STAR DRIVER 輝きのタクト 第11話「サイバディの私的活用術」

こういうドロドロした人間関係が、面白い




・今回はシモーヌが主役


どうにもエロティックな雰囲気がぷんぷんと漂うおとな銀行の面々にあって、ワタナベ・カナコとはまた違った意味でのエロスを発揮するキャラクター、シモーヌ。今回はそんな彼女の、ごちゃごちゃに交錯する複雑な感情にスポットを当てたエピソードだ。


今作にしては珍しく、モノローグ主体でドラマが進行していった。だからこそ今回の物語は、あくまでシモーヌの主観によって切り取られた世界の描写に終始している。モノローグという手法は、彼女の過去を解説するというだけでなく、今回の事件の顛末を彼女の目線から辿って行くことの宣言でもあったわけだ。


シモーヌが主人のカナコを嫌っているらしいのはもう随分前から描かれていたが、その理由が単に野心や嫉妬からだけではなく、自身の出生にまつわる因縁があったという話。シモーヌの本名がパメラで、彼女にはミレーヌという姉がおり、彼女たちの母がカナコの夫であるレオン・ワタナベの秘書であり愛人関係にあった・・・。といったことを、すべてセリフで矢継ぎ早に説明してしまった今回の脚本には戸惑わされて、わざわざ姉や母の固有名を出す必要があるのか? などと考えていたのだけれど、その裏にシモーヌ自身知る由も無かった秘密があり、またミレーヌが本編に登場するなどというコトになろうとは。すべて計算づくで脚本を仕上げていたというワケで、改めて脱帽させられるはめになったなぁ。


この、シモーヌやカナコをめぐる人間関係には、シモーヌの出生以外にもいろいろと注目点の多かった今回。親友だというミレーヌとカナコの関係も気になるが、シモーヌたちの母親がレオン氏とカナコを結びつけたという言及は、カナコが、ただ若さと美貌によって夫人の地位に収まったのではなく、むしろビジネスパートナーとしての側面が非常に強い夫婦関係なのだということが、推測される。カナコが「結婚記念日を覚えてるだけでも驚き」と言っていたが、カナコが夫を邪険にしていたのではなく、夫婦がお互いに冷めた感情で付き合っているらしい? 今まではあまり気にとめていなかったけれど、おとな銀行のバックにいる財団の存在も、もしかしたら今後、劇中における役割の重要度が増してくるかもしれない。


シモーヌがタカシとイイ関係なのは、これはちゃんと本気なのだろうか。恐らくシモーヌは、最初はカナコを蹴落とすためにタカシに近づいたが、今では純粋に彼のことを好きなのかもしれない。一方でタカシ君は、なんだかとても打算的で、シモーヌを利用している感がぷんぷんする。この二人の微妙に危うい関係性も、とても面白い。


そのタカシ君。主人公から「竹刀を持つよりピアノを弾いてる方が似合ってる」と言われていたのは、『ウテナ』ファンへのご褒美か。確かに言われてみれば、薫幹に似ていなくもない? 大人しそうな顔をしていて実はとても自信過剰だったりとか。今回はシモーヌの駆るサイバディを操ってタクトに再戦を挑んだけれど、あっさり第1フェイズを発動させたスガタの乱入により、あえなく敗北。いままで止められていたのは一体なんだったんだ?w




・ヘッドがいよいよ動き出すか?


サカナちゃんと喧嘩別れして以来、物語の表舞台からは身を引いていたヘッド。今回彼は唐突にスガタと邂逅し、意味深な発言によって物語の胎動を予見させた。


彼が、絵を描くことを趣味にしていたという言及は、当然ながらあちこちに飾られている作者不詳の絵画と、直接関係があるだろう。彼が、いままでしばらく絵をやめていたということ、そして再び筆を取る意欲が湧いてきたということが、今後の展開をどういったカタチで予言しているものなのか。とくに、スガタの後ろ姿を見て「君が美しい少年で本当によかった」と言ったのは、スガタが単にイケメンであるということではなく、彼が銀河美少年であることを指しているのだろうが、ではどうして「良かった」と思っているのか。スガタはヘッドのことを知らなかったようだし、過去に因縁があるようには思えないが、果たしてどういう意図の発言だったのだろうか?


そういえば、ヘッドが学生服を初お披露目(?)していた。3年生の証である青いネクタイが、サカナちゃんの寓話をつい連想させる。このネクタイ、いかにもイカの形状を模したもの(ダジャレではない!)だと思うのだが、ヘッドの青いネクタイと、1年生であるタクトやワコの赤いネクタイは、サカナちゃんの物語に出てきたイカ大王の青い血と少女の真っ赤な血、というコントラストと、何か関係があったりするのだろうか?


今回は真の綺羅星・バニシングエージの連中は出て来なかった。前回やられたまま引きさがるとは思えないのだが、ここで再びヘッドが動き出すそぶりを見せたということは、綺羅星十字団が第3フェイズへと移行する(=ミズノが危機にさらされる)日が近いということか。ヘッドの動き、マリノの動き、そしてタクトの決断に、よく注目しておきたい。




・ミズノの真意はどこに


そう言えばマリノは、タクトに見入っていることを妹に見透かされていた? 「ずっと見てるのが好きだからでしょ?」というミズノの発言は、直前の「ありがと」と組み合わせるとまったく真意が計りづらいセリフなのだが、マリノが呟いた「ずっと見てるのは、”好き”だから」という解釈が、やはり正解なのだろうか。双子だからなんでも通じ合える(だから、マリノのことはミズノには何でもお見通し)と考えるべきか、それともミズノの曖昧な発言をマリノが恋の盲目ゆえに曲げて解釈していたのか。こういう風に、あえて正解の分からない意味深なニュアンスを、ちょっとしたセリフの中に混入してくるのは、さすがのセンスを感じさせる。劇中で発せられる一言一言に、無駄な部分や解釈の単純な部分がひとつも無いんじゃないかとさえ思えてくる。


それと、ミズノが窓から抜け出す時にタイミングよくバスが停車しているというシチュエーション。もう理不尽すぎて説明のしようがない虚構的な演出であり、いかにも”ウテナっぽい”描写だ。セリフと映像を連動させて、さりげないカットも極めて虚構的に演出して見せる、今作のもっとも魅惑的な要素だろう。




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それでは、今回は以上です。


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