おとめ妖怪 ざくろ 第6話「ゆきて、事々と」

なんかもう、セリフがひとつ語られるごとに涙腺が刺激されてぶわってなる。




・ひとつの山場を越えて


強敵の組織的な攻勢にさらされた上に、思いがけず心の古傷をかきむしられることになった前回のエピソードを受けて、大きな山場をひとつ越えた妖人省の面々が、それぞれなりに心の痛みを癒そうと心掛けながら、来るべき試練に向けて奮起しようとする。とくに焦点が当てられたのは、ざくろと丸竜の両名だ。




まずAパートでは、女郎蜘蛛を前に何の役にも立たなかったどころか、雪洞と鬼灯の両名を危険な目に合わせてしまったことを恥入っている丸竜の話が描かれる。前回の一件を彼がどのように捉えているのか、雪洞と鬼灯の体の心配よりも、むしろ男としての自分の立場の無さにひどくショックを受けているのではないかと思われる様子だったが、双子が過去のことを打ち明けたことで、見栄とかではなく純粋に二人のために、強くなろうと改めて決心したことだろう。


ここは、双子の回想シーンの残酷さがあまりにもインパクトが強くて、そのために話を聞いた丸竜がどんなにいたたまれない気持ちになったかが、とてもよく伝わって来る場面だった。ただセリフによって出来ごとを述べるだけではなく、あえて物語り口調で、子供に語り聞かせるようにして話しかける鬼灯・雪洞。加えてデフォルメされたチビキャラの表現や前衛的な演出によってあえて虚構性が強調されるアニメーションの効果も抜群で、セリフと映像の両面から十二分に異化されたこの回想シーンは、我々の意識を驚くほど強く、作中へと向けさせる。


キャラの心情を強引に押し付けるのではなく、観客をあえて突き放すことによって主体的に歩み寄らせるこの手法が、かえって我々の感覚を丸竜にシンクロさせる。視聴者とまったく同じ視点に丸竜を置くことによって、我々は「物語を見ている自分自身の存在」を強く意識させられながら、同時に、その自分自身を丸竜と重ね合わせるよう導かれてしまう。この追体験からくる感情の横溢は、涙となって我々の頬を濡らすのだ。


このAパートは脚本そのものが素晴らしいので、もうそれだけで十分すぎるほどに心を揺らすエピソードなのだが、映像表現がその効果を何倍にも引き出して見せた。ただ丁寧というだけではなく、優れて大胆かつ繊細にドラマを映像化して見せる今作の質の高さを、存分に見せつけられたエピソードだったのではないだろうか。




・暗雲を孕みながら、物語は続く


双子の境遇や心の優しさに触れて、丸竜はふたたび力強く前を向いて見せるのだろう。むろん彼の場合、自分自身を責め立てたその原因は何も解決出来ていないわけで、スポ根のような簡単な作劇とはならず、むしろ傷口をより鮮明に意識させられることになったと言ってもいい。パートナーと心から強く結び付くということは、すなわちもう言い訳を考えたりして逃げることが許されないということでもある。パートナーを守れるように、そして三人が対等に支え合うことができるように、丸竜はこれから本当の試練に挑んでいかなければならないだろう。


単純に行かないのは景とざくろの方についても言えて、むしろざくろは景のフォローを受けてさえまだまだ危なっかしくて不安過ぎる。彼女の場合は、気持ちが半分(それ以下か?)しか景に向いておらず、もっとも重大な関心事は母親のことであるから、いくら景が真剣にざくろと向き合おうとしても、出来ることは限られている。オマケに花楯中尉に浮気心を持たれてしまっているようでは、総角景の苦難はまだまだ続きそうだ。それでもざくろが相当に心を開いてくれているようなのが、大きな救いか。


今回は、丸竜たちのエピソードは希望の光が差し込んだカタチで丸く収まったが、ざくろに関してはいっそう暗雲が厚くなっていくようで、非常に気がかりだ。常に強く明るく振舞っている彼女が、実は無理をしているという言及。ふと目を離した隙に、踏み越えてはならぬ一線をふっとまたいでしまうような、そんな怖さ。景とのラブコメ以上に、ざくろの暗い影が鮮明に浮き彫りになって来たエピソードだった。


つくはね、という人物は、かなり複雑な事情を抱えているようだ。櫛松が彼女に仕えていたという話にも驚かされたし、とても印象的なキャラクターデザインに、ざくろの詰問に「今は答えられない」と返答して見せた櫛松の苦い表情、そして薄蛍やざくろ自身の回想シーン等々。これらの描写からは、ざくろの物語の抱える事情どころか、それがどんなテーマ性のもとに描かれるかすら想像できない、近寄りがたさがある。もうすでにカップルの相性が抜群になりつつある他の二組に対して、ざくろ・景ペアが乗り越えるべき障害は、あまりにも大きい。


ざくろはきっと、半妖としてのアイデンティティのありかを強く問われることになるのではないかと推測している。もしそうなるのであれば、シリーズ序盤から何度も描かれてきた人間と妖人の相容れない宿命や、妖人省という組織のあり方とも密接に絡まりあった、とても奥の深い、見どころのあるストーリーが展開されるであろうと期待している。その中で、いまだに心の片割れをどこかに置き忘れてきたかのようなざくろに手を差し伸べ、彼女を縛る鎖を断ち切り解放して見せることが、果たして景に成し遂げられるのかどうか。じっくりと見守っておきたい。




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それでは、今回は以上です。


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