バクマン。 第13話「速報と本ちゃん」
真城の決意、かっこいい!!
とうとう自分達の作品がジャックNEXTに掲載されたサイコー&シュージン、もとい”亜城木夢叶”。気合いを込めて仕上げた原稿は編集部に大ウケ、速報時点でも堂々の第1位と、これまでの努力がすべて報われるような結果を掴みとることができた。最終的には第3位と、二人のキャリアを考えれば称賛に値する順位に付けた。こんなにのびしろたっぷりで、意欲的に創作に取り組み、結果まで付随してくる若者を担当することができて、服部さんは内心ホクホクだろうなぁ。
きっとサイコーとシュージンにとっても、この服部担当のもとでしっかりと戦略を練りながら腕と実勢を磨き、3年後の連載を見据えて挑戦した方が、確実に”勝てる漫画家”になるのではないかと思う。二人は明確に自分達の描きたいテーマが定まっておらず、とにかく漫画で成功したい(そして恋を成就させたい)と思っているだけなのだから、服部さんの言うように、ジャックという戦場のなかで着実に自分達の領土を確保し生き延びて行くことを目指すのが、そのまま「プロの漫画家になる」という夢を手繰り寄せる道になるだろう。
そう思うからこそ、あえて危ない綱を渡ってでも連載を目指すサイコーの決意が、どんどん博打的な発想へと傾いて行くようで、それが不安でもあり、また輝きでもある。次から次へと目標を上方修正していくサイコーとシュージンの姿勢は、一見順調そうな二人の漫画道をことさら困難ないばらの道へと追い立てていて、それがドラマとして視聴者の興奮と武者震いを促しているわけだが、それでも危ない橋をわざわざ歩かなくてもいいのにと、不安に思ってしまう。
3位という結果、あれが自分だったら大喜びしていたに違いない。それくらい価値のある成績で、読者のじつに3割から「面白い」と支持されたというのは、10人中2人に受ければいいという当初の目標を大きく上回っているわけだ。新妻エイジに勝つ、という目標だって、票数ではなく内容の質に関してはどうだったのかという観点から捉え直しても良いと思う。エイジに勝つと言ったのはあくまで発破をかける意味もあったわけだし、創作の世界は必ずしも多くの人にウケることが勝利とはならないハズだ。
だが、そんなことを考えるのが逃げであり負けの姿勢なのだと、サイコーは鋭く看破してしまった。叔父さんとの思い出は、彼に本当にたくさんのものを遺してくれているらしい。
漫画やアニメでは失意を振り払う格好の場所として描かれる、高架下の河川敷。そこで夕焼けの下、せっかく気合いを込めて描きあげたネームを破り捨ててしまったのは、とてもショッキングで、それだけ印象深いシーンだった。そこまでしてエイジと正面からぶつかることが、彼の自己満足以上のどんな価値があるのか? それはきっと、今後の彼自身の姿や作品で、我々の前に示してくれることだろう。生き残れる漫画家ではなく、本当の意味で、勝てる漫画家になるということ。その地点を目指すのだと心に誓った、サイコーとシュージンの決心と覚悟が、じつに清々しい。
しかし本当に、王道で勝負するという選択肢で良いのか。そこまで焦ってアニメ化を目指すべきなのか。そもそも前回見吉が語っていたように、夢は絶対に達成されなければならないのか。漫画家としての目標だけでなく、若者の目指すべき人生のあり方そのものを問いかけるような現時点での作劇に、強く心を揺さぶられる。単なる成功物語ではなく、夢と現実、目標と幸福の間で葛藤する青年の姿が、今後どのようなドラマを結実させてゆくのか。大いに楽しみにしたい。
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それでは、今回は以上です。

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とうとう自分達の作品がジャックNEXTに掲載されたサイコー&シュージン、もとい”亜城木夢叶”。気合いを込めて仕上げた原稿は編集部に大ウケ、速報時点でも堂々の第1位と、これまでの努力がすべて報われるような結果を掴みとることができた。最終的には第3位と、二人のキャリアを考えれば称賛に値する順位に付けた。こんなにのびしろたっぷりで、意欲的に創作に取り組み、結果まで付随してくる若者を担当することができて、服部さんは内心ホクホクだろうなぁ。
きっとサイコーとシュージンにとっても、この服部担当のもとでしっかりと戦略を練りながら腕と実勢を磨き、3年後の連載を見据えて挑戦した方が、確実に”勝てる漫画家”になるのではないかと思う。二人は明確に自分達の描きたいテーマが定まっておらず、とにかく漫画で成功したい(そして恋を成就させたい)と思っているだけなのだから、服部さんの言うように、ジャックという戦場のなかで着実に自分達の領土を確保し生き延びて行くことを目指すのが、そのまま「プロの漫画家になる」という夢を手繰り寄せる道になるだろう。
そう思うからこそ、あえて危ない綱を渡ってでも連載を目指すサイコーの決意が、どんどん博打的な発想へと傾いて行くようで、それが不安でもあり、また輝きでもある。次から次へと目標を上方修正していくサイコーとシュージンの姿勢は、一見順調そうな二人の漫画道をことさら困難ないばらの道へと追い立てていて、それがドラマとして視聴者の興奮と武者震いを促しているわけだが、それでも危ない橋をわざわざ歩かなくてもいいのにと、不安に思ってしまう。
3位という結果、あれが自分だったら大喜びしていたに違いない。それくらい価値のある成績で、読者のじつに3割から「面白い」と支持されたというのは、10人中2人に受ければいいという当初の目標を大きく上回っているわけだ。新妻エイジに勝つ、という目標だって、票数ではなく内容の質に関してはどうだったのかという観点から捉え直しても良いと思う。エイジに勝つと言ったのはあくまで発破をかける意味もあったわけだし、創作の世界は必ずしも多くの人にウケることが勝利とはならないハズだ。
だが、そんなことを考えるのが逃げであり負けの姿勢なのだと、サイコーは鋭く看破してしまった。叔父さんとの思い出は、彼に本当にたくさんのものを遺してくれているらしい。
漫画やアニメでは失意を振り払う格好の場所として描かれる、高架下の河川敷。そこで夕焼けの下、せっかく気合いを込めて描きあげたネームを破り捨ててしまったのは、とてもショッキングで、それだけ印象深いシーンだった。そこまでしてエイジと正面からぶつかることが、彼の自己満足以上のどんな価値があるのか? それはきっと、今後の彼自身の姿や作品で、我々の前に示してくれることだろう。生き残れる漫画家ではなく、本当の意味で、勝てる漫画家になるということ。その地点を目指すのだと心に誓った、サイコーとシュージンの決心と覚悟が、じつに清々しい。
しかし本当に、王道で勝負するという選択肢で良いのか。そこまで焦ってアニメ化を目指すべきなのか。そもそも前回見吉が語っていたように、夢は絶対に達成されなければならないのか。漫画家としての目標だけでなく、若者の目指すべき人生のあり方そのものを問いかけるような現時点での作劇に、強く心を揺さぶられる。単なる成功物語ではなく、夢と現実、目標と幸福の間で葛藤する青年の姿が、今後どのようなドラマを結実させてゆくのか。大いに楽しみにしたい。
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