未来日記 第5話「ボイスメモ」

平坂黄泉・・・。愛すべきキャラクターだった。惜しい!



御目方教の施設で繰り広げられる事件の終幕編は、結局6人もの日記所有者たちが入り乱れ二転三転の攻防を披露したスリリングなバトルとなった。道化の12th、黒幕の6thはもちろん、いままでパっとしなかった1st・雪輝も主人公らしい立ち振る舞いを見せて大いに盛り上げた。一方で来栖圭悟はせっかく確保した雨流みねねを逃がしてしまったが、彼の真意のありかが気になってくるところだ。


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とりあえずこの一連のドラマによって、今作が徹底して”目”にこだわり抜いた作品だということがよーく分かった。


序盤から視線や眼力を強調し、目の演技によってセリフ以上に雄弁にキャラクターの内面を描いてきた今作だが、前回と今回のエピソードはさらに”目”に対する執着を見せる。もともと弱視だったという6th・春日野椿は、「御目方教」なる新興宗教の「御目方教さま」として祀られ、その教団も目をモチーフにしたトレードマークをいたるところに用いている。椿の場合さらにそれは、「見える世界と見えない世界」という二分された世界認識を通して、屈折したキャラクター像の形成に直接的な影響を与えていた。


12th・平坂黄泉は、こちらは全盲という設定で、大きな目玉のかぶりものを常に身に付け、目が見えないというハンデを背負っているからこそ獲得した優れた聴覚によって特徴づけられている人物だ。たぶん彼の場合は、昔は普通に目が見えていたのが、何かのきっかけで光を失ってしまったのだろう(でなければ、ヒーローのポーズをかっこよくキメたり、相手の視覚を通して訴えかける催眠術を習得したりはできなかったハズ)。ひょっとしたらヒーローを目指すきっかけに、視力を失ってしまった事故か何かが深く関わっているのかもしれない。12thとの対決では、雪輝や由乃は、姿をはっきり現さない(=目に見えない)敵と戦わなければならないということで、とっさに気転をきかしていくことで間一髪の勝利を得ることができた。


さらに言えば、雨流みねねが目玉をえぐり取られてしまっているというのも、”目”というキーワードを強く意識させる状況だ。


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目という器官、もしくは見る(視る)という行為は、言うまでも無く古今東西において常に重要視され象徴化されてきた。そこに何か呪術的、霊的な現象の発現を感じ取るのは、何も未開人たちだけではなく、現代であっても本質的には変わっていない。目は、ただ外部の情報を光を通じて受信するためだけの器官ではない。むしろ目は、人の感情表現においてもっとも重要な役割を果たしていることに加えて、我々が意図的に視線を動かす(それによって外部情報を意識的に選び出す)ことができるという意味で、自分の所属する世界の姿かたちを好き勝手に操作することさえできる。これは目という器官が、我々の感情や意識を積極的に外部に発信していく機能を有していると言えるわけで、我々の人格や魂と直接的に結びつき連動していると考えても、大げさではないだろう。昔の人が、目に霊力が宿ると考えたりするのも当然だ。


そう考えれば、所有者の”目”もしくは”視線”の具象化とも言える未来日記は、未来の情報を受信する装置(感覚器としての目)という機能だけではなく、自身の感情や意志を未来に向けて発信し、世界のカタチを自分の認識に従って改変していく道具としての役割を秘めてさえいる。みねねの「逃走日記」が好例だが、多かれ少なかれすべての日記にそうした性質や役割が備わっているはずで、日記所有者同士の殺し合いとはつまり、”誰の”世界が勝ちを収めるか、異なる未来と未来がぶつかり合いつぶし合う淘汰の場であると言えるのだろう。神になる、という特権は、具体的な姿カタチを与えられている褒賞なのかもしれないが、その一部の働きはすでに全員が少しづつだが発揮しているものである。


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12人それぞれの視点に基づいた未来日記、という設定によって、この作品が12人それぞれに異なる世界認識の比較や対立の物語になるであろうことは、第1話の時点からある程度は示されてきていた。今回のエピソードはそれがさらに先鋭化されたものだったと言える。6th(椿)も、12th(平坂)も、2nd(由乃)も、それぞれがどんなふうにこの世界を見ているか(見たがっているか)という視点のありかが、各人の日記にダイレクトに反映される。椿の場合は少し分かりづらいが、信者たちの手引きによって紹介される外部の世界やそこに所属する人々は、椿にとってはただ淡々と受け入れるしかない決まり事であり、嫌悪・憎悪の対象であり、利用しつくした後はすべてぶち壊してしまいたいと思っていたものであって、椿の日記に記されていたものはすべてそうした者・物たちであった。平坂の日記には、彼がどんなにか憧れた正義が、すなわち彼自身を唯一絶対のヒーローとして成立させる、身勝手で見栄っ張りな世界が記されていた。由乃のは分かりやすい。彼女はゆっきーさえ無事でいてくれればそれでいいのだ。


この三人の日記が、彼らの構築する世界認識をそのまま反映したものである一方で、今回は脇役だった来栖とみねねの日記は、自分の為すべきことを補助するツールとして未来日記を活用しているという違いがある(ように見える)。きっと十分に現実主義者であり大人であるこの二人は、自分の目的を思い描くのにわざわざ日記を用いる必要が無かったのだ。彼らがこのゲームを勝ち上がって何がしたいのか、その目的や意識は日記に直接現れることはなく、今後の動きや話しぶりに注目するしかない。




そしてやはりカギを握るのは雪輝の日記だ。彼の場合、自分の意識なり願望なりが日記に書き込まれているわけではなく、かといって何らかの目的をサポートしているわけでもない。どちらでもない、というよりは、どちらにもなれると言うべきではないかと思っているのだが、果たしてどうなるだろうか。いまのところ、デッドエンドの察知と回避のため以外にはあまり日記を活用していない雪輝だが、今回どうやら決闘参加者としての自意識が芽生え始めたようで、まーた由乃に対する評価・印象がガラリと変わったが、はじめて能動的に動いて自分の未来をその手で掴み取って見せた。


強いていうならば、彼の日記は平穏無事日記だ。無差別に押し寄せる情報をただ淡々と受け入れていればそれでいい、世界にこちらから介入することをしない代わりに世界の方からの介入をできるだけ避ける、そうして心を波立たせることなく平穏無事に過ごしていられる自分の生活を、彼は今まで望んできたのかもしれない。けれどそれは、これまでがそうだったという話であって、これからもそうであり続けることはどうやら無さそうだ。無気力無感動であろうとしてきた雪輝が、どうやって主体的にこの世界に向き合い、自身の生に取り組んでいくか。それが、雪輝の物語を貫くテーマであるのはたぶん間違いないだろう。




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それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

あるるかん
2011年11月11日 21:00
12thは本当に面白くて良い奴でした。原作でも早期の退場は残念でしたよ。
彼は12人の中では割とまともな人間なんですよ(笑)。
おパゲーヌス
2011年11月12日 00:29
>あるるかんさん
あれでまともだって言うんだから、この作品、どれだけおかしい人間の集まりなのかと思っちゃいますねw ムルムルとの絡みはとくに最高でした。
クロウ
2011年11月14日 12:31
あいや、12thこと平坂黄泉は生まれつき目が見えない設定のハズです。あのヒーロー装束は子供のころに友人から聞いた「正義のひーろーのふく」を再現したものです。首に縄を巻いてるのは「マフラー」が上手く伝達されなかったからで。
6thこと春日野椿は好意に脆い女の子であるところが描かれていて良かったです。個人的に好きなので。
おパゲーヌス
2011年11月14日 22:13
>クロウさん
むむ、生まれつきでしたか。そうなるといろいろツッコミたくなる設定ではありますが、まぁ野暮なのでやめておきますw

椿の、雪輝の好意を受けて顔を赤らめるのは、あれは演技ではなかったのでしょうか。どっちかというと、由乃の敵意に対してムスっとした表情を見せる勝気な性格が、より彼女の本心に近いんじゃないかなぁと思って見ていました。それにしても不幸な身の上の巫女さんというシチュは素晴らしかったです。

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