放浪息子 第1話「おんなのこって なんでできてる? ~Roses are red…」

今期はもはや一人勝ちの様相。最終話まで逃げ切れるか? 他のアニメの猛追を期待する!




・映像、セリフ、音響、ありとあらゆる点で完璧だった!


すげー、すげーよこの作品。今期もっとも遅いスタートとなった作品だが、第1話の段階では群を抜いて良かった。あおきえいすごい、岡田麿理すごい、志村貴子すごい! 見ていて心底からゾクゾクさせられた。音楽も良かったなぁ。どれだけが神前氏でどれだけが岡部啓一氏なのか、自分にはちょっと分からなかったけれど、曲が良いだけでなく使い方が素晴らしい。声優の、ちょっとつたない演技の方針も、とても良い味が出ていた。とにかく、アニメを形成するあらゆる要素がそれぞれに最高品質を保持しながら、それがかっちりとドラマを演出していき見事なハーモニーを奏でていた。すごいアニメが始まってしまった・・・。


お話の方は全っ然、分からなかったけれどwww でもこの分からないというのは今作の場合、さほどマイナスには働かないと思う。小学生編を読んでいる原作既読者の意見はまた違うかもしれないが、少なくとも自分は、今回描かれた人間模様の複雑さ、ちんぷんかんぷんな部分が、異様に魅力的に映った。


中学生になりたての、とてもデリケートな時期の心のあり様って、当時から相当の年月を経てしまっている自分(および多くのアニメ視聴者)にとっては、かなり未知の領域に属するものであると思う。ましてや今作の登場人物たちは、小学生の時分から相当に複雑な精神性を抱えているらしく、男女の性差の間で揺れる複数の人物同士の交流や恋愛なんて、受け手にとって既知のモノであろうはずがない。ここは、「ああ、分かる!」などという安易な共感を視聴者に生じさせてはいけないのであって、あえて我々を混乱と戸惑いの中に叩き落としてこそ、登場人物が自分自身ですらまったく理解できずに戸惑っている感情の推移やそのもどかしさを、表現できるというものだろう。


そしてその揺れ動く感情、混沌とした内面世界を描くのに、前述したような今作のアニメーションとしての総合的な演出力が、完璧に合致していたと思った。


フィックスやメタ的視点を盛り込んだ特徴的な映像演出、谷川俊太郎の訳詩の一節を取り入れたモノローグ、複雑に交錯し絡み合う各キャラクターの物語、断片でしか語られない過去の出来事と、断片でしか示されない現在のキャラの行動原理、比較的淡々と抑揚少なに挿入されるBGM。これらの全てが、今作で繰り広げられるドラマ展開の、理屈では解き明かしようの無い不条理さと必然性の同居を、言葉でも絵でも音楽でもなく”アニメーション”としての表現方法で、演出していた。


そしてそうやって描きだされた説明不能の内面描写が極まり、感情の洪水となって画面からほとばしり出てきた一瞬、すなわち、姉と喧嘩をして逃げ出してきた二鳥修一と、高槻よしのの桜の下での邂逅が、第1話のクライマックスとして美麗な映像と音楽とによって描きだされたとき、この物語は言葉にならない圧倒的な感動として、我々の胸に迫ってくるのであった。




・・・しかし、だ。感動的で美しすぎる二人の出会いを演出した直後に、男子としてのどうしようもなく抗いがたい醜悪さに直面しなければならぬという、この残酷的なまでに生々しい現実感。これを描いた点に、今作の肝があると思う。


劇中で有賀誠が、女子のスカートの短さに苦言を呈する格好で表明していたことだが、この時期の、とくに男子にとって(女子は知らないw)、セックスにまつわる問題はひどく汚らわしく、忌避すべきものとして映ることが多いと思う。それは、性への興味を恥じているだけのポーカーフェイスに過ぎないという面もあるだろうが、しかし本当にセックスの問題とどう接していいのか分からず、その動物として当然の特性や欲求をことさら毛嫌いしているというのも、また真実なのだ。それは、異性との接し方というよりは、自分自身の性との接し方に対する戸惑いと言って良いと思う。思春期の少年が抱えるこうした戸惑いに、驚くほど真摯に、そしてグロテスクさを伴って迫ってみせているのは、今作のもっとも注目すべき点であるし、主軸となるテーマの一つであろう。主人公が女装をするのもまた、自身の男性性に対する戸惑いの表れとしての側面が強いのではないか。


仮に今作が恋愛を扱ったドラマであるとして、しかし誰と誰がくっつくか、という点を、どこまで強調する作品なのかは分からない。恋愛そのものはスパイス程度で良いのではないかとさえ思う。もちろんこれは次回以降を見て行かないと判断できないけれど、第1話の時点でこれだけ、性に悩み、かなり歪んだ(と世間では言われるような)道にその悩みの解決口を求めようとするキャラクターが出てきているという時点で、恋愛などどうでも良くなった。すでに何度も描き尽くされてきた物語ではなく、10代初頭の、まだ思春期に入ったかどうかさえあやふやな少年少女達の心を切り取って見せると言う、アニメではまだほとんど手つかずであろう難儀なテーマに、今作は真っ向から挑もうとしているように見える。アニメーションとしてその姿勢がどこまで貫き通せるか、次回以降もぜひ注目させていただきたい。




・ヘンなキャラが多かったけど……


メガネのホモっぽい子(有賀誠クン)が一番可愛いということで、OKでしょうか!? 


・・・いや、本気で可愛かったんです。主人公が普段から男の娘してて、女装したら作中最強の美少女に変身して、こんなに可愛い子が女の子のはずがないと誰しもが叫びたくなるキャラクターであるのは、言ってしまえば想定の範疇だ(無論、その描き方が神懸かっていたのでノックダウンさせられたわけだけど)。また、今作では女性一般を、男である主人公が強い憧れを抱く対象として描いているわけなのだから、当然女性(とくに女の子と呼ばれるイキモノ達)は、”おさとうと スパイスと すてきななにもかも そんなもんでできてる”ように描かれている。男性視聴者から見てそれに同意できなければ、作品としては失敗だ。当然、今作に登場する女の子たちは、ちょっとブサイクな設定の子でさえ、砂糖やスパイスをふんだんに使って錬成されていると見えるだろう。


ところが、有賀誠クンは、その見た目はもちろん、しゃべり方や声質が、とにかくめちゃくちゃ可愛くて、完全に想定外のキャラクターだった。こんなに心根の優しい、愛らしい少年が登場するのなら、もうそれだけで、来週以降の楽しみが見つけられたようなものだ。彼がこれからどのような役回りを演じるのか、いまから楽しみで仕方が無い!




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それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

あるるかん
2011年01月14日 23:44
これはフラクタルと同じく評価が困る作品ですね。
この放蕩息子はキャラのデザインとは違い、根底にあるテーマは重く扱い難そうだなというのが第一印象でした。
おパゲーヌス
2011年01月15日 04:22
>あるるかんさん
おや、評価に困りますかー。自分はとても惹き込まれましたので、たぶん今後も絶賛していくと思われますww

テーマの重さは、第1話から嫌というほど感じましたね。でもこういう重厚な作品が世に出るということはそれだけで価値があると思いますし、またコミカルな描写や恋愛描写にやきもきさせられる場面もきっとたくさん出てくると思うので、肩の力を抜いて見るのも大いに結構だと思います。
しずく
2011年01月15日 18:29
同じ原作者で「青い花」というのをおパゲーヌスさんはご存知ですか…もなにも<別館>に記事が載ってますね(^^)私はこの作者の画風がかなり好みなので、内心狂喜乱舞ですwww
ただ、たぶん舞台が違う地方っぽい(背景的に)ので、前作のキャラ達とのバッティングないんだろーなぁーと思います。

以前GAの記事のコメントで<こんな面白くてハマれて、原作が出ているアニメばっかりやられたら破産してしまいますwww

こんな風(↑)に書かせて頂きましたが、あともうちょっとでも針が振れたら青い花と一緒に全巻に手を出しかねない勢いだったりwww

それはそうとGAの新刊がいつまでたっても出てこない。前巻が二年前に出たのでサイクル的にはもうそろそろの筈なのですけどね―

いつもの如く長文にて失礼。
おパゲーヌス
2011年01月16日 02:51
>しずくさん
青い花は、例によってアニメしか見てませんが、大好きでしたね。当時はまだブログ始めたばかりだったので、あれを今放映してくれたら、もっと色々と書くことがあったろうにと、口惜しがっています。その分の鬱憤を、放浪息子で晴らせるようにできればいいですね。

DVDにせよ原作漫画にせよアニソンCDにせよ、気に入ったものは本当なら全部集めたいんですけどね。自分も破産したくないので、よほど厳選しないと、手が出せません。GAも機会があれば読んでみたいのですけどね。でも二年待てば新刊が出ると言うのは羨ましいです。ファイブスター物語の新刊が出るまでは、絶対死ねない。完結は諦めてますが・・・w

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