おとめ妖怪 ざくろ 第11話「ふれて、殻々と」

お母さん、可愛いなぁ。




・つくはねの記憶と、神がかりの里


最終話を目前に控えて、とうとう、ざくろの出生の秘密が明らかとなる。本編の大半を割いて丁寧に描いてきた突羽根(つくはね)の物語は、前近代的な慣習の色濃く残る世界で、女性というだけで、チカラを持っているというだけで、あるいは種族が違うというだけで、誰かが誰かを虐げることの哀しさを痛烈に描きだす。


前回、この神がかりの里を、まるで平安の世がそのまま時間を止めて存在しているようだという印象を持ったのだが、今回の回想シーンで描かれた突羽根の姿は、まさに『源氏物語』等の文学で描かれてきた女性の悲哀を、そのままに体現しているようだ。


高校の頃に古典で習ったと思うのだが、古代、日本社会における結婚制度は「通い婚」と呼ばれるもので、女がいる家に、男が通っていくという形式がとられた。男性はきまぐれに誰の下へ行くか品定めをし、女性は女性でやってきた男を受け入れるかどうかの選択の自由があった。ただし文学等でしばしば問題にされているように、基本的に女性は家にこもって待っていることしかできないため、一度愛してしまった男性の足が遠のいてしまったときに、胸をかきむしる想いで苦しみ、ついには生き霊となって憎きライバルを殺しに行く、なんていう場面が、『源氏物語』でも鮮烈な印象を残している。


突羽根が里の長と結婚したと言っても、近代的な家族関係とは大きくことなるなら、夫と妻が別々に暮らすというのも大いにあり得ることだ。さらに平安貴族とは違って突羽根の場合、このような場所では話し相手にすらこと欠く状況であったろうし、そのうえ彼女の真面目な性格から、その夫婦生活は苦痛ばかりを味わう冷めきったものだったことが、よく伝わって来る。逆に、このようなまさに貴族然とした生活を送っていた突羽根が、ただの農民の若者と恋仲になるなど、絶対にあってはならない、汚らわしい行いだと見咎められるのも、当然と言える。劇中ではチカラを持たぬ外界の人間への侮蔑が語られることで、彼らの貴族意識を古典を知らぬ視聴者にも分かりやすく提示できていたのではないか。


どうして神がかりの里がこんなにも古臭い(中世期には廃れた結婚制度だという)慣習を保持していたのかは分からないが、時代考証はともかくとしても、愛に生きようとする女性たちの苦痛を象徴的に描きだすのに、この通い婚制度を採用したのはぴったりの設定だと言える。子を孕むことしか期待されていない妻としての自分を諦めの境地で受け入れていた突羽根が、ひょんなことから下賤の者と知り合い、彼に本当の愛と自由とを教えられるという展開は、確かにロマンティックで、ドラマティックで、そして悲劇的であった。


そしてだからこそ、この記憶を共有したざくろのショックの大きさや、櫛松のこれまでの苦悩、それに総角景を中心とする妖人省の皆の決意を、これほどの迫真性をもって描きだすことができたのだと思う。




・ヘタレアゲマキの雪辱に期待!


到底辿りつけないと言われた神がかりの里への突入手段は、こちらはひどくあっさりと、ご都合主義的な解決を見たw むろんここは、いちいちイベントなぞ挟まなくても良い場面。わずかな足がかりを見つければ、ざくろを助けたい一心で危険も顧みず飛びこんでゆく妖人省の一致団結した姿を、存分に堪能しておけばよいだろう。


いよいよ次回は、野望を果たそうとする花楯と、囚われの姫君を救出するべく立ち上がる妖人省の、ガチンコの対決が描かれるのだろう。しかし今作はバトルはあくまでサブポジションに過ぎず、やはり見どころは、決して一枚岩ではない敵陣営の各キャラクターの動きと、そしてざくろを想う景たちの奮闘だ。おもだかを慕いながらもざくろに心を寄せる百緑、嫉妬に狂って完全に独自の動きを見せる乱杭と、乱杭に利用されそうな橙橙。彼女達が、妖人省の面々を前にしてどのような行動に出るか要注目だし、さんざんヘタレキャラを演じながら、それを克服しようと努力してきた景が、汚名返上を果たすようなヒロイックな活躍をすることができるのか、大いに楽しみにしたい。


それに加えて、ざくろのチカラを抑えているのだというあの首飾りも、今回何度も言及されただけに、きっと重要な役割を果たすことになるだろう。今作のヒロインとして、ざくろの見せ場もたっぷりあると期待したい。


理想を言えば、前回も書いたとおり、ただヒロインの救出譚やラブロマンスを描くだけではなく、人間と妖人・半妖とのすれ違いを埋める希望に満ちたメッセージを発信してくれると、とても価値的だと思うのだけど、今回のエピソードを見ていると、あまり風呂敷を広げ過ぎない方が手堅くまとまりそうだ。どのような幕引きを見せるのか、脚本家をはじめアニメスタッフのストーリーテリングの手腕に、注目しておきたい。



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それでは、今回は以上です。


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