魔法少女まどか★マギカ 第1話「夢の中で会ったような…」

王道なのか斬新なのかw とにかく面白かった第1話。これは気合い入ってるなぁ、シャフト!




・展開だけは王道の魔法少女?


いきなり漠然とした話になっちゃうのだけれど、いまこの時代、深夜アニメ枠で、コテコテに王道の魔法少女モノを放映するという企画に、いったいどれほどの価値があるのだろう。


そもそもあまり魔法少女モノに関心が無い自分は、プリキュアシリーズなんて見ていないし、真面目に見た作品なんてそれこそ『プリンセスチュチュ』にまで遡らなければ記憶にない(アレは魔法少女モノなのか?w)。あとは、もはや青年向けバトルアニメと化した『なのは』シリーズ以外は、たくさんの作品でギャグネタとして描かれるパロディか水島監督作品のような、まさに邪道というか、ネタとして魔法少女を描いたものでしか触れて来なかったジャンルだ。そんな自分にとって、こうして”魔法少女”と冠する作品とほとんど初めて出会うことが、一体どのような価値を持ちうるのか。


加えて今作は、もう明確に、子供を切り捨て、ある程度の年齢を重ねた青年層へ向けて発信されていることは、まず間違いない。放送時間が深夜帯であるというだけでなく、アダルトゲーム界出身のライターの起用、それ自体が高校生以上を対象としているであろう『ひだまりスケッチ』原作者によるキャラ原案、梶浦由記の硬質の楽曲群、そして何より先鋭化されたシャフト演出による息をのむようなビジュアルこそが、今作の想定している対象年齢が大人にあることを雄弁に物語っている。


しかし第1話のストーリー展開は、紛れも無く”王道”と称されるような魔法少女モノだった。ごく普通の日常を過ごす、可愛いけれどもいたって平凡な少女・鹿目まどか が、奇妙な夢に導かれてマスコットキャラのキュゥべえと出会い、事態を正確には把握しないままに魔法の力を手にすることになる。すでに多くの作品で換骨奪胎を繰り返されてきた導入部分のプロットを、恐らくことさらに意識して、なぞって見せた。ここに高いエンターテイメント性を見出したのだというなら別だが、すでに使い古されたストーリー展開を改めてここで提示して見せたことに、いったいどんな意図や意義が込められているのか。新房×シャフトでは初めてであるオリジナルアニメ企画に、わざわざこうして魔法少女という題材を選んだのにはどんな理由があるのか。


現段階では想像だにできない今作の価値のありかを、作り手がどのように提示してくれることになるのか、大いに興味のそそられる作品だ。ストーリー展開”だけ”はいたって王道に構成したこの導入部分から、どのような物語が紡ぎだされることになるのか、次回以降大いに注目しておきたい。




・果たして今作は『化物語』を越えられるか?


それにしても惚れ惚れするのが、今作の画面に描きだされるビジュアルの見事さだ。冒頭、舞台の緞帳の幕が上がり、また映写機が回り始める様を表現して見せることで、劇中の虚構性を強調するいつものシャフト演出をよりいっそう先鋭化させながら物語の開始を告げると、それからはまさしく作り手の発想力と表現力を突き付けるような前衛的な映像が繰り広げられる。


無数の直線と曲線による幾何学文様の圧倒的な羅列、白と黒の鮮やかなコントラストの執拗な強調、突如として迫真性を帯びる荒廃した街並みと、運命を象徴するかのような機械仕掛けの何か。つい先ほど、魔法少女の王道的展開をなぞっていると書きはしたが、しかしこの導入部からしてすでに、今作は既成の魔法少女モノから大きく逸脱したスタンスを、そのビジュアルによって存分に示して見せた。ヒロインが夢から醒めた後も、平穏で幸福な、しかしどこか空虚と違和感によって支配されているかのような日常風景は、強烈な不安感を抱えたまま手離そうとはしなかった。


この圧倒的なビジュアルは、第1話としてあまりにも鮮烈なインパクトを残した。つい先日放送された『夢喰いメリー』と並んで、演出の秀逸さやクオリティの高さは特筆に値するものがあった。同時に、今作が抱えている陰鬱さやスタイリッシュな魅力を、存分に提示してくれた30分間だった。




シャフト作品の延長線上にあると同時に、既存の魔法少女モノの手法をかなりの部分で踏襲している今作は、当然、過去の作品と比較して「○○っぽい」と指摘されるであろうし、されるべき作品である。その点では、今作の描きだそうとする舞台空間は『化物語』と『ひだまりスケッチ』シリーズを折衷したようであるし、またアバンタイトルの導入部は『なのは』1期や『ねぎま!?』の冒頭などを思い起こさせるものであろう。劇団イヌカレーの手掛けた特殊なビジュアルも、シャフト作品ではお馴染みのものだし、冒頭の白黒のコントラストなどは『ブラック★ロックシューター』を思い出す。そしてこれは少しこじつけかもしれないが、まどか達の通う学園や遠景に見える街の様子は、劇場版『ウテナ』を連想させるものがあった。


言って見ればこの第1話で提示された映像表現は、すでにある程度確立されている演出や表現の手法を、新房監督作品を中心としたいくつもの作品から、良いとこ取りをしてきたような印象がある。無論それは悪いことでもなんでもなくて、むしろシャフト演出をさらに進化させようという試みとして、その成功か否かを評価すべき事柄であろう。


ともあれこの第1話で感じたことは、今作が、『化物語』等の栄光を乗り越えようとする、強い気概をもって作られているのではないかということだ。そもそも制作者の布陣からして、既存のシャフト作品の路線とは大きく異なる異色の組み合わせであり、製作者側の挑戦の姿勢が良く窺える。そして制作陣も、すでに完成された過去作品のイメージを更新するべく、相当の覚悟を持ち気合いを込めて、制作に当たっているのではないか。画面を見ていて、かつて『化物語』第1話を見た時と同じような作り手の決意を感じて身震いしたのは、私だけだったろうか。


それでも、ストーリー展開がまだ馴染みのあるものだったからだろうか、『化物語』の時よりは、幾分か手堅く作っている印象もあった。そもそもアニメ化が不可能と言われていた『化物語』に比べれば、最初からアニメとして作ろうとする今作は、映像上あまり博打まがいの飛躍をする必要性は少ない。そんな中で、それでもこうして強烈なインパクトを残すべく前衛的な表現手法を盛り込んできたということに、自分としては大きな期待をかけたい。


そろそろシャフトは、映像屋でありエンターテイナーとしてのスタンスを乗り越え、これまで培ってきたシャフト演出”だからこそ”表現できる物語というものを、追求して欲しいと思っていた。今作がまさにその地点を目指すための企画になってくれることを心から願っておきたいのだが、果たしてどうなるだろう。次回を見て、このまま期待をかけて良いのかどうかを判断することにしたい。




・今期注目度ナンバー1に決定!


とまぁ、なんだかんだグダグダ書き連ねては見たものの、とにかくすんごく面白かったことだけは間違いないww 王道とはいえ展開の巧さは実に光っていたし、ひとつひとつのセリフやそれに伴うキャラの仕草や声優の演技がよくハマっていて、映像演出で惹き込まれただけでなく、純粋にドラマとしてもかなり面白かった。


強いて言うなら、これは完っ全に個人の趣味の問題として、自分は梶浦由記が好きではないということで、あまり彼女の楽曲を前面に押し出すようだと辟易してしまうかもしれない。もちろん彼女の楽曲の持つパワーはよく分かっているつもりで、シリアスな展開とクールな演出の中、上手く用いられればすさまじい効果を発揮するから、その点、今作の作風に合った起用だと思う。それに、梶浦を起用するっていうその人選だけで、今作にかける気合い度が伝わって来るようではないか。今はわざと魔法少女的ストーリー展開の上に乗っかっているが、今後の展開次第ではすごい作品になる可能性は十分にある。映像美だけでなく、その映像とがっちり噛み合った物語を構築して、総合的な観点から傑作と評されるような作品に、なって欲しい。


もしシャフトが『化物語』を越え得るとすれば、それはまさしく、この映像演出と物語の連動性が成功した時であろう。新房監督以下、制作陣がどのような目的・目標を定めて作っているのか、そのあたりにも注目しながら今後の展開を待ちたい。




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それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

お天気
2011年01月11日 01:25
まどかは最高の滑り出しでした。今回は特にイヌカレーの異空間演出のインパクトが効いていましたね。個人的には新房監督が一回くらい好き放題やってくれないかなーと思います。個人的に新房×梶浦のオリジナルをコゼット以来心の片隅で待ちわびていたので、コゼットや魂狩のような、2、3回見ないと何が何だかわからないけどとにかく映像はカッコいい!という回が一回くらい欲しいですw
同時にこれまでにない進歩という意味では、記事に書かれている、ただの映像屋ではなく映像を活かして物語を紡ぐ、という方向も期待したいです。その方向での進化はきっと新しい新房×シャフトを生みますよね。
長くなってしまってすみません。とにかく、久しぶりに毎週本気で楽しみにするアニメができて嬉しいんですw今後に期待をかけていきましょう。
おパゲーヌス
2011年01月11日 21:15
>お天気さん
新房監督自身のコンテ回は、ぜひ見てみたいですね。せっかくのオリジナル作品ですし。まぁ、監督の考えているシャフトブランドは、監督自身の手腕よりもチームとしての力量を追求する姿勢に見えるので、やってくれないような気もしますが^^

物語に関してはまだまだなんとも言えませんね。期待度だけが膨らんで行きます。fateとかやっておけばよかったなぁ、全然想像がつかないです。ともあれ、この異色コラボが今回限りのスペシャル企画ではなく、今後のシャフト作品、ひいては日本のアニメ界全体を先導する役割を、目指してもらいたいものですね。

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