そらのおとしもの f (フォルテ) 第11話「幻想哀歌(ムサベツ)の果て」

神回と言わざるを得ない。ドラマも、アニメーションも、最高だった




・カオス戦第2ラウンド


とうとう復活してしまった第2世代エンジェロイドのカオス。第8話でも素晴らしい戦闘描写と胸をえぐるようなドラマで魅了してくれたばかりだが、それをさらに上回るエピソードに仕上がっていて、感涙モノだった。ここでこんなのを見せてしまって、劇場版はいったいどれだけのものになるというのか!?


とにかく、愛=痛み、だと認識したカオスの、怖さよりはむしろ哀しさに注目させる作劇が、見事すぎる。「愛して殺して!」と叫ぶ彼女は、正常な判断基準からすればずいぶんと矛盾した言動に見える。しかし、愛が痛みであり苦しみだというのは、一面の真実なのだ。以前イカロスは、愛を想うと動力炉が痛くなる、と言った。それを聞いたカオスは、実際に海の奥底に沈められて、寂しさや恐怖から、心の痛さを十二分に味わったことで、愛を部分的に理解することができたのであった。しかし、心の痛みと肉体の痛みを区別できない彼女にとって、愛の最大限の発露とは、すなわち相手の命を奪うことであった。


心の痛みと身体の痛みを区別できていないのは、イカロスもまた同じである。そう言う意味で、イカロスとカオスは非常によく似ている。ただイカロスの場合は、カオスと違って良きマスターに恵まれ、良き愛を知ることができた。記憶が曖昧になりながらも、身を賭して愛する人を守るという行為に至ることができたのは、イカロスが自分で学んだ愛のカタチであった。さらに今回、智樹が「死ぬな」と命令することによって、自分一人では知り得なかった愛のあり方までも、彼女は知ることができたのではないか。


思えば第9話で、イカロスにお小遣いをあげることにした智樹の行為は、今回エンジェロイドたちに一緒にいたいと語りかけた彼の言葉を、そのまま体現したものではなかったか。いやもっと言えば、いつでも智樹は全力で、エンジェロイドたちに愛について教えていた。それは無意識の行動であったかもしれないが、今回、智樹が三人のエンジェロイドに訴えかけたセリフの全てを、彼はこれまでにずっと行動で示してきたのであった。ここで改めて彼の信念が言葉として表現されたことで、シリーズを貫くテーマが明確に提示されることになったと言って良く、1期2期を通じてのクライマックスと捉えてもよいエピソードだったのではないだろうか。




・ずっと見たかった空中戦


それにしても今回のアクションは見事だった。見事すぎた。1期のクライマックスを飾った戦闘シーンで痛感したことだったのだが、ずっと作画が良いと思ってきたこの作品でも、もっとも注目していた空中戦描写において、もうひとつ突き抜け切らない部分があって、悪くないんだけどもっとこう・・・! みたいな感覚をどうしても抱え込んでいた。


それはひとえに納豆ミサイルの描写に不満があったからで、頑張ってはいたけれどイマイチ美しくない板野サーカスもどきに、期待を裏切られた感があったのだった。この作品なら、もっと上を目指せる。そう強く思っていた。2期第8話ではアストレアとカオスの素晴らしい空中戦が描かれて、それには大興奮大満足させられたが、しかしイカロスとカオスの巨大兵器を持ちだしての戦闘が優雅さに欠け、その点で惜しいと思わざるを得なかった。


そこで今回。カオスが大きくなったことで、また怪獣っぽいアクションに終始するのかなぁと思っていたところで、とうとう、本格的なサーカス描写を取り入れての、秀逸な空中戦描写をやってくれた。イカロスのアルテミスとカオスの触手(羽根?)を用いての、板野サーカスに特有の独特な軌道や、長く糸を引く軌跡の美しいライン、それに臨場感たっぷりにアクロバティックな動きを見せるカメラアングル・・・。まさにこういうのを見たかったんだ、という要望に、ほぼ完ぺきに応えてくれたと思った。しかもそれが、イカロスとニンフとアストレアによる共同戦線で、何よりもあのニンフが羽根を取り戻し本領発揮の活躍を見せてくれたという、あまりにも熱いシチュエーションで見ることができたのだ。興奮するなと言う方が無理だろう!


今回は、この空中戦だけを何度もリピートして見たいと、そう思わせる貴重なアクションパートだった。そう言えば今週は、「輝きのタクト」での戦闘パートといい、また「ミルキィホームズ」でもサーカス的な描写もあったりで、なんだかとってもホクホクさせるアクションパートが目に付いた、とても充実した週だった。最近のアニメはがっつりと板野サーカスをやってくれなくて、TV版「マクロスF」でさえ空中戦描写に不満だらけだったりするので、短くとも、こうやって魅惑的なアクションを見せてくれるのが幸せにすぎる。この分なら、「そらのおとしもの」劇場版でも素晴らしい空中戦を描いてくれるのではないかと、いまから期待がいっぱいに膨らんでくる。早く見たい!w



・最終回はどうなる?


さて、ようやくカオスの無力化にも成功し、ひと段落ついた物語。早ければ次回が最終話になりそうなタイミング(というか、どうも最終話くさいw)で、とても寂しくなる。豊作と評してまず間違いない今期アニメの中で、トップバッターという重責を務め、見事にその役割を全うして見せた今作の雄姿は、いつまでも心に残り続けるだろう。パンツが飛んだというだけでなく、最高に変態的で、しかし最高にドラマティックに完成された、まさに空前絶後の作品として、アニメ史にその名を残すべきだと思う。


映画を控えたなかでこのTVシリーズがどのような幕引きを迎えるのかは未知数だが、無理をしたイカロスの記憶のことや、マスター役を引き受けた智樹とエンジェロイドたちの今後の関係、そしてなにより智樹自身の秘密やシナプスの存在についての謎など、気になる点は満載だ。最終話は、しんみりと愛を語るのか、馬鹿騒ぎをするエロギャグ回になるのか、それとも劇場版へ繋げるべく衝撃的な結末を見せることになるのか。どのような展開が来ても良いように、心して次回を待ちたい。




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それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

オラクル
2010年12月11日 21:24
・智樹、イカロスに続きニンフとアストレアのマスター?になったのか分からないが、カオスとの戦いにより、正式に智樹のエンジェロイドになったと見ていいのであろう。そして智樹もエロバカではなく、かなりまともな男に見えた。カオス、智樹の優しさにより、イカロスと同じ心の痛みを感じ取ったように思え、目が覚めた時。智樹の下に来て智樹ファミリーの一員となってバカな生活を送ってそうにも思える。
おパゲーヌス
2010年12月12日 02:42
>オラクルさん
今回の智樹はカッコよかったですね。普段のバカも、こういう信念や意図のもとにやっていたのかと、目が開かれる思いがしました。いや、そんな高尚なものではないでしょうけれどw

カオスの今後の扱いは気になりますね。次回を楽しみにしたいです。

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