異国迷路のクロワーゼ 第9話「秘密」

カミーユ姉さまは、あんなに小さなころから色んなものを背負ってきたんだなぁ。



今回は、前回から引き続き、ブランシュ家を訪れていた湯音がアリスとお茶を楽しむ一方、付添いのクロードがカミーユとの思い出に浸るお話。とくに回想シーンにはかなり長い時間が割かれ、より直接的に、クロードとカミーユの秘められた感情が明らかにされていくエピソードとなった。


以前から、自分を鳥籠の鳥ででもあるかのように言い、寂しげな表情を見せていたカミーユ。当然それは、彼女が自分自身のやりたいことを犠牲にして、ブランシュ家の発展のためにその身をささげる決意をしているからなのだが、そんな決意を固めたのは大人としての分別がつくようになってからなどではなく、まだほんの少女でしかない頃から、ちゃんと自分の哀しい立場を理解していたようだ。


たとえば前回、アリスの創った物語を聞いて顔を輝かせるカミーユの姿などからは、彼女もまたアリスと同じように、外の広い世界へ憧れる夢や意志を持っていたことがよくうかがえるのだが、しかし時系列を考えれば、そのカミーユの晴れやかな笑顔もまた、ブランシェ家の屋敷の中で読み聞かされた本や絵のできごとであったからこそ、心から憧れ楽しむことができたに過ぎなかったようだ。いったいいつから、カミーユはあんなに厳しくしつけられていたのだろう。アリスの物語を聞くときや、クロードと遊んだりおしゃべりをしたりするときの、幼いカミーユの屈託のない笑顔。そこにはしかし、とっくに大人の世界の都合を理解した、本音と建前とを使い分ける狡さを持った、上流階級の貴婦人としての表情が現われていたのだった。


クロードが、カミーユと湯音は違う、と語ったのは、たぶんそうした仮面を使い分ける性質の有無を言っているのだろう。いまや大人としての分別を持ち世の中の仕組みを理解したクロードは、昔の”友達だったころの”カミーユが、すでに大人社会の論理のもとで行動していたことを思い知った。そして、欺瞞や虚飾に満ちた上流階級のあり方を苦々しく思っているクロードにとっては、純真無垢だったころの自分がカミーユに騙されていたように感じて、憤りを覚えたのだろうと思う。たびたび思い返されるのは、愛しているからいつまでも遊びに来て、というあの文言。愛しているならどうして、家を飛び出してでも自分の腕の中に飛び込んできてくれないのか。愛しているのにどうして他の男と結婚するなんてことを平気で口にするのか。その言葉を発するときの少女の顔が、どうしてあんなにも温かな表情でいられるのか。クロードでなくても、幼いカミーユの冷徹な言葉の意味を悟れば、裏切られたと感じてショックを受けることだろう。


そしてそんなカミーユが、自分の幼いころに湯音は似ている、などと恐ろしいことを言い出した。いったいどこが? 湯音はあんなにもまっすぐで、明るくて、正直じゃないか。たしかに普段あまり自己主張しない子だけれど、いざというときの頑固さは折り紙つきで、絶対に譲れない一線というものを心の中に持っている、芯の強い少女だ。自分を殺してまで家のためにその身をささげようとしているカミーユとはまったく異なっているではないか。


この疑問に関しては、よりはっきりと見えてくるまで、もう少し待った方が良いかもしれない。カミーユが何について話題にしているのか、それを知るためには、カミーユのことはもちろん、湯音のことももっと深く知らなければならない。家との関わり方のことや、クロードに対する恋心のこと、あるいはもっと広い意味での人生観や、あるいはもっと狭い意味での性格・性質の話なのか、いろいろ考えられることはあるだろう。あるいはそれに答えを出すよう求められているのが、この作品における主役(※)としてのクロードの役割なのかもしれない。

(※第1話の感想記事から指摘している通り、この作品においては湯音は異星人のようなものであり、未知なる存在としての東洋の少女と既知なる存在としての西洋の青年との交流が、物語の主軸である)


----


それにしても。ここまで濃密にクロードとカミーユの関係性を描かれてしまうと、なんだか三角関係っぽくなってきた人間模様の行く末がとても気になってくる。というか仮にクロードを巡る恋のドラマが展開されたとしたって、カミーユは現状のままなら余所の富豪の息子と結婚することは確実だし、湯音だっていつか日本へ帰ってしまう日もやってくるだろうから、さんざん気を持たせておいてクロードがひとり残される、なんて展開になる公算が大きいわけで。逆にもしカップリングが成立するなら、あのカタブツのクロードを湯音が日本へ連れて帰るのも面白そうだが、やはりドラマとして盛り上がるのはカミーユとクロードの駆け落ちだろうし、二人の過去を見るとそうなってほしいという気持ちにもなってくる。いったいどうするんだこれ?w


というか最初から疑問だったのだけど、旅好きのオスカーはホントにただ旅をして回ってるだけなのだろうか。せっかく日本へ行ったのなら、土産物を大量に買ってパリで売り捌けばなかなかの儲けになるだろうし、あれだけ順応性が高く行動的な人物なのだから、そのまま貿易商にでもなっちゃえばいいのに、なんて思ってしまう。オスカーがいち財産を築けば、カミーユの嫁ぎ先としてクローデル家は申し分のない存在になれるんじゃないか。湯音はアリスやクロードを伴って日本を案内することだってできるし、そのまま若き女貿易商としてクローデル商会(?w)を切り盛りし、民間企業として日仏友好の橋渡しをすることになったってよさそうだ。


・・・と、前回の「アリスの将来はパイロット」説に続き、またしても妄想が膨らんでしまった。やはり19世紀末という時代は、現代の国際社会に直接繋がってくる時代だし、大航海時代のロマンをまだまだ引きずりながらも世界が新たな枠組みに変容していく(そしてその中で我々の祖国・日本もまた大きな飛翔を遂げる)という時代として、いろんな想像や希望が膨らんでくる。もちろん劇中で湯音たちが大人になるところまで描かれるとは思えないが、本当に色々な選択肢を選ぶことのできた時代の物語として、思考をどんどんと脱線させながら楽しんでいくのも面白いだろう。



----


それでは、今回は以上です。


面白いと思ったら、ぜひ下の方にある拍手ボタン(ブログ気持ち玉)をクリックしてください^^



にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
にほんブログ村



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

面白い

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 異国迷路のクロワーゼ 8話

    Excerpt: 夢見る少女でいたかった。 というわけで、 「異国迷路のクロワーゼ」8話 籠の鳥と野良猫の巻。 出たくないんじゃない。出られないのだ。 写真や本の中で、満足するしかないんだよ。 .. Weblog: アニメ徒然草 racked: 2011-08-30 22:19
  • 異国迷路のクロワーゼ 第9話 感想「秘密 Jardin secret」

    Excerpt: 異国迷路のクロワーゼですが、アリスは湯音を人形のように扱い、クロードは面白くありません。アリスは日本式の本格的なお茶を点てますが、砂糖なども入れてしまいます。 クロードとカミーユも子供時代は身分違い.. Weblog: 一言居士!スペードのAの放埓手記 racked: 2011-08-30 22:53
  • 異国迷路のクロワーゼ #9

    Excerpt: 【秘密】 異国迷路のクロワーゼ The Animation 第1巻 [Blu-ray]出演:東山奈央メディアファクトリー(2011-09-21)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見る .. Weblog: 桜詩~SAKURAUTA~ racked: 2011-08-30 23:29
  • 【異国迷路のクロワーゼ】9話 前回、腹黒カミーユと言ってゴメンナサイ

    Excerpt: 異国迷路のクロワーゼ The Animation #09 秘密 Jardin secret 969 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2011/08.. Weblog: にわか屋 racked: 2011-08-31 00:46
  • 異国迷路のクロワーゼ 第9話「秘密」

    Excerpt: アリスちゃん野点セットお取り寄せ! お茶の点て方が豪快(笑) クリームとおさとういりは結構いけるんじゃなイカ? 宇治金時みたいな味になるのかな。 湯音ちゃんはお茶の心得もあるんですね。 .. Weblog: のらりんすけっち racked: 2011-08-31 11:52
  • ■異国迷路のクロワーゼ 【第09話】秘密

    Excerpt: 異国迷路のクロワーゼ Partie09:“ Jardin secret ” 第09話:「 秘密 」の視聴感想です。 追憶。 家猫。 鳥籠。 コルセット。 小さな願い。 もっと知らないといけない―.. Weblog: 此方彼方貴方-コナタカナタアナタ- racked: 2011-08-31 17:03
  • 異国迷路のクロワーゼ The Animation 9話 秘密 (Jardin secret)

    Excerpt: <感想>  アリスが日本の文化を披露しようと湯音に披露したようです。お茶・・正座・・どれもやはり、無理をしていたようです。  クロードとカミーユの仲は、小さい頃の思い出から良かった.. Weblog: しるばにあの日誌 racked: 2011-08-31 17:14
  • 異国迷路のクロワーゼ 第9話 【秘密】 感想

    Excerpt: 思い出のドレス……。 正直、ドレスに見えないんですが、寝間着に見えるのは自分だけでしょうか? カミーユの嫉妬いじめルートはとりあえず回避出来たようですね(←コラ) 世界は踊るよ、君と。/ここから.. Weblog: キラシナのアニメ・ゲーム時々教育の百戦錬磨日記 racked: 2011-08-31 21:33
  • 異国迷路のクロワーゼ 第9話「秘密 Jardin secret」 レビュー・感想

    Excerpt: 「あなたと会う自由を奪われたくなかったのよ。」 クロードと家の中で逢う事、それがカミーユに残されたたった一つの自由・・・なんだか切ないですね。しかもそんなささやかで脆 ... Weblog: ヲタブロ racked: 2011-08-31 23:16
  • 異国迷路のクロワーゼ 第09話 『秘密』

    Excerpt: 籠の鳥とはまさにこの事。衣食住に不自由はないが、自由のない生活。カミーユの境遇はそんな感じみたいです。クロードの事は愛してるけど結婚するという考えは頭にない。家の外には絶対に出ない。暗に箱入り娘を強.. Weblog: こいさんの放送中アニメの感想 racked: 2011-09-01 01:13
  • 『異国迷路のクロワーゼ』 第9話 観ました

    Excerpt: とりあえず、クロードとカミーユの淡い恋物語譚は語り終えたと観てよいのでしょうか?それにしてもこの二人の恋は、上流階級と中流階級の差で引き裂かれたと観るべきなのでしょうね。幼いながらもカミーユは自分の将.. Weblog: 「きつねのるーと」と「じーん・だいばー」のお部屋 racked: 2011-09-01 02:27
  • 生存戦略、始めます!

    Excerpt: 異国情緒のクロワーゼ #09 Weblog: 義風捫虱堂 racked: 2011-09-01 06:58
  • 異国迷路のクロワーゼ 第9話 「秘密」 感想

    Excerpt: 自己犠牲の精神― Weblog: wendyの旅路 racked: 2011-09-01 17:18
  • 異国迷路のクロワーゼ 9話 「秘密」(アニメ感想)

    Excerpt: 湯音に抹茶を振舞うアリス。日本式の点て方を覚えたというけれど・・・。 ちょっと待って、抹茶に砂糖とミルク?あぁ、紅茶には入れるもんねぇ。 期せずして抹茶ミルクを頂くことになってしまった湯音。 抹.. Weblog: アルベロの雑木林 racked: 2011-09-01 23:12
  • 異国迷路のクロワーゼ 第9話「秘密」感想!

    Excerpt: 異国迷路のクロワーゼ 第09話:「秘密」 クロードとカミーユの過去の話。 う~ん、過去話はどうも苦手。 クロードの方は、カミーユを人形劇に誘ったり、汽車を見に行こうと言ったり、積極的に誘.. Weblog: くろくろDictionary racked: 2011-09-02 21:47
  • ????????????9?????

    Excerpt: ????? ?????????????????? ???????????????? ??????????????? ?????????? The Animati.. Weblog: ?????????????? racked: 2011-09-02 23:03
  • 「異国迷路のクロワーゼ」 #09『秘密』

    Excerpt:  #09「秘密」  湯音が、思い出の服を着てくれて大感激のアリス。  そして、湯音を中庭に連れて行き、日本式の野点を披露するアリス。  抹茶百裂拳!!  抹茶を立てるとき.. Weblog: おきらく委員会 埼玉支部 racked: 2011-09-04 09:55
  • 「異国迷路のクロワーゼ」9話の感想

    Excerpt: 「異国迷路のクロワーゼ」9話、観ました。 アリスに誘われ、湯音はちょっとおかしな野点を楽しむことに。一方、湯音を待つクロードは、幼い頃のカミーユとの想い出を思い返していた。本や写真で見た新しいもののこ.. Weblog: 最新アニメ・マンガ 情報局 racked: 2011-09-14 15:29