未来日記 第4話「手書き入力」
黙ってるとちょっと怖いんだけど話してみるとわりとフツーに女の子してる巫女さんと、黙ってれば抜群に可愛いのにしゃべらせると妖怪みたいに怖い同級生。さぁ、キミはどっちを選ぶ!?
・・・生き残りたいなら同級生しか選択肢がないんだけど、このゲームおかしいよと言う前に、ゆっきーはもう少し成長したほうがいいw
----
前回、雪輝が由乃の秘密を知ってしまったことで、どうやら物語の前提に大きな変革が起きたらしい様子が描かれたが、それに関する言及は一切無いまま、とりあえずは今まで通りに日記所有者同士の駆け引きが繰り広げられる。今までと異なる点といえば雪輝が由乃をどう見ているか、その認識の違いなのではあるが、由乃のイメージはこれまでもあまりに大きな振れ幅で変遷してきたので、これでストーリー進行のパターンがそれほど様変わりしてしまうわけではなかった。というか、今まで通りの関係を(表面上だけでも)維持するように、由乃の強制力が働いていたという話。ゆっきーが由乃という人物に馴れたワケでは、決してないw
これで由乃は、学園のアイドル→頭のおかしいストーカー女→頼もしい最強助っ人→じつは可愛いかも→やっぱり頭のおかしい殺人鬼? ・・・といった具合に、おおざっぱに見ただけでも5回以上は印象が変化している。まだ4話目なのに!
でも面白いところは、これだけ万華鏡のような変幻自在の姿を見せるのが、由乃自身のキャラクター性のおかげなのかというと、決してそうとは言い切れない点だ。もちろん由乃は頭おかしいし、表裏の差が激しい上にスイッチの切り替わるタイミングが常人には理解しがたい、とても複雑な内面を抱えた人物として描かれている。けれどそれでも、由乃のキャラはかなり分かりやすい。それは彼女の目的がかなりはっきり描かれているからで、少なくとも現時点においては、彼女の”ゆっきー愛”をどこまでも貫き通す言動に微塵のブレも感じられない。では由乃の扱いがこれほど変化していく要因は何かと言えば、むろんそれは、雪輝の視線であり、感情、認識だ。雪輝のこころが万華鏡のようにとりとめもなく変化していくからこそ、由乃はあまりにも振れ幅の大きい様々なイメージを付与されることになる。
そう考えると、今作においては、いかに世界というものが主観的に語られているかがよく分かる。そもそもこの作品で設定されている「未来日記」のルールの大原則、すなわち日記に表れる未来があくまでキャラクターの主観的視点・意図によってつづられているという前提は、どんな人間でも(たとえ客観的事実のみを記述しているハズの雪輝でさえ)、この世界との関わりは絶対に主観を離れることはできないということをよく示している。中でも主人公の雪輝は常に優柔不断で受け身の姿勢を貫いており、ただ「ひどい目にあうのは嫌だ」という以外まともに目的なり我欲なりを持っていない人物なので、よけいに自分自身の置かれた状況によって心のありようを大きく変化させ、その分、周囲の世界や人間関係に対する認識がコロコロと入れ替わる。彼の目を通して、視聴者はこの世界がいかに不安定であり様々な顔を見せる存在であるかということを実感するのだが、そこで変化しているのが「世界」ではなく「目」のほうであることは先に述べた通りだ。
今回、由乃はいままででも最高度に”怖く”描かれていた。それは彼女の過去にしでかしたおぞましい行為を知ってしまったからであるし、またその行為をバラされる前に雪輝を殺してしまおうと由乃が考えるのではないかと、そんな可能性を常に念頭に置いて彼女のことを見てしまうからだ。たぶん、客観的に由乃のことを観察した場合に、前回以前と今回とで、彼女が雪輝を殺す可能性はまったく変わっていないのだろう。けれど、少し前までは由乃は絶対に雪輝を殺したりはしないだろうと信頼さえできる人物だったのに、いまでは雪輝殺害を目論み実行するであろう候補者の筆頭だ。人は、自分の立場によって、他者に対する評価をここまで劇的に変えてしまう。おそらく近いうちにまた、由乃のイメージ(主に仲間としての信頼度)はガラっと変わってしまうだろう。この作品は、外見上は殺人や暴力の快楽に染まる人間たちの狂気を描くドラマではあるが、じつは我々自身の認識力がいかに頼りなくいい加減なモノであるかをまざまざと見せつけようとしている、そんな挑戦的な姿勢の作品と言えるかもしれない。
----
今回の日記所有者たちの動き方を見てみると、どうもこの決闘ゲームの参加者たちは、積極的にゲームを楽しもうとする人たちと、身を守りながら平穏な日常を取り戻そうとする人たちの、2種類に分かれているように見える。
分かりやすいのは火山高夫(3rd)や雨流みねね(9th)、それに平坂黄泉(12th)だ。彼らはもともと暴力行為を楽しんだり仕事にしていたりしたので、未来日記を所有してからも、デウスの提示したルールに則って積極的にライバル打倒を目指して行動している。一方で雪輝や春日野椿(6th)は、神になろうとかライバルを殺そうなどとはあまり考えず、ただ自分にデッド・エンドが訪れないように、今まで通りの生活からなるべく離れないで済むように心掛けている。今後登場することになるであろう日記所有者たちも、このどちらかに分類していくことが可能になるのだろう。もっとも、平穏な日常を取り戻そうなんていう甘い考えの人間が、他に出てくるかどうかは分からないが。
ここで由乃をどちらに分類すべきかがちょっと謎だ。彼女は暴力を楽しんでいるようだし、間違いなく雨流みねね等と同じ括りに入れて良さそうな印象もあるけれど、でも彼女は自分が神になりたいとは考えてはいないだろう。彼女の場合は、自分の満足できる場所(と人)を手に入れることが目的であり、動機に関しては雪輝と非常に近いのだが、それが彼女特有のねじまがった性質によって暴力的な行為に走らせているだけに見える。そのねじまがってしまった原因が何なのかといったところは今後の展開によって明かされてくるのだろうが、現時点では彼女の存在が、単なる殺し合いとしてしか成立し得なかったハズのこの決闘ゲームを、複雑に、そして面白くしているのは確かだろう。
由乃が雪輝を愛してしまったこと、そしてその雪輝が大それた野望なんか抱かずに平穏無事に過ごしたいと願っていることによって、由乃は、言ってみれば現状維持派の守護神的存在になっているわけだ。現在こちら側に所属しているのは他に来須圭悟や春日野椿がいるが、椿などは由乃に殺されそうにはなったけれど、今回は結果的に、由乃のおかげでデッドエンドを回避できそうな算段になってきた。またそれによって、2回もデッドエンドを回避してきた1stこと雪輝のチカラが、じつは雪輝自身ではなくそのパートナーのおかげに過ぎなかったことも、周知の事実になってくるかもしれない。そうなれば今後は雪輝だけでなく由乃自身もライバルから狙われる標的にもなってくるだろう。そうなってきたときに、雪輝と由乃がどうやってその難局を乗り切るのか、ただでさえ危うい信頼関係をどこで繋ぎ止めておくのか、そういったあたりも楽しみになってくる。
とりあえず雪輝はそろそろ、いち中学生としてではなく、殺し合いのゲームの参加者としての知恵を身に付けてほしいところか。嘘や妥協で塗り固められたかりそめの同盟関係を自分の意志でコントロールできるくらいの気概を、彼が手に入れる日は果たしてやってくるのだろうか。
----
それでは、今回は以上です。
面白いと思ったら、ぜひ下の方にある拍手ボタン(ブログ気持ち玉)をクリックしてください^^

にほんブログ村
・・・生き残りたいなら同級生しか選択肢がないんだけど、このゲームおかしいよと言う前に、ゆっきーはもう少し成長したほうがいいw
----
前回、雪輝が由乃の秘密を知ってしまったことで、どうやら物語の前提に大きな変革が起きたらしい様子が描かれたが、それに関する言及は一切無いまま、とりあえずは今まで通りに日記所有者同士の駆け引きが繰り広げられる。今までと異なる点といえば雪輝が由乃をどう見ているか、その認識の違いなのではあるが、由乃のイメージはこれまでもあまりに大きな振れ幅で変遷してきたので、これでストーリー進行のパターンがそれほど様変わりしてしまうわけではなかった。というか、今まで通りの関係を(表面上だけでも)維持するように、由乃の強制力が働いていたという話。ゆっきーが由乃という人物に馴れたワケでは、決してないw
これで由乃は、学園のアイドル→頭のおかしいストーカー女→頼もしい最強助っ人→じつは可愛いかも→やっぱり頭のおかしい殺人鬼? ・・・といった具合に、おおざっぱに見ただけでも5回以上は印象が変化している。まだ4話目なのに!
でも面白いところは、これだけ万華鏡のような変幻自在の姿を見せるのが、由乃自身のキャラクター性のおかげなのかというと、決してそうとは言い切れない点だ。もちろん由乃は頭おかしいし、表裏の差が激しい上にスイッチの切り替わるタイミングが常人には理解しがたい、とても複雑な内面を抱えた人物として描かれている。けれどそれでも、由乃のキャラはかなり分かりやすい。それは彼女の目的がかなりはっきり描かれているからで、少なくとも現時点においては、彼女の”ゆっきー愛”をどこまでも貫き通す言動に微塵のブレも感じられない。では由乃の扱いがこれほど変化していく要因は何かと言えば、むろんそれは、雪輝の視線であり、感情、認識だ。雪輝のこころが万華鏡のようにとりとめもなく変化していくからこそ、由乃はあまりにも振れ幅の大きい様々なイメージを付与されることになる。
そう考えると、今作においては、いかに世界というものが主観的に語られているかがよく分かる。そもそもこの作品で設定されている「未来日記」のルールの大原則、すなわち日記に表れる未来があくまでキャラクターの主観的視点・意図によってつづられているという前提は、どんな人間でも(たとえ客観的事実のみを記述しているハズの雪輝でさえ)、この世界との関わりは絶対に主観を離れることはできないということをよく示している。中でも主人公の雪輝は常に優柔不断で受け身の姿勢を貫いており、ただ「ひどい目にあうのは嫌だ」という以外まともに目的なり我欲なりを持っていない人物なので、よけいに自分自身の置かれた状況によって心のありようを大きく変化させ、その分、周囲の世界や人間関係に対する認識がコロコロと入れ替わる。彼の目を通して、視聴者はこの世界がいかに不安定であり様々な顔を見せる存在であるかということを実感するのだが、そこで変化しているのが「世界」ではなく「目」のほうであることは先に述べた通りだ。
今回、由乃はいままででも最高度に”怖く”描かれていた。それは彼女の過去にしでかしたおぞましい行為を知ってしまったからであるし、またその行為をバラされる前に雪輝を殺してしまおうと由乃が考えるのではないかと、そんな可能性を常に念頭に置いて彼女のことを見てしまうからだ。たぶん、客観的に由乃のことを観察した場合に、前回以前と今回とで、彼女が雪輝を殺す可能性はまったく変わっていないのだろう。けれど、少し前までは由乃は絶対に雪輝を殺したりはしないだろうと信頼さえできる人物だったのに、いまでは雪輝殺害を目論み実行するであろう候補者の筆頭だ。人は、自分の立場によって、他者に対する評価をここまで劇的に変えてしまう。おそらく近いうちにまた、由乃のイメージ(主に仲間としての信頼度)はガラっと変わってしまうだろう。この作品は、外見上は殺人や暴力の快楽に染まる人間たちの狂気を描くドラマではあるが、じつは我々自身の認識力がいかに頼りなくいい加減なモノであるかをまざまざと見せつけようとしている、そんな挑戦的な姿勢の作品と言えるかもしれない。
----
今回の日記所有者たちの動き方を見てみると、どうもこの決闘ゲームの参加者たちは、積極的にゲームを楽しもうとする人たちと、身を守りながら平穏な日常を取り戻そうとする人たちの、2種類に分かれているように見える。
分かりやすいのは火山高夫(3rd)や雨流みねね(9th)、それに平坂黄泉(12th)だ。彼らはもともと暴力行為を楽しんだり仕事にしていたりしたので、未来日記を所有してからも、デウスの提示したルールに則って積極的にライバル打倒を目指して行動している。一方で雪輝や春日野椿(6th)は、神になろうとかライバルを殺そうなどとはあまり考えず、ただ自分にデッド・エンドが訪れないように、今まで通りの生活からなるべく離れないで済むように心掛けている。今後登場することになるであろう日記所有者たちも、このどちらかに分類していくことが可能になるのだろう。もっとも、平穏な日常を取り戻そうなんていう甘い考えの人間が、他に出てくるかどうかは分からないが。
ここで由乃をどちらに分類すべきかがちょっと謎だ。彼女は暴力を楽しんでいるようだし、間違いなく雨流みねね等と同じ括りに入れて良さそうな印象もあるけれど、でも彼女は自分が神になりたいとは考えてはいないだろう。彼女の場合は、自分の満足できる場所(と人)を手に入れることが目的であり、動機に関しては雪輝と非常に近いのだが、それが彼女特有のねじまがった性質によって暴力的な行為に走らせているだけに見える。そのねじまがってしまった原因が何なのかといったところは今後の展開によって明かされてくるのだろうが、現時点では彼女の存在が、単なる殺し合いとしてしか成立し得なかったハズのこの決闘ゲームを、複雑に、そして面白くしているのは確かだろう。
由乃が雪輝を愛してしまったこと、そしてその雪輝が大それた野望なんか抱かずに平穏無事に過ごしたいと願っていることによって、由乃は、言ってみれば現状維持派の守護神的存在になっているわけだ。現在こちら側に所属しているのは他に来須圭悟や春日野椿がいるが、椿などは由乃に殺されそうにはなったけれど、今回は結果的に、由乃のおかげでデッドエンドを回避できそうな算段になってきた。またそれによって、2回もデッドエンドを回避してきた1stこと雪輝のチカラが、じつは雪輝自身ではなくそのパートナーのおかげに過ぎなかったことも、周知の事実になってくるかもしれない。そうなれば今後は雪輝だけでなく由乃自身もライバルから狙われる標的にもなってくるだろう。そうなってきたときに、雪輝と由乃がどうやってその難局を乗り切るのか、ただでさえ危うい信頼関係をどこで繋ぎ止めておくのか、そういったあたりも楽しみになってくる。
とりあえず雪輝はそろそろ、いち中学生としてではなく、殺し合いのゲームの参加者としての知恵を身に付けてほしいところか。嘘や妥協で塗り固められたかりそめの同盟関係を自分の意志でコントロールできるくらいの気概を、彼が手に入れる日は果たしてやってくるのだろうか。
----
それでは、今回は以上です。
面白いと思ったら、ぜひ下の方にある拍手ボタン(ブログ気持ち玉)をクリックしてください^^

にほんブログ村
この記事へのコメント