当だ。一般人相手に余裕しゃくしゃくなアニェーゼだが、彼女とどうやって対等に渡り合うか、頭を巡らせながら戦う禁書らしいアクションシーンはじつに秀逸。またステイルたちが駆け付けた際のエフェクトの美麗さと演出の見事さには惚れ惚れさせられる。必死に対抗策を考えながら何も思いつかないアニェーゼの独白に乗せて、投げ捨てた煙草が地に落ちる様子から、一瞬の心の隙を見抜いて突貫する当麻の攻撃へと繋がる一瞬のクライマックスは、まさに圧巻だった。




・病室のひとコマ ~上条イズムここにあり~


病室でまさかの神裂が登場し、えらく可愛らしい彼女には思わず目を奪われたが、ここでの二人の会話はじつに興味深かった。とくに当麻が、組織対立の向こう側に見える人間性こそが大事なのだという持論を披歴していたが、これは地に足のついた、ドライだけれども血の通ったモノの見方だよなぁと思う。


ある人物がどんなに善人であったり悪人であったりしても、組織の中においてはそんなことは些細な問題に過ぎない。組織が悪を行うのなら、本心はどうであれそれに従う人間は悪だ。組織が善を行う場合もまた然りである。さらに言えば、人間の集合体たる組織活動というものは、そもそも善悪と関係ない意図で動いていることが圧倒的に多く、そんな中で何が正義で何が悪かを見分けることなど到底不可能だ。描き方によっては、今回の事件だってローマ側の完全正義を主張することだって可能なのであって、ただ目の前の現象から事の良し悪しを判断するなど何の価値も無い。


当麻はそれを踏まえた上で、ただ目の前で助けを求める者がいれば、自分は手を差し伸べるまでだと言った。これが、人間主義の真実であろう。ただ愚直に、人間を愛し、命を尊び、目の前の笑顔を守るために出来ることを戦う。上条イズムの最たるものが、ここにはある。今回のエピソードをまとめるのに、これほどふさわしいテーマは無かったのではないだろうか。




さて、次回はふたたび美琴や黒子が登場するようだ。こうなればキャラ押し全開のドラマを期待せざるを得ないわけで、心から楽しみにさせていただこう。



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それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

蓮の杖
2010年11月06日 14:33
どうも、蓮の杖です。
法の書事件が終結しました。組織の思惑と個人の感情が複雑に絡み合ったドラマを楽しんでおられるようで何よりです。私もこういうの大好物です。
上条当麻の愚直な正義感がこの作品のテーマ、彼が幻想を何度もぶち殺すのは快感です。しかしそのたびに組織の確執が大きくなっていく、こういうドラマが楽しくて仕方ありません。
結局今回の件で一番得をしたのはイギリス清教。天草式とオルソラを手駒にし、神裂に足枷をはめ、ローマ正教からはアニェーゼ部隊という手駒を削ることに成功しました。ローラさん怖ッ…

>上条さんの頑丈な体
学園都市の不良は刃物や銃器や能力で武装しています。彼は不幸体質とヒーロー癖からそんな連中とバトルを繰り返してるので、相当に頑丈なのです。

>戦闘シーン
エフェクト良かったですね。特にイノケンティウスは実に素晴らしかった。シャナで鍛えられたJCの、炎を描く技術はピカイチだなと改めて思いましたよ。

ところで、再放送中のシャナについて、どうして人気があるのか疑問を呈しておられたようなので私見を述べてみます。
まあざっと
・シャナ1期は2005年、ツンデレと釘宮理恵さんのブーム到来時だったこと
・気付かないだけで人間の存在が喰われているという、斬新な設定だったこと
・原作が人気
という理由が考えられますね。
でも実際面白いことは確かです。シャナがフレイムヘイズになる過去話まで行けば魅力が見えてくるかも知れませんよ。

なんだか蛇足だらけになってしまいましたが、次回黒子編開幕。私が作ったんじゃないですが、ご期待ください。
アルルカン
2010年11月07日 09:17
上条の耐久性はやはり記憶喪失になる前からダイハードなことをやっていたのかもしれませんね。
彼の信念は素直にカッコいいと思いますがやはり貫くのはとても難しいですね。ヒロインたちや事件に関わる女性たちにはさながら上条はヒーローか勇者あるいは王子様に見えるのでしょう。たがらこそのフラグ体質。


…などと可愛らしく美しくセクシーな神裂を見ながらニヤニヤしながら考えました。
おパゲーヌス
2010年11月08日 03:44
>蓮の杖さん
コメントどうもありがとうございます。もしかして蓮の杖さんのHNって、アニェーゼの武器が由来ですか?

政治的な抗争は、描き方が巧くてネタが面白ければ、大好物なのでどんどん描いて欲しいですね。今回のエピソードについて言えば、オルソラ関連の陰謀についてはネタはともかく提示の仕方はもうちょっと工夫が欲しかったところですが、ローラさんの口を通してさらに大局的な動きを見せたあたりは、とても良かったですね。彼女の女狐っぷりは今後もちょくちょくやって欲しいところです。

炎に限らず、「とある」シリーズのエフェクトは素晴らしいものがありますね。シャナのスタッフがどれほど関わっているかは自分には分かりませんが、気合い入れて作っているというのがよく伝わって来ます。

シャナについては、どうして人気なのかが分からないと言うより、単に自分が楽しめてないだけです。でもせっかくの再放送なので、ちゃんと見続けておこうとは思います。ちなみに釘宮さんはツンデレ声優ではなく幼な妻声優だと思っているので、シャナとかルイズのツンデレ属性にあまり興味が持てないのも、惹かれない理由かな。ツンデレは比率が9:1くらいがベスト。これは譲れません^^

で、次回は美琴編ではなく、黒子編なのですか? それは期待せざるを得ません! 楽しみです。
おパゲーヌス
2010年11月08日 03:49
>アルルカンさん
上条イズムを実生活で体現するのは難しいでしょうね。だからこそこうしてドラマになるわけですが、彼の姿をカッコいいと少しでも思ったら、それに通じる人間性の器を磨けるように努力したいところですね。とくにこの作品が中高生に親しまれてるなら、なおのこと上条当麻というキャラクターは重要だと思います。

フラグ体質の主人公は掃いて捨てるほど生み出されていますが、複数の魅力的なヒロインから好意を寄せられるのにふさわしい男は、ごくごく限られていますよね。当麻になら、ハーレム状態も許せてしまいます。
2010年11月08日 04:03
>アニェーゼの善人化
原作未読なので私の推測なのですが…
彼女は元々は善人だと思うのですよ。だけど、所属組織の中で任務を果すために自分の中の良心に逆らい任務を果しているような雰囲気の台詞を言っていたように思えました。そして、そんなアニェーゼの真意を見抜きつつ、ならば何故自分の良心に従わないのだと、当麻が殴り倒したと観ています。
なので、最後の方で神裂に「もしアニェーゼが俺に助けを求めてきていたら全力で俺は彼女も助けるさ」と返していたのだと解釈したです。
と言う訳で私の中では彼女も善人だと解釈しています。ただ、アニメの中でそれがわかりにくかっただけなんだと思いますよ。

時に横レスですが…
>ちなみに釘宮さんはツンデレ声優ではなく幼な妻声優
『りぜるまいん』ですね。判ります。
アレも破壊力が抜群でしたね。そして私が釘宮さんの名前を初めて意識した作品でもあります。
おパゲーヌス
2010年11月08日 04:26
>きつねのるーとさん
コメントありがとうございます。

善人化云々については、誤解を生んでしまったようですね。そのキャラが善人か悪人かという話ではなくて、描写の問題として、視聴者にはAとしか受取れないように描いているのに後からそれを「じつはBでした」とひっくり返すパターンは、よほど巧く描いてくれないとつまらないぞという話です。

例えば今回、オルソラに危害を加えるアニェーゼの姿はひどく醜く描かれていました。でもそれを後になって、じつはあの暴力は崇高な理念や暖かい人間性の発露として行っていた行動だと言われたら、ふざけんなと思っていたことでしょう。禁書やレールガンはごくたまに、そういう安直なミスリードを狙う時があるように思います。理に適った描写をやって欲しい、という話として、善人化しなくてよかったと書きました。

「りぜるまいん」は当たりですw 釘宮さんの名前を認識したのは自分もソレでしたね。もちろん幼な妻声優といったのは、彼女の担当した人気キャラの多くが幼な妻属性だと思ったからです。ルイズみたいなのはツンデレだとは思わないし、ロリキャラと言うよりも幼な妻の方がしっくり来る感じがするので^^
白米プチョン
2010年11月08日 15:34
>安直なミスリード
デュラララ!のどんでん返しの仕方は好きでした。
真相へのヒントや伏線をさりげなく含めてくれると、真相が明かされた後に気持ち良く合点がいくんですが、後出しジャンケンのようなズルいミスリードだと、「これって後付け設定?」などと邪推したくなってしまいます。
ステイルが実は味方側だったり、土御門が魔術師だったり、の場面は唐突感が拭えなかったような。


フラグを立てまくりながら誰ともくっ付かない上条さん周辺を観ているのも楽しいんですが、
個人的な好みではインデックス一筋なのに報われてないステイルや、フラグなんか立たなそうだったのに打ち止めと今後の進展がありそうな一方通行に肩入れしたくなります。(今回オルソラ編でも、インデックス&ステイルの切ない絡みがちょっとだけあった)
上条さんは感情移入できそうでできない、非凡というか孤高のヒーローって感じで観ています。
蓮の杖
2010年11月08日 16:01
>アニェーゼの武器が由来ですか?
その通りです。お気に入りのキャラなもので…

>シャナについては、単に自分が楽しめてないだけです
そうですか、ひょっとして、登場人物がどこか我儘で論理的じゃなかったり、逆に論理的すぎたりするのが不自然にみえるのでは?
シャナやフリアグネやマージョリーの在り様、つまりアイデンティティがわかってくると俄然面白くなってくると思います。
いやはや、昨日最新21巻を読んだのでやたら饒舌になってしまいましたが、シャナは萌え燃えを売りにしながら真のテーマを全編通して描いています。原作もお勧めですよ。
おパゲーヌス
2010年11月09日 04:02
>白米プチョンさん
「デュラララ」や「バッカーノ」も、そうとう強引な展開しますけどねw 反則だろうっていうシーンはたくさんあるのですが、やはり見せ方が巧いというのはあると思います。

誰かを恋しく想いながらも、その想いが成就されない(伝えることすらできない)というシチュエーションは、ぐっと来るものがありますよね。ステイルは、煙草さえ吸わなければもっともっと好きになれるのに・・・。

上条当麻が、感情移入できないヒーローという見方には、全面的に同意ですね。そうそう簡単には共感することのできない、手の届かないカッコよさというものを、彼はたくさん抱え込んでいますね。だからこそ憧れの対象にもなるのでしょう。逆にいえば冷めた目線でこの物語と接する読者or視聴者からは、バッシングの対象になってしまいますが、良くも悪くも真剣に向き合って見たくなるだけの魅力が、あるようですね。
おパゲーヌス
2010年11月09日 04:12
>蓮の杖さん
シャナは、キャラや物語に入れ込む以前に、自分から作品世界に没頭したくなるようなワクワク感がどうも見いだせていない感じです。もともと好きなタイプの作風では全然ないので、まずは自分なりに楽しむポイントを探すところから始めないといけませんかね。実は禁書もそれとまったく同じだったのですが、2期になってやっと、自分としての楽しみ方を理解することが出来て来たような感じがしてますので、シャナも同じような作業をこれからしていければと思います。

7話から見てハマったという人もいるので、楽しみにしておきますね。でも原作に手を出す余裕はないかなぁ、ラノベは何度か挑戦して見ましたが、自分にはちょっと受け付けないですねw 小中学生くらいの頃にラノベと出会っていたらまた違ったかも分かりませんが、今はちと手遅れ感があります。申し訳ありません^^

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