夢喰いメリー 第７話「夢と水着と海の色」
てこ入れ回かと思いきや、いやいやどうして、魅せますなぁ。
喫茶店のウェイトレスの訓練をする、なぜかドジっ子な萌えるメリーの姿から、今回のお話はスタート。あのメリーもさすがに緊張には勝てないのか。しかし、こうやって着々と橘家の生活に取り込まれていくというのは、見ていてとても和まされる。もっとも、唐突な海水浴への転換と、おやっさんのビキニパンツで、すべて吹っ飛んだけどｗ
でも、麗しい女子たちを集めてのサービス＆てこ入れ回かと思いきや、そんな無駄なことに割く尺は無いと言わんばかりに、ぐっとドラマが進行していくのが、じつに面白い。今回は、失意に沈むメリーにもう一度夢や希望を持ってもらうための活力注入と、そしてこのアニメシリーズのラスボス的扱いになりそうな敵役・樹海（ミストルティン）を登場させて、後半戦へのはずみをつけた。
とにかく今回は、ほのぼの水着シーンに紛れ込んで、様々なところに違和感が紛れ込み、それを端緒に新たな展開が引き起こされる。海水浴に参加したメンバーのあからさまに奇妙な人選、せっかく皆で来たのに完全にバラバラになって展開される不自然な作劇。唐突に誰かの姿が消えるというシチュエーションが何度も描かれ、そのたびに何かが起こる。他のアニメで採用されている水着回とは大きく異なる、まだるっこしく感じさえする独特の構成が、しかし終わって見れば様々な発見や新たな憶測を呼ぶ、とても秀逸なエピソードだった。
今後の展開に関する点について言えばやはり、事件の黒幕は誰か、ミストルティンの器は誰なのか、という部分が注目点だろう。まさかついて来るとは思わなかった河浪千鶴がやはり一番怪しくて、ちょうどミストルティンが登場した際にはどこかへ消えていたことから、ほぼ確定であろうとは思うのだけれど、では彼女たちが単独で行動しているのかと言えば、やはりおにぎり先生がめちゃめちゃ怪しい存在として登場してきているわけで、敵側の組織図や協力関係についてはまだまだ分からないことが多いのに加えて、主人公の身近にいるこうした怪しいキャラたちが、どのようなドラマを見せてくれるのか、そのあたりも含めて楽しみにしたい。
一方で、あまり裏は無さそうだけど不思議だったのが、メリーや夢路が泳げないという設定だったこと。あれだけ運動神経が良いメリーが泳げないのは、まぁ泳ぎというのはちゃんと練習しないといけないから、海やプールなんてほとんど経験がなさそうなメリーが泳げないのはまだ分かる。けれども、決して努力を忘れない夢路が泳げないというのは、努力と根性ではどうしようもならない理由があるのかもしれず、それが気になった。メリーを気遣って、あえて嘘をついて泳ごうとしなかったという線もあるけれど、どうやら本当に泳げないような雰囲気だったし。幼少時に何か重大なトラウマでも抱えているのだろうか？
ヒーローは痛い、と語る夢路の話は、とても胸に迫るものがあった。その場の思いつきで語っているわけではなく、テレビのヒーローの生き方に心から憧れ、また男の熱いハートを身をもって体現している橘のおやっさんを手本としながら、夢路自身が真摯に自分の正しい生き方を模索しているからこそ、大きな説得力を持つ言説であろう。そして彼が今回のような（ともすればクサい）セリフを語る資格を十分に有していることを、前回までの話数でしっかりと描き切って来たからこそ、心を動かすシーンになったのだと思う。ヒーローであろうとすることは、何も特別なことではない。わが胸に夢と希望をしっかと抱いていれば、誰だってヒーローのような生き方ができるのだ。そのことを、メリーにこんこんと語って聞かせた夢路は、もう立派に、誰かから憧れられるだけの器を持っている。
同じようなカッコよさを、今回は二人の男性が見せつけてくれた。まず、いつもお世辞にも巧いとは思えない俳句だか川柳だかを詠む秋柳は、ナンパされて困っている咲に毅然とした態度で助けに入って見せた。いつもあまり表情を崩さないキャラだが、今回は男としての見せ場をしっかりと作ってくれた。もう一人は夢魔のデルガだ。ゲストキャラであり、ミストルティンの強さと残虐さを強調するための当て馬にされてしまった夢魔ではあるが、マサル少年の夢を守ろうと最後まであきらめずに戦って見せた、男らしい気骨のあるキャラクターだった。あまりにも強さの格が違う場合、夢とか希望とか勇気とかいったものは何の役にも立たないことを証明してしまったけれど、しかし最後までその勇気を捨てずに散って行ったのは、じつに勇者の心を持った人物だったと思う。マサルくんが「夢なくし」になってしまったのはとても痛ましい光景だったが、夢魔・デルガの姿には、悲惨な状況の中にも一陣の希望の風が吹き抜けたようであった。
ただ、デルガとマサルのエピソードは、二つの問題を孕んでいる。ひとつは、こうした精神論としての”生き方”が、決して物理的な強さには変換できないという冷酷な事実。そしてもうひとつは、今回も再度、優しい心を持った夢魔が登場したという点だ。夢魔なんて器さえ手に入れば何でも良い、冷酷非道なやつらなんかと思いきや、これまでに登場した夢魔の多くが器と理想的な共存関係を築いている。この状況を、夢路やメリーが知ったらどう思うのだろうか。
エルクレスやミストルティンが、人間と夢魔が仲良く共存している事例だけを狙って事件を起こしているのだとすれば、メリーの為すべきことはその悪役を叩きのめすことだろう。そしてそうした構造で物語が進んで行く可能性は十分にある。ただ、そうした分かりやすい構造の中に、デルガの姿によって露呈されたふたつの問題がどのように織り込まれ語られていくのか、そのあたりが今後の焦点となってくるだろう。
あれほど自信たっぷりに語っていたエンギ・スリーピースの発言を信じないというのは、とても勇気のいる選択だ。そしてそれを証明する手段も見当たらない。中盤に入って、気持ちだけは揺れ動きながらも実質的には暗礁に乗り上げたカタチとなったメリーと夢路の夢喰い行脚が、今後どのような展開を見せることになるのか、注目だ。
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それでは、今回は以上です。
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喫茶店のウェイトレスの訓練をする、なぜかドジっ子な萌えるメリーの姿から、今回のお話はスタート。あのメリーもさすがに緊張には勝てないのか。しかし、こうやって着々と橘家の生活に取り込まれていくというのは、見ていてとても和まされる。もっとも、唐突な海水浴への転換と、おやっさんのビキニパンツで、すべて吹っ飛んだけどｗ
でも、麗しい女子たちを集めてのサービス＆てこ入れ回かと思いきや、そんな無駄なことに割く尺は無いと言わんばかりに、ぐっとドラマが進行していくのが、じつに面白い。今回は、失意に沈むメリーにもう一度夢や希望を持ってもらうための活力注入と、そしてこのアニメシリーズのラスボス的扱いになりそうな敵役・樹海（ミストルティン）を登場させて、後半戦へのはずみをつけた。
とにかく今回は、ほのぼの水着シーンに紛れ込んで、様々なところに違和感が紛れ込み、それを端緒に新たな展開が引き起こされる。海水浴に参加したメンバーのあからさまに奇妙な人選、せっかく皆で来たのに完全にバラバラになって展開される不自然な作劇。唐突に誰かの姿が消えるというシチュエーションが何度も描かれ、そのたびに何かが起こる。他のアニメで採用されている水着回とは大きく異なる、まだるっこしく感じさえする独特の構成が、しかし終わって見れば様々な発見や新たな憶測を呼ぶ、とても秀逸なエピソードだった。
今後の展開に関する点について言えばやはり、事件の黒幕は誰か、ミストルティンの器は誰なのか、という部分が注目点だろう。まさかついて来るとは思わなかった河浪千鶴がやはり一番怪しくて、ちょうどミストルティンが登場した際にはどこかへ消えていたことから、ほぼ確定であろうとは思うのだけれど、では彼女たちが単独で行動しているのかと言えば、やはりおにぎり先生がめちゃめちゃ怪しい存在として登場してきているわけで、敵側の組織図や協力関係についてはまだまだ分からないことが多いのに加えて、主人公の身近にいるこうした怪しいキャラたちが、どのようなドラマを見せてくれるのか、そのあたりも含めて楽しみにしたい。
一方で、あまり裏は無さそうだけど不思議だったのが、メリーや夢路が泳げないという設定だったこと。あれだけ運動神経が良いメリーが泳げないのは、まぁ泳ぎというのはちゃんと練習しないといけないから、海やプールなんてほとんど経験がなさそうなメリーが泳げないのはまだ分かる。けれども、決して努力を忘れない夢路が泳げないというのは、努力と根性ではどうしようもならない理由があるのかもしれず、それが気になった。メリーを気遣って、あえて嘘をついて泳ごうとしなかったという線もあるけれど、どうやら本当に泳げないような雰囲気だったし。幼少時に何か重大なトラウマでも抱えているのだろうか？
ヒーローは痛い、と語る夢路の話は、とても胸に迫るものがあった。その場の思いつきで語っているわけではなく、テレビのヒーローの生き方に心から憧れ、また男の熱いハートを身をもって体現している橘のおやっさんを手本としながら、夢路自身が真摯に自分の正しい生き方を模索しているからこそ、大きな説得力を持つ言説であろう。そして彼が今回のような（ともすればクサい）セリフを語る資格を十分に有していることを、前回までの話数でしっかりと描き切って来たからこそ、心を動かすシーンになったのだと思う。ヒーローであろうとすることは、何も特別なことではない。わが胸に夢と希望をしっかと抱いていれば、誰だってヒーローのような生き方ができるのだ。そのことを、メリーにこんこんと語って聞かせた夢路は、もう立派に、誰かから憧れられるだけの器を持っている。
同じようなカッコよさを、今回は二人の男性が見せつけてくれた。まず、いつもお世辞にも巧いとは思えない俳句だか川柳だかを詠む秋柳は、ナンパされて困っている咲に毅然とした態度で助けに入って見せた。いつもあまり表情を崩さないキャラだが、今回は男としての見せ場をしっかりと作ってくれた。もう一人は夢魔のデルガだ。ゲストキャラであり、ミストルティンの強さと残虐さを強調するための当て馬にされてしまった夢魔ではあるが、マサル少年の夢を守ろうと最後まであきらめずに戦って見せた、男らしい気骨のあるキャラクターだった。あまりにも強さの格が違う場合、夢とか希望とか勇気とかいったものは何の役にも立たないことを証明してしまったけれど、しかし最後までその勇気を捨てずに散って行ったのは、じつに勇者の心を持った人物だったと思う。マサルくんが「夢なくし」になってしまったのはとても痛ましい光景だったが、夢魔・デルガの姿には、悲惨な状況の中にも一陣の希望の風が吹き抜けたようであった。
ただ、デルガとマサルのエピソードは、二つの問題を孕んでいる。ひとつは、こうした精神論としての”生き方”が、決して物理的な強さには変換できないという冷酷な事実。そしてもうひとつは、今回も再度、優しい心を持った夢魔が登場したという点だ。夢魔なんて器さえ手に入れば何でも良い、冷酷非道なやつらなんかと思いきや、これまでに登場した夢魔の多くが器と理想的な共存関係を築いている。この状況を、夢路やメリーが知ったらどう思うのだろうか。
エルクレスやミストルティンが、人間と夢魔が仲良く共存している事例だけを狙って事件を起こしているのだとすれば、メリーの為すべきことはその悪役を叩きのめすことだろう。そしてそうした構造で物語が進んで行く可能性は十分にある。ただ、そうした分かりやすい構造の中に、デルガの姿によって露呈されたふたつの問題がどのように織り込まれ語られていくのか、そのあたりが今後の焦点となってくるだろう。
あれほど自信たっぷりに語っていたエンギ・スリーピースの発言を信じないというのは、とても勇気のいる選択だ。そしてそれを証明する手段も見当たらない。中盤に入って、気持ちだけは揺れ動きながらも実質的には暗礁に乗り上げたカタチとなったメリーと夢路の夢喰い行脚が、今後どのような展開を見せることになるのか、注目だ。
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この記事へのコメント
メリーのメイド服やスク水も素晴らしかったが夢路の友人たちがナイスバディでびっくりですね。勇魚も素晴らしい。
秋柳の毅然とした態度や咲との関係も興味深く見させてもらいました。秋柳みたいな美形に窮地を救ってもらえば余計意識してしまうかも知れませんね。
こう言った人間関係を描くために敢えて個別に描くと言うやり方をしたのでしょうね。そのせいで夢路とメリーがデートっぽく見えました。
あと橘のおっさんがはしゃぐ姿をもっと見たかった。
メリーのスク水、自分的にはちょっといまいちでしたかね～ｗ 普段からあれだけ露出してるのに、水着回で肝心のスタイルを隠してしまうのはどうなのかと。おへそを隠すのはもったいなかったです。競泳水着で、ばっちり体のライン（とくにお腹まわり）を強調してくれても良かったと思いましたが、その役目は千鶴さんにとられてしまいましたｗ でもそれなら、泳がない点をいかして、ビキニの上にパーカーを羽織るとか、萌えると思ったんですけどねー。
おやっさんが出しゃばると他のキャラを食うので、サービスシーンとの相性はあまり良くなかったかとｗ 今回くらいのささやかな出番で、ちょうどバランス取れてるんだと思いますよｗ
秋柳くんはカッコいいところを見せました。彼は俳句は微妙ですが、字の美しさだけは見事で、今回は色々と株を挙げてくれましたね。でもまだまだ、夢路とのＢＬ路線の道も残しておいてほしかったりｗ
今回の夢喰いメリー、
なんか鉄腕アトムが浮かんできて。
あの夢魔デルガの
やられかた、デザイン、性格、思いっきりプルートゥ 編を思い出して…
いきなりわけわかんない奴がやってきて ぐちゃぐちゃにされる感じ。
あの踏みにじられる悲しみを思い出したりしてしまいました。
ごめんなさい、鉄腕アトムはぜんっぜん分からないですｗ けれど、正義のヒーローが夢もキボーも無くボロボロにやられてしまう姿というのは、実際の表現力以上に、残酷でグロテスクなものがありましたね。