ラストエグザイル―銀翼のファム― 第5話「Touch and move」

ほぼ同時に行われたトゥラン併合宣言とトゥラン再興宣言。ささやかながら、ふたたび政治・紛争のドラマにシフトしつつある感じ。目標が明確になると俄然燃えるね。




いちど関わったらなかなか故郷には返してくれない。シルヴィウスの死神たる所以で、技術的にも政治的にも機密の多い隠密作戦前提の船である上に、艦長の”喰えない”性格もあって、主人公たちがしばらくはもとの生活に戻れないままこき使われるであろう構図は、前作と同様の展開だ。


まぁでもアレックス艦長の頃に比べれば、だいぶ柔らかくて楽しげな船になったよなぁw もちろんタチアナはじめ妙にキャピキャピした女の子だらけのデッキの様子がそうさせているんだけれど、作品としては、根暗なクラウスと、元気印の三人娘の、主人公の性格の差異も如実に反映されている感じだ。そもそも『銀翼のファム』は、重厚な世界観やストーリー展開を取ってはいるけれど、世紀末的なギスギスした空気に支配されていた前作に比べて、とにかく明るく楽しげな雰囲気を貫いている。『ナウシカ』と『ラピュタ』の関係に似ていなくもない。


また今回とくに重要なのが、登場人物たちの前作との関連性だ。どうやらディーオだけでなくタチアナやアリスなどもまた、ただ名前や容貌が同じだけで作中設定では前作と切り離されているいわゆるスター・システムではなく、前作の続きとして、その記憶や体験を前提としながら、今作の世界で動き回っているらしい。となれば彼女たちが所属すると言うアナトレーという国家も、前作に登場したものの延長として考えるべきなのだろう。こうなると、前作をちゃんと復習してないと、話がよく呑み込めなくなる危険性も出てくるので、個人的にはちょっと不安になってくる。いまからレンタルで全話視聴するのは厳しいぞ。気になるならBDを買えという話なのだろうけれどw


けれどそうなると、シルヴィウスという船を建造しその乗組員を組織するにあたって、タチアナたちは当然、アレックスやソフィアのやり方をそのまま継承する恰好を取っているわけだ。初登場時から、タチアナとアリスの関係はアレックスとソフィアのコンビにすごく似てるというか、むしろわざと真似してるようにしか見えなかったのだけれど、スター・システムならこれを偶然の一致(もしくは作劇上の必然)とすることもできようが、前作のキャラそのものだということがはっきりした今なら、「タチアナはアレックス艦長の真似っこがずいぶんと楽しそうだな」とニヤニヤすることも可能なのである。これはじつに美味しいシチュエーションだw 今後もそういう楽しみ方をたくさん提供してくれるであろうから期待しておこう。


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また今回は、シルヴィウス艦内に用意されていた地図によって、第3話の時点では分からなかった地域(主にグランレイク南西方面)が明らかになってきた。第3話でぶっ潰されたノトスとかその位置を思いっきり間違えていたようで、たぶん今後もこうして随時に情報を更新していく必要があるだろうから、画面に盛り込まれた情報にも注意を払っていきたいところ。


ということで今回登場した地図の情報を盛り込むとこんな感じに↓ 
画像

・・・すみません、前回作った地図の配色を忘れてしまって、上から雑に塗り直したのでいっそう見苦しいことになったw

修正点としては、まずいままでアデス連邦だと思っていた地域が、じつは「DEPENDENT STATE OF ADES」すなわち”アデスの従属国”とされる地域で、第3話の時点では「S」の文字だけ見えていたマップ左上方の広い土地が、「FEDERATED STATES OF ADES」すなわちホンモノのアデス連邦領だったということ。そしてノトスはトゥラン王国西方に存在する国家で、ということは、第1話~第3話にかけて行われた、第二・第三・第四の三個艦隊による軍事活動は、アデス連邦が南方の広大な諸地域を支配するための一大遠征計画だったということが明らかになった。


さらには、マップ右下(南東)の地域は国家名ではなく「NOT RESIDENT AREA」とあり、国どころか居住者さえいない地域とされているらしい他、いままでは隠れていたり判読不可能だった国家名もいくつか読み取ることができた。何と読ませたいのかよく分からない地名はそのまま英字アルファベットにしてしまったけれど、とくにアデス連邦の北や西の諸地域は物語に絡むかどうかはアヤシイ。おそらくトゥランやノトスとは違い、もともとこの星に住んでいた先住民たちの国家なのだろう。(むろん、アウグスタが一つの国家・一つの民族なんていうスローガンを掲げていたので、アデス連邦はそのまま世界征服を目指しているらしいことがうかがえるから、他の先住民国家と摩擦が起きないとも限らない。)


また今回は地図だけでなく、シルヴィウスの艦内図やトゥラン併合を伝える新聞など、解読(英語がギリシア文字で書かれているだけっぽい)すれば色んな情報が盛り込まれているのだろうけれど、さすがに骨が折れるのでやらないw ただ、劇中の小道具がじつにこまごまとしたところまでちゃんと作り込まれていることに感心するばかりだ。すごい労力だと思う。


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また設定と言う意味では、今回シルヴィウス艦内で提供された食事はまた、空族の食べていたものとはガラっと変わって面白く、各民族や地域における文化的特色をよく反映しているようだ。空族のごちそうを特徴づけるのは、穀物と肉と新鮮な野菜。ポテトや小麦粉を使ったパン類を中心にしつつ、野菜の種類が豊富で鮮度も良く、内陸の農業国らしい文化背景が読み取れる。


一方でシルヴィウスでの食事で注目されるのはなんといっても見事な魚介類だ。ロブスターを何匹も丸ごと茹でてメインディッシュにしていたし、鮭やホタテの炒め物やパエリアやピザなど、どうやら地中海料理っぽいメニューが並んでいたり、グロテスクな巨魚の頭をどんと皿に盛りつけたスゴい料理をおいしそうに頬張る兵士もいた。おそらくどれもグラン・レイクで獲れた食材なのだろうが、シルヴィウスが漁をしているとも思えないので、今作におけるアナトレーという国家の文化がそうした食材を選ばせているのだろう。


一方で野菜に関しては、ズッキーニ?やキャベツの他、トマト、バジル、レモンや豆類が登場していた。タケノコみたいなのもあったけど。これらは比較的、安価で大量に仕入れることができる上、保存にも適している食材で、痛みやすい葉ものの野菜を生のままふんだんに使っていた空族の食事とはかなり趣が異なる。肉類にもそれは言えることだ。単に長期間補給を受けられなくなる可能性もあるシルヴィウスだからこそ保存のきく食材を選んでいるのかとも思うが、飯だけはうまいという兵士の証言や豊富な魚介類の数々を見れば、補給に関しては贅沢なくらい恵まれてそうだ。必要に迫られてと言うよりはやはり文化的背景や好みの違いを、カルタッファルの食事シーンとの差異によってはっきりと表す意図があるように思う。


なんだか中華料理みたいな品もあったけれど、こういう描写は何をどんなふうに参考にしているのか、興味は尽きない。




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ストーリーとしては、ファム&ジゼルは戦艦奪取の最初の作戦を成功させ、ミリア&テディは新生トゥランの建国を宣言し、どちらもシルヴィウスの大きな助力を足掛かりに最初の一歩を踏み出してみせた。とくにトゥラン再興に関しては、たった4人のささやかな王国からのスタートではあったが、主人公たちやシルヴィウスという船の今後の目標を明確化したことが、物語に果たす役割は大きい。トゥラン併合宣言と時を同じくしてこちらも建国宣言を行ったことは、早くもアデスと新生トゥランの間で政治的駆け引きが始まっていることを鮮やかに描き出している。


当面は、まずはとにかくファムたちの作戦を成功させ、15隻の軍艦からなる新生トゥラン艦隊の創設が目標となるだろう。冒険活劇としていよいよ盛り上がってくるところだ。もちろん、国家だけでなく艦隊だって、十分な人や港や資材が必要になってくるわけで、戦艦強奪と並行して、ミリアの賛同者をかき集めることが求められる。トゥラン併合宣言の式典で、なんだかバツの悪そうな顔をして座っていた貴族や要人たち、彼らがきっとトゥランの遺民なのだろうから、まずは順当にこのあたりから工作活動を繰り広げていくことになるのだろうか。


とはいえ、たった15隻の、しかも明らかに旧式の戦列艦ばかりを取り揃えたって、独力でのトゥラン再興は不可能だ。そこでアナトレーや空族(あるいは他の国々)との協力体制が求められることになる。そこで気になってくるのがシルヴィウス艦長のタチアナ・ヴィスラ。彼女が、現在のアナトレーにおいてどれだけの影響力や権限を有しているのか、それ次第で今後の戦局は大きく変わってくると思われる。前作では、シルヴァーナの副艦長がじつは王女様だったなんていう切り札もあって、たった一隻の船が国軍の中心的役割を担う理由づけも出来ていたのだが、タチアナとアリスティアの二人が国内でどういった立場を築いてきたのか(当然それは、アナトレーという国家の成り立ち方にも関係してくるであろう)が注目されるところだ。


これに対して、アデス連邦側がどんな動きを見せるかが現時点ではまったく分からない。彼らもシルヴィウスの情報は仕入れているだろうけれど、そこにミリアが乗り込んでトゥラン復興を画策しているとか、彼らが自軍の軍艦を奪っているらしいとかいった情報が、ルスキニア総統のもとに伝わるかどうか。当面は、シルヴィウスもアデス連邦も独自の目標に向かってバラバラに動いていくと予想しているのだが、どうなるかはもちろん不明。それにいつまでも政治ドラマをやっているわけにもいかないだろうし、そろそろ、ストーリーの主眼がエグザイルに向いていくことになるかもしれない。


次回予告によれば、次回はヴァンシップを用いた激しい空中戦が見れそうで、相手はアデスの戦艦・ナーヒードとその所有者である貴族ロシャナクとなる模様だ。見るからに切れ者なおばさんだが、坂本真綾さんの声でどうやって演じるのか想像がつかないw 楽しみにしておこう。



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それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

YUU
2011年11月12日 21:58
巡回中に発見~銀翼のファムはレビューが少なすぎる中でちゃんと考察されてて読みました。
特に地図が良いですねぇ~アナトレーさん連邦の対岸とは帝国対連邦となるより連邦対亡命王国って感じになりそうですね。

正直ファムは今回要らなかった、ジゼル天才すぎる、連邦のルスキニアやアウグスタが大物すぎですね~対するミリアは^^;今後に期待、
連邦の目的は正当性が有りますから前作みたいに絶対悪が今の所居ないので不安です・・・・・・だってOPにバラの花らしきものが(T_T)

ディーオで今回注目するところは整備員が敬礼してる!
タチアナさんはクラウスと会った時のデレ反応に期待さ(*^_^*)

更新がんばってくださいね♪
おパゲーヌス
2011年11月13日 14:35
>YUUさん
コメントどうもありがとうございます。確かにレビューしてる人は少ないかもしれませんねw 地図はお恥ずかしい限りですが、劇中で読み取れる情報からどんどん継ぎ足していく計画です。とくにアナトレーの位置はいまのところ劇中の描写からは読み取れなくて、たぶん湖の対岸あたりだろうという推測でしかないのですよね。”アナトレー海”と書いたところも「そう読めそうな文字が記載されている」というだけなので、大きく勘違いしているかもしれません。

戦艦強奪作戦は、戦闘にならなければファムの出番は無いですね。逆に、この手のドラマでは地味になりがちなジゼルのようなポジションの子が、これだけ活躍するというのが素晴らしいです。1期もそうでしたけど。

アデス連邦の首脳陣はみな切れ者でカッコよくて覚悟もキマってて、惚れ惚れします。ミリアは残念系王女様ですが、あれは腹心・テディの実力不足も悪いと思うw まぁミリアにはぜひリリアーナ姉さまをお手本にして頑張ってもらいましょう。

クラウスたちは登場するのでしょうかね? それはそれで楽しみですが、ファム、ジゼ、ミリアの三人娘がしっかり主人公やってくれるスタンスを最期まで貫き通して欲しいところです。ただでさえ1期のファンはファムたちないがしろにして盛り上がってる様子もありますのでw

>更新がんばってくださいね♪
どうもありがとうございます。どこまでご期待に添えるか分かりませんが^^

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