そらのおとしもの f (フォルテ) 第7話「西瓜(トモキ) 喰います」

この空気読まないEDのおかげで、どれだけ救われることか・・・。




・かつて皆、暴虐の王であった


公式サイトが突然改変されていたので何事かと思ったら、今回はアバンからもう全開でおどろおどろしい印象をごり押ししてきた。


あの無垢なイカロスが、どこか虚ろで寂しげな表情のまま、無抵抗に殴りつけられる様子。「お人形遊び」というその行為が、我々が子供の頃に必ず経験している遊戯ではあるが、このイカロスへの仕打ちや、それよりもっと酷いカタチで成立していた、傍から見ればひどく残虐な遊びであったことを、いまさらのように思い起こさせる。童心に潜む狂気や暴虐は、子供の純粋さを無条件に良いモノだと信じ込んでいる我々を、ハっと震えあがらせる。


そう言えば、我々は子供の頃にこんな遊びをしなかっただろうか? そのあたりに見つけた小さな命、例えば虫でもいいし、ナメクジやカエル、場合によってはもっと大きなイキモノかもしれない、とにかく必死に生きている無抵抗な命を選びだして、石ころや木の枝や小刀でもって、その体を切り刻むのだ。たとえば蟻はその体が頭・胸・腹の3つの部位に分かれているから、まずそれらを切り離す。そうしてから、その6本の足と2本の触覚をひとつづつ切り分けて行き、また頭や腹を押しつぶす。そうして見るも無残な姿になった、かつて命であったものを見て、彼は面白くなさそうに顔を上げると、何事も無かったように、別の遊戯に興じるのだ。


命を奪うという行為にまつわる、反吐の出るような嫌悪感を、子供はまだ知らない。むしろ、他者の命を自身のチカラの下に組み伏すことによって、自身の強さと大きさを感じ、悦に入るのだ。私は子供の頃、池に飼われていた魚を無残なやり方で殺し、それを聞いた母が涙を流しながら説教をして、そこではじめて、命を奪うことは良くないことなのだと、漠然と感じ取ったことがある。けれどもそれからしばらくは、小さな命を不条理に奪うことに楽しみを見出し続けた。子供心というのは、確かに純粋であるが、純粋であるがゆえに怖ろしい一面を見せる。かつて、我々は皆、暴虐の限りを尽くす王であった。人形を手ひどく痛めつけて楽しむなど、彼にとっていかほどの意味があろうや。


今回のアバンタイトルのシーンは、そんな子供の遊戯の残虐さを余りにも鮮烈に見せつけられたような感覚に陥って、愕然としてしまった。自分の中に眠っていた、何か怖ろしいものを呼び覚まされる感覚。病んだ描写として描かれているはずのエンジェロイドの、あまりの人間臭さ。あぁ、この作品はこんなにも、人間という存在の不確かさをえぐり出してくる! 


SF等においてずっと以前から、人間に似て非なるもの(感情を持ったロボット)が題材として描かれ続けてきたが、その価値はまさしく、人間的なものを人間が創造することによって、かえって人間の持つ不安定な揺らぎや暗部を見つめ直すことに繋がるからであり、それがひとつの文学的題材としての価値を有している。今作もまさにその一環として、エンジェロイドやシナプスといった存在が、その刃を鋭く我々に突き付けてくる。これはギャグアニメ的要素の色濃かった第1期のころから、変わらない作品のスタンスと言えよう。




・ホラー演出でも自重しない「そらおと」


そんな衝撃のアバンから始まった第7話は、ある程度はいつも通りのコミカルなシーンも挟みつつ、しかし思った以上にシリアスな、というかむしろホラーな演出を繰り広げる。ホラーものは大の苦手な自分には、もう心臓が縮みあがるくらいに怖かったですよ。


何が出てくるかが分かっているはずなのだけど、カオスの進出鬼没っぷりがじつに怖い。どのタイミングで、どんなふうに登場するのか。登場したらいったいどうなってしまうのか。作中にジェイソンが描かれていたが、まさにあれと同じ類のパニックホラーと言って良いかもしれない。そして、その演出の仕方が最高に巧いのと、いざ登場したときのカオスが想定以上にぶっ壊れていて怖かったので、今回はもう本当に完敗だった。愛生さんのヤンデレ演技もなかなか良かったのが、なおさらw


それでも、完全にホラーにしてしまうのではなく、ちょくちょく笑えて萌えるシーンを挿入していたりするのが、かなり救われる。とくにED。ニンフが精神的にも肉体的にも痛めつけられて、もうやめてくれ!って叫びたくなってしまう悲惨な幕引きだったので、ある意味でまったく空気を読めていない懐メロEDのおかげで、最後にやっと「そらおと」として締めくくることが出来た気がした。本当に今回は、キリキリと気が痛くなるエピソードだったなぁ・・・。




自分はCパートで本編の続きをやるのが大嫌いで、それでも本編はギャグ、アバンとCパートはシリアスとたて分けられているウチは良かったのだけど、こうやって本編とCパートが密接にリンクしていると、せっかくEDで「終わった!」と思っていた気分が台無しになるので、なるべくやめて欲しかったりする。とはいえカオスの話にひと段落ついたら、また元の(?)ギャグメインに戻ると思うので、今回は特別だったのだと思っておくことにする。今が2期のクライマックスであることはたぶん間違いないわけだし、ひょっとしたら2期で見せるシリアス劇は次回までで、もっととっておきのエピソードは劇場版に回すということも考えられる。まずは次回、カオスをめぐるドラマの顛末を楽しみにしておこう。


・・・怖くて見たくないってのが本音だけどw




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それでは、今回は以上です。


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