神のみぞ知るセカイ 第８話「Coupling with with with with」

ママン、可愛いとは思ってたけど、まさかここまでとはｗ



今回は、原作者・若木民喜による脚本で、しばらく脇役に徹していたメインヒロイン（違）エルシィとのラブコメを描くエピソード。前回ががっつり気合いのこもったドラマだったので、箸休め的な回とも言えるが、そのわりに凝ったプロットと見応えのある作画で存分に楽しませてくれる。いいなぁ、こういう回。このノリはもっともっとやって欲しい。


いままで、エルシィがあんまり可愛いのですっかり忘れていたけど、料理をやらせるとこんなにも地獄の住人になってしまうエルシィの設定が、とても可笑しかったｗ　触手弁当にもビックリさせられたが、地獄界の砂糖のなんとキモカワイイことかっ！　鳴き声といい形状といい、この発想力には脱帽だったなぁ。さらに卵から孵ったたくさんのクリーチャーも、一匹一匹をじっくり観察したくなる。マンドラゴンの造形や作画も、とても良かったな。


第２話あたりを除いて、エルシィはいままで、飛んだり魔法浸使ったりするくらいしか非日常的な光景が見られなかった。なので、桂馬がエルシィをあんなにも邪険にするのがちょっと疑問で、あんな可愛い偽妹と同居するなんて羨ましい奴だくらいに考えていたのだが、各ヒロインの攻略にいそしんでいたほとんどのエピソードでは見えて来なかった、桂馬とエルシィの本当の日常が今回描かれて、思わず本気で桂馬に同情してしまったｗ　さすがに毎日こんな目に合わされるかと思うと、きついｗ


一方で桂馬についても、エルシィや駆け魂狩りとは別の場所に存在している彼の日常が描かれることになったが、こちらもこちらで相当に偏屈かつシビアな日々を過ごしているようだ。１００点さえ取れば、周りに迷惑さえ掛けなければ、何をやっていても良いという桂馬の発想。これは完全に間違っているのだけど、その思考回路が、世の中を甘く見ている（あくまで自分がその中を泳いで行くということを想定して）とは違って、もう完全に、世の中と決別したがっているというのが、いかにも高校生男子らしい発想で微笑ましい。１７歳の頃の自分も、ゲーム世界に住みたいとはもちろん思わなかったが、しかし現在の世界のシステムを軽蔑して、そこから外れた自分だけの道を歩いて行くんだと、本気で心に誓っていたものだった。具体的な方向性はともかく、１０代後半以降の青年期に特有な絶望感や孤高主義が、桂馬にも存分に見て取れる。そういう意味では、教師に反発する彼の態度はじつにリアルな共感を覚えたなぁ。


脚本に関して。３０分間を、桂木家の３人の視点からなるエピソードを複合的に重ね上げた今回の構成は、なかなか技巧的なこだわりがあって面白かった。たぶん普通に時間軸通りに構成していても、まぁまぁ面白いエピソードだったと思うのだが、甘いものが大嫌いだと言った桂馬がじつはケーキをちゃんと食べていたこと、突然中止になった家庭訪問の真相などを、時系列を入れ替えることで洒落た演出として機能させていた。また、ＡパートとＢパートで、桂馬とエルシィが共有する時間をそれぞれの視点から２度描いたのも、個人的にとても好きな演出だ。


複数視点で同時に進行するいくつものドラマを、複合的・重層的に展開するという脚本の手法は、自分の好きな浦畑達彦氏が得意とするもの。あるいは吉野弘幸も「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」で用いており、優れた構成力を発揮できる脚本家が、１話をまるまるオリジナルで仕上げるチャンスを手にした時に、時折り堪能することができるのではないかと思う。今回それが出来たのは、原作者自身によるアニメ用の新作エピソードだからであろうか。時系列をシャッフルするという変化球も交えて、とても面白い話数に仕上がっていた。


それから何と言っても桂木母の猛プッシュ。これはなんとも嬉しい誤算だったｗ　アニメで、主人公の母がエロ可愛いサービスシーンを見せるというシチュエーションは、「ハレグゥ」を思い出すなぁ。三次元では熟女の方はご遠慮頂きたいのだけど、二次元の熟女キャラってすごく好きだ。もちろん、どうみたって２０代にしか見えないキャラクターデザインの賜物だけどｗ　シャワー・入浴シーンも良かったけれど、タオルを一枚巻きつけただけの姿で、屋内に潜んでいるらしい泥棒の影におびえ、しかし家族のために勇気を振り絞って見せる健気な彼女に、全力で惚れた。こういう時はきっと元ヤンらしい暴走を見せると思ってたのに、なにあの女の子女の子した様子。すんごいギャップ萌えじゃないかｗ


エルシィといいママンといい、恋愛対象にはならない設定のキャラの魅力が高いと、本筋のドラマも大変面白くなる。次回からはいよいよ汐宮栞の登場となるのだろうか、そちらもとても楽しみなのだが、エルシィやママンの活躍の場もこれを機に倍増してくれると、すごく嬉しい。あと、できれば、過去に攻略したヒロインがもう一度、本編にちょっとでも絡んでくれると、色んな意味で救われるのだけれど。ＥＤ映像のように、登場ヒロインがみんなで桂馬を愛でるシーンとか、すごく見たかったりｗ




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それでは、今回は以上です。



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Comments

[nationwise]

おはようございます。コメントは久し振りです。
今回の話は完全オリジナルではありません。エルシィサイドと桂馬サイドで裏表の構成で原作で描かれました。
ママンについては完全にオリジナルです。
ツイッターで若木先生が書いていましたが、今回はママンを動かせたいがために構成したようです。ですから、原作での話とオチは変わっています。

[おパゲーヌス]

＞nationwiseさん
コメントありがとうございます。

なるほどー。公式サイトのあらすじ紹介にそれっぽいことが書いてあったので、完全新作かと思っていました。半オリジナル、ということですか。エルと桂馬の他に、３つ目の視点であるママンのエピソードが前後から挟みこむことで、複雑な構成のもつ面白味がぐっと増しているように思いました。

今作はもともと、恋愛ドラマというよりは推理ドラマ的な展開を取る作品に思えます。ひとつひとつのエピソードの構成力がモノを言う作品だと思いますが、今回はまさに、そんな原作者の手腕を改めて見せつけられた印象でした。

[原作読者]

原作では桂馬がエルシィの目の前でケーキを食べてたので、そっちのほうが良かったという人もいるかも知れません。
マンドラゴンは原作では投げっぱなしになってたので、きちんと解決させたのは良かったと思います

[おパゲーヌス]

＞原作読者さん
コメントありがとうございます。なるほど、そんな違いが。

まぁせっかく、わざわざ脚本を担当してもらったのですから、原作でやったのとは違うものを見せてもらわないと意味は無いですよね。その上で、ケーキをエルシィの前では食べず、代わりに「甘いものが大っきらいだ」なんて言ってエルシィを悲しませた桂馬の行動は、自分はとても好きでしたね。根は優しいんだけどその上がねじ曲がってるｗ

マンドラゴンは、見ていてとてもゾっとする光景でしたｗ　エルシィはなんてものを食わせようとしてたんだｗ　

エルシィは触手弁当を食べることができる。触手弁当はマンドラゴンを食べることができる。マンドラゴンはエルシィより強い（？）。なんだかそのままカードゲームにもできそうです。