とある魔術の禁書目録Ⅱ 第7話「座標移動(ムーブポイント)」

アクセラレータ、相変わらず怖ろしいヤツだなぁw



・黒子編完結


白井黒子の送る、残骸(レムナント)をめぐる推理とアクションのハードボイルド超大作も、ついに完結を見た。いいとこ取りで主役っぽさを見せつけた上条は置いておくとして(笑)、美琴と黒子の絆の深さを、黒子の壮絶な戦いの中に描き切ったエピソードだった。めちゃくちゃカッコよかった!


お互いに似た系統の超能力、それも瞬間移動をしたりさせたり出来る、描写としては非常に厄介な能力を使っての、見事な戦闘アクションがまず見応えがあった。狭い部屋の中で、活用できるものはすべて活用してのアクションシーンは、女子中学生のやることにしては目をつむりたくなるほど酷い描写にもまったく臆することなく、極度の緊張感のもとに表現されていたのがじつに良かった。後半の、エフェクトや瓦礫の洪水のような作画と好対照となる、地味だけれども密度のある作劇。むろん、レベル5とそれ以下との能力的格差を視覚的に訴えることも忘れていない。


一方で上条当麻の超人的活躍は、こちらは能力の設定に影響されない、純粋にある演出意図のもとに表現された虚構的な画面作りで、クライマックスに相応しい盛り上げ方がストーリーと映像の両面から追求されていた。でも、こんな一番おいしいところを持って行くのはどうかと思ったw やはり「レールガン」を見たときのイメージがあるからか、わざわざ当麻の見せ場にしなくたっていいんじゃないかと、どうしても思ってしまうな。黒子だって、どうせお姫様だっこされるのなら当麻ではなく美琴が良かったろうにw


もちろん今回の本当の主役は、他でも無い「妹」たちだ。黒子を救出するための当麻に、残骸(レムナント)を破壊するためのアクセラレータと、絶妙の配役で事件に終止符を打った。妹たちやラストオーダーの活躍が無ければ、事件を完全な解決に導くことは不可能であったろうし、また解決できたという情報を入手することも出来なかった。第7話に関しては、これはすべてシスターズの手の上で踊ったエピソードだったと言えるだろう。




・結標淡希における、ピストルの意味


今回、あえなく敗退してしまった我らがゆりっぺ、もとい結標淡希。悪役というよりはただの女の子らしい苦悩を抱えている様子が描かれた彼女だが、お涙ちょうだいな展開になりそうだったところを、黒子の強烈な言葉によってその幻想が打ち砕かれることになった。結標淡希はたしかに自分なりに考えて行動していたようだが、シチュエーションの如何によって幾度も心をぐらつかせているのは、自分の下した結論に心から納得が行っていなかったからに違いない。


学園都市が子供たちに強引に特殊能力を付与するおぞましさは、今作では何度もほのめかされてきたことだ。超能力を手にできると言うことは、最初は憧れを持って空想していたとしても、いざ手にしてみればそのあまりの鋭利さに背筋が凍りつく思いがするのであろう、結標の言う「怖かった」という発言にはじつに真摯な響きがこもっていた。チカラは結局使う人次第と黒子は言うが、大きすぎるチカラは人間たちの儚い想いなど簡単に踏みにじってしまうことは、実際に歴史が証明していることだ。黒子の言説も、言って見れば詭弁に過ぎない。


だから、人間以外のもの、というより生命以外のものに能力を付与してしまうほうがよほど人道的だという結標の発言は、とても合理的だ。むろんコンピュータに能力を持たせたからと言って、チカラの使い道を簡単に見誤る人間の習性を克服しなければ、何の意味も無いのであるが。しかし子供たちを実験動物として扱う罪は、一時的に免れることは可能だろう。


それでも、その正しい(と彼女が考えている)目的のために不当な手段を行使するというのでは、言っている本人が納得できないのは当然だ。結標は、自分が傷つくならまだしも、平気で敵や味方を傷つけ、犠牲にすることで、目的を遂行しようとした。その矛盾を、彼女は強烈な拒否反応を示していたにも関わらず、無理に抑え込んでいたのではなかったか。


それがもっともよく表れたのは、黒子をピストルで撃ち抜いたシーンであった。前回から散々黒子を傷つけておいて、いまさらピストルで撃つことを躊躇するのかと、本来ならば思ってしまうところ。しかし重要だったのは、彼女は人を殺す覚悟はしていなかったということだ。黒子への攻撃も、他の暴力行為も、すべて命を奪う危険の無い範囲でのものだった。それが、咄嗟のこととはいえ、簡単に人の命を消し去ってしまう弾丸に頼ってしまったという事実が、彼女にとってはあまりにも重いことだったに違いない。


結標淡希というキャラクターも、かように矛盾と倒錯に満ちた、未熟な若者であった。このような子供が悪役を演じなければならない今作の物語構造は、あまりにも惨たらしく容赦の無いものであると、言わざるをえまい。この絶望的に間違った世界の中で、当麻が、美琴が、アクセラレータが、いったいどんな希望を追い求めて走り抜いて見せるのか。今後のドラマの展開によく注目しておきたい。




・「超電磁砲」から「禁書目録」へ。システム主義から英雄主義への移行


今回はしかし、黒子が自分の立場を初めて自覚することになった物語だったようだ。一見、風紀委員という公的な組織に所属し、学園都市の裏側を支えていたハズの彼女だが、気付かないうちに、学園都市は黒子の思ってもみないほど大規模な動乱の中に叩きこまれていた。


そしてその混沌たる状況にあっては、もはや都市機構によって定められた肩書きではなく、純粋な能力の資質と目的意識が問題となる。すなわち、この動乱に飛びこんで行くだけのチカラと意志を持った英雄だけが、この物語の主役となれるのである。上条当麻や御坂美琴は、もはや黒子の手の届かない存在になりつつあった。それを知った彼女が今後どんな決断を下すか、楽しみではある。


思えばアニメ「レールガン」で展開された物語は、まさに学園都市が、すでに定められていた秩序ある空間から、一般人の手の届かない領域へと移行して行く、その過渡期を描いたものであったと言える。「レールガン」第1話の頃から、厄介な事件に首を突っ込もうとする”一般人”御坂美琴に対して、ジャッジメントとしての黒子が何度も苦言を呈していた。その構造は、学園都市のシステムがまだ正常に機能していることの象徴だ。しかし「レールガン」が24話分のエピソードを消化する頃には、所属組織などにこだわっていられないほど事態が切迫していき、そこで美琴が”英雄”として事件の解決に大きな影響を及ぼすようになっていった。


人間の組織的な活動が機能しており、一人のカリスマ指導者ではなくシステムによって社会が動いている状態というのは、平穏な治世と呼ぶことが出来よう。しかしそのシステムが機能しなくなり、一部の野心的な人々による社会への影響が大きくなって行くのは、一般的には政治的に不穏な状態とされる。ましてやそこでいくつもの思惑の対立が繰り広げられるようになれば、それはもはや乱世と言っていい。


「超電磁砲」的学園都市から「禁書目録」的学園都市への移行は、まさに平穏な治世が崩れ、乱世に突入していく様そのものである。そしてそんな乱世だからこそ、御坂美琴や一方通行のような”強さ”が脚光を浴び、また上条当麻のような感情的な正義観が人々の心を惹きつけるのだ。


白井黒子が垣間見てしまったもの。それは、もはや自分の知る学園都市の姿を失ってしまったこの社会の現状と、その中でまさしく英雄のごとき活躍(※)を見せているお姉さまの、強い強い光の輝きであった。


※それは無論、良い意味だけではない。英雄には英雄のみが味わうことになる苦悩や痛みがあることは、すでに「禁書」1期の頃からさんざん描かれてきたことであった。




さて、次回は運動会ですか?w しかしさっそく次の事件が始まるようで、展開早いなぁと思うw 今作特有のマヌケなコメディをもうちょっと楽しませて欲しいけれど、どうなるかな。超能力の描写がふんだんに盛り込まれることも期待できそうなので、楽しみにしておきたい。



----


それでは、今回は以上です。


にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
にほんブログ村
↑ランキングに参加中です。拍手の代わりですので、読んで良かったとちょっとでも思ったら、クリックしてもらえると嬉しいです^^




ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

この記事へのコメント

アルルカン
2010年11月21日 10:09
原作通りにゆりっぺ…あっきーは真庭忍軍並の噛ませ犬っぷりでした。
一方通行は相も変わらず、能力も顔芸も凄いですね~。岡本信彦さんが普通なキャラで登場しても一方通行を思い出してしまうほど印象深いキャラです。
ところで
あっきー=ゆりっぺ
監督(アマガミ)=TK
月海(海月姫)=天使
と転生先(?)を観てしまうと音無や日向を探してしまいたくなるのは割りとAngel Beats!が好きだ故の性ですしょうかね~。
おパゲーヌス
2010年11月22日 00:58
>アルルカンさん
転生先って面白い言い方をしますねぇ。花澤香菜や岡本信彦は出番が多いので、どのキャラの印象が強くなるかはいろいろありそうですが、アニメでは馴染みの薄い声優さんの場合(しかも前作のキャラを彷彿とさせる場合)は、聞いているだけで、脳内で絵をダブらせてニヤニヤしてしまいますね。

音無や日向ですか。うむ、どうなるでしょうかねw
しずく
2010年11月22日 15:05
>前作のキャラを彷彿とさせる場合)は、聞いているだけで、脳内で絵をダブらせてニヤニヤしてしまいますね。

オオカミさんと七人の仲間達のナレーターは、そういう意味では劇薬並に凄かった。(実際本編中にちらっと彼女らの写真が出てきたり増しましたし)
ナレーターを一個のキャラクターとして認識しつつ視聴したアニメなんてオオカミさんくらいなものです。…ああ、キャラクター自身がナレーション(地の文/独白)しているようなのは除きます。ハルヒのキョンとか。

個性が爆発したキャラを演ったあとの後番組とかだと、イメージの引きずりが厳しかったりしなかったり。
→これで全然別人だろというような演技をしてくれると、私的には「この声優さんすげぇぇぇ」となるわけです。

…今回の「禁書Ⅱ」オオカミさんを経由して黒子が帰ってきたような感覚で御座います。
おパゲーヌス
2010年11月23日 04:01
>しずくさん
ナレーションですかー。自分は、同じ時期にやっていた「アマガミSS 中多紗江編」もすごくインパクトがありましたねw 黒子を彷彿とさせたのは、むしろ「生徒会役員共」の畑ランコ。あれは良い黒子だった・・・!

こうして黒子の活躍を拝めるというのはとても嬉しいですね。変態MAXな彼女も素敵ですが、シリアス黒子のカッコよさは異常です。

この記事へのトラックバック