刀語 第11話「毒刀・鍍」
今回は七花の見せ場が少ないなぁと思ったら、コレだよ・・・。
・vs真庭鳳凰編、と思いきや……?
今回はもう間違いなく、毒刀・メッキを所有する真庭鳳凰と、虚刀流・鑢七花との一騎打ちが演じられるであろうというエピソード。しかしその鳳凰の本来の見せ場は右衛門左衛門との折半、七花との決闘は心を四季崎記紀に乗っ取られていた上に鳳凰独自の忍法「断罪円」を繰り出すまでもなく敗れてしまった。うーんw
最終回直前を盛り上げるために、ものすごいバトルを期待しちゃってた身としては、少々肩すかしを喰らった感は否めない。作品そのものとしては、右衛門左衛門vsペンギンのバトルや、四季崎記紀の特殊能力が明かされるなどして、十分に見応えはあった。しかし、これまで縦横無尽の活躍を見せてくれた鳳凰が、その真価をほとんど発揮することなく退場となってしまったのは、錆白兵との対決が描かれなかった時ほどでは無いにせよ、それでも消化不良なのは変わりが無い。この分のツケは、次回たっぷりと払ってもらえることを期待したいw
一方で、左右田 右衛門左衛門のカッコいい活躍に惚れ惚れとさせられた話数でもあった。というか後半は毎回そんな感じだけど。彼の独特のセリフ回しと冷めた声色はすごく艶っぽくて、しかもただニヒリストなのではなく内に秘めた熱い想いを感じさせるのが本当に素敵。そんな右衛門左衛門が、もうこいつが主人公じゃないのかと見紛う程に活躍して見せるのが、ここ数話の傾向だ。今回も、ペンギンとの対決だけでなく、ラストでとがめを撃ち抜くところなども、本当にカッコいいポージングやアングルで、劇の進行もそっちのけで黄色い声を上げたくなってしまう。右衛門左衛門、いいキャラしてるよなぁ。
・とがめと七花のラブコメもまとめに
右衛門左衛門が姫様の命令や自身の目的を果たそうと頑張っている脇で、とがめと七花はこれまでの旅路を振り返りながら、改めていちゃいちゃとラブコメを繰り広げる。今回の衝撃の幕引きを考えれば、ココで今作の総括のようなものをやっておくというのは、至極妥当な作劇と言えるだろう。
とくに前回が、二人が二人とも、自分自身の過去や宿命と対峙するよう迫られたエピソードであった。7月に放映された七実との対決編以降は、あまり性急にキャラの内面を掘り進んで行くのではなく、彼らが自分なりのやり方で自分自身の生き様を見定めていくように展開されてきた今作は、こと七花ととがめに関する限り、敵ではなく己との対峙を迫られるカタチで「剣の道」を描いている。その最後のまとめを、今回で行っているということだろう。
剣戟ものであり、キャラクターの魅力に重点を置き、かつ適度にラブコメを描いている、一見すると非常にエンターテイメント寄りの作品である「刀語」。しかしその実態は、きわめて精神論的な見地から、剣の道、ひいては人としての生き様そのものへの問いかけを行っている作品のように見える。
照れたりデレたりして微笑ましいとがめ達の姿には、ただのサービスシーンと決めつけるにはあまりにも惜しい、いろんなメッセージが隠されている。それは時に平易な言葉で語られ、時に煙に巻く態度で戸惑わせる。そこから何を掴みとるかは、受け手次第だ。西尾維新は今頃、彼我木輪廻にでもなったつもりで、このアニメと我々視聴者の行く末を、高みから見守っているのかもしれない。
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それでは、今回は以上です。

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・vs真庭鳳凰編、と思いきや……?
今回はもう間違いなく、毒刀・メッキを所有する真庭鳳凰と、虚刀流・鑢七花との一騎打ちが演じられるであろうというエピソード。しかしその鳳凰の本来の見せ場は右衛門左衛門との折半、七花との決闘は心を四季崎記紀に乗っ取られていた上に鳳凰独自の忍法「断罪円」を繰り出すまでもなく敗れてしまった。うーんw
最終回直前を盛り上げるために、ものすごいバトルを期待しちゃってた身としては、少々肩すかしを喰らった感は否めない。作品そのものとしては、右衛門左衛門vsペンギンのバトルや、四季崎記紀の特殊能力が明かされるなどして、十分に見応えはあった。しかし、これまで縦横無尽の活躍を見せてくれた鳳凰が、その真価をほとんど発揮することなく退場となってしまったのは、錆白兵との対決が描かれなかった時ほどでは無いにせよ、それでも消化不良なのは変わりが無い。この分のツケは、次回たっぷりと払ってもらえることを期待したいw
一方で、左右田 右衛門左衛門のカッコいい活躍に惚れ惚れとさせられた話数でもあった。というか後半は毎回そんな感じだけど。彼の独特のセリフ回しと冷めた声色はすごく艶っぽくて、しかもただニヒリストなのではなく内に秘めた熱い想いを感じさせるのが本当に素敵。そんな右衛門左衛門が、もうこいつが主人公じゃないのかと見紛う程に活躍して見せるのが、ここ数話の傾向だ。今回も、ペンギンとの対決だけでなく、ラストでとがめを撃ち抜くところなども、本当にカッコいいポージングやアングルで、劇の進行もそっちのけで黄色い声を上げたくなってしまう。右衛門左衛門、いいキャラしてるよなぁ。
・とがめと七花のラブコメもまとめに
右衛門左衛門が姫様の命令や自身の目的を果たそうと頑張っている脇で、とがめと七花はこれまでの旅路を振り返りながら、改めていちゃいちゃとラブコメを繰り広げる。今回の衝撃の幕引きを考えれば、ココで今作の総括のようなものをやっておくというのは、至極妥当な作劇と言えるだろう。
とくに前回が、二人が二人とも、自分自身の過去や宿命と対峙するよう迫られたエピソードであった。7月に放映された七実との対決編以降は、あまり性急にキャラの内面を掘り進んで行くのではなく、彼らが自分なりのやり方で自分自身の生き様を見定めていくように展開されてきた今作は、こと七花ととがめに関する限り、敵ではなく己との対峙を迫られるカタチで「剣の道」を描いている。その最後のまとめを、今回で行っているということだろう。
剣戟ものであり、キャラクターの魅力に重点を置き、かつ適度にラブコメを描いている、一見すると非常にエンターテイメント寄りの作品である「刀語」。しかしその実態は、きわめて精神論的な見地から、剣の道、ひいては人としての生き様そのものへの問いかけを行っている作品のように見える。
照れたりデレたりして微笑ましいとがめ達の姿には、ただのサービスシーンと決めつけるにはあまりにも惜しい、いろんなメッセージが隠されている。それは時に平易な言葉で語られ、時に煙に巻く態度で戸惑わせる。そこから何を掴みとるかは、受け手次第だ。西尾維新は今頃、彼我木輪廻にでもなったつもりで、このアニメと我々視聴者の行く末を、高みから見守っているのかもしれない。
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この記事へのコメント
鳳凰と右衛門左衛門は元は親友で鳳凰が里を守るために社会性のある人格を求めて右衛門左衛門の顔を奪い人格を手に入れたという、右衛門左衛門と同じくニヒルながら熱い所から
「こいつら漢だ!この二人だけで一本作品作れるじゃないかッ!?」
と興奮したものです。
ちなみに私が好きなのは1位鳳凰、2位右衛門左衛門、3位輪廻な感じです。
『鍍』はやはり人間の意識を保存するものだったかもしれませんね。それこそ人間を永遠に生かす刀だったのでしょう。
なるほどー。いや、お気持ちはよく分かります。鳳凰を乗っ取った(?)四季崎記紀は、七花との対決では初めから勝つ気がなさそうでしたからね。逆にいえば、四季崎記紀の刀に対する執念は、非常に伝わって来るドラマでした。
鍍が何だったのか。あえて真相を明かさないで視聴者の想像にまかせる辺りは、西尾維新らしい味のある作劇でした。歴史の改竄、とがめの父のやろうとしていること、そして否定姫ととがめの決着。このあたりも、推理ドラマのような明快さにはならないのではないかと予測していますが、しかしあえてぼかすからこその魅力を、追求してくれていると期待しています。