それでも町は廻っている 第10話「穴ツッコミじいさん」

こういう幽霊エピソードは大好きですよ




今回は、異世界系(?)のエピソード二本立て。AパートはSF仕立てに、謎の装置を手にしてしまった歩鳥と紺先輩が未知との遭遇を体験する。


いかにもチープで子供騙しな銃のデザインと、それとは対照的ないかついクリーチャーデザインのギャップが、なんとも面白い。今回ばかりは馬鹿な歩鳥の自業自得なんかではなくて、あんなオモチャみたいなの拾ったら誰だって歩鳥と同じような行動をしかねないし、むしろモンスターが登場したあの状況でよく冷静でいられたものだと、褒めたたえたくなるようなシチュエーションだ。


明らかにいつもと雰囲気が違う歩鳥が、穴をあけた犯人が自分だと打ち明けるまでは想定内としても、そのあとに紺先輩が自分の秘密を打ち明けるというのは、うまい発想の展開だと思う。この作品、こういうトリッキーな展開が好きだよなぁ。そのわりにラストシーンが投げっぱなしなのは、今作にしてはちょっと珍しい。たいていの場合、エキセントリックな事件のあとに日常風景へと回帰するのがセオリーだという印象があったので、あえてその日常をぶち壊したまま放置した今回は、ネタだけでなくプロットからして異色。それなら、アニメ版としてもっと大袈裟にパニックホラーな演出にしても面白かったかもしれない。死亡エンドにしては、ちょっとブラックユーモアとしての印象が弱すぎた。




Bパートは一転して、人の生き死にや人生の妙をしみじみと考えさせる、ハートフルなドラマ。原作を読んだ時も、ときどきこういう宗教色の見える、一風変わったエピソードが挿入されていて、それがすごく好きだった。今回改めて映像として見せられると、やはりこの手のドラマがとても魅力的に見える。


今回のこのエピソードは、原作だともっとコミカルな印象があって、それに比べるとじーさんのツッコミや偏屈の度合いが弱い感じもしたけれど、その分、味のあるドラマに仕上げてくれた印象だ。もっと漫才仕立てのテンポにしたほうがコメディとしては面白かっただろうけれど、こういうゆったりした回もまた良いものだ。


今回面白かったのが、 櫻井孝宏の演じているメイド長が、正真正銘の”女性”に見えたこと。いつもはもっと奇怪なイキモノとして認識していたのだけど、夫のことを思い出しながら床に就く婆さんの姿は、何気ない日常の一幕であるからこそ余計に、長くも短い人生の不可思議さに胸を打たれる思いがした。


一番奥の席にコーヒーを淹れてくれと頼んだ磯端ウキ。このとき彼女は、確かに夫の姿をそこに感じていたのだと思う。喜劇としていちおうオチは付けたものの、むしろあのコーヒーを自分で飲んだのは、柄でもない感傷に浸る姿を他人に見せたくないがための、照れ隠しだったんではないかな。動物たちのようにはっきりと知覚することはできなくても、ほんの一瞬、気のせいかもしれないような儚さで、客席に座って得意そうに聞き耳を立てている死んだ夫の姿を感じていたのが、このシーンの真相だったのだと思いたい。そしてコーヒーを淹れてもらった後に、そんな馬鹿馬鹿しい妄想をした自分自身を嗤いながら、ありし日のことを思い出しつつコーヒーをすすったのだろう。


何をするでもなく、ただこうして時々思い出してあげること。そんな些細なことが、故人に対して何よりの供養になる。あえて幽霊視点から描くことで、普段なかなか気づくことの無い視点から、人と人、心と心の繋がりの価値のありかを、訴えかけるエピソードだった。





----


それでは、今回は以上です。


にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
にほんブログ村
↑ランキングに参加中です。拍手の代わりですので、読んで良かったとちょっとでも思ったら、クリックしてもらえると嬉しいです^^




ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック