ラストエグザイル―銀翼のファム― 第10話「Illegal move」

先週の総集編は第9.5話だったということなので、今回のが第10話でいいんだよね・・・? 



アナトレーとトゥラン亡命政権の同盟が締結された一方、アデス連邦の世界戦略も新たな段階に突入。『銀翼のファム』第二楽章ここに開幕!


・・・っていう再スタートを切ったと思ったら、いきなりとんでもない展開になっててちょっと笑ってしまったw いや、本人たちからしたら笑い話じゃすまない事態なんだけれども。アデス、アナトレー、グラキエスの三大国による政治的駆け引きや戦略を見せる、いわば今後の戦争シーンに備えた下地作りのエピソードになるものかと予想していたのに、ふたを開けてみればルスキニアの高度な謀略によってアナトレー側がたじたじになっていた。大ピンチにもほどがある。


ルスキニアの今回の動きはあまりにも手並みが鮮やかだ。彼の目的は主に二つあって、表向きはまずトゥラン王国の併合を確実なものにするべく、反抗的なミリア一派を一網打尽にし、またアナトレーの動きを牽制しようというもの。いまのいままでリリアーナという切り札を隠し持っていたのは、分散していた反アデス思想の持ち主がミリアのもとに統合されるのを待っていたからだろうし、サドリによるシルヴィウス拿捕作戦が失敗に帰した今こそ、この切り札を使ってきたのだろう。リリアーナとしても、トゥランの全国民のうち9割以上の生死がルスキニアの手に握られている以上、彼の望む通りの役割を演じるしかない。このあたり、リリアーナとケイオス帰還民の末裔であるヴァサントは近い立場にあると言えよう。


そしてもうひとつの目的が、死神シルヴィウスの拿捕。シルヴィウスはアデス連邦にはない技術やノウハウの宝庫みたいなものだから、アデスの人たちがなんとかしてこれを生け捕りにしようと躍起になっているのはよく分かる。でもルスキニアのことだから、さらにまた別の目論見なんかがあったりするかもしれないけれど。それはともかく、正攻法で臨んだサドリの作戦が失敗してしまったので、今度は搦め手から攻めようと立てたルスキニアの計画は、ギルドの技術(人も?)を継承した隠密部隊による内部からの破壊工作。第2話でラサスを沈めリリアーナを誘拐したのと同じ手だが、相手が死神ということで十分に警戒したのか、アラウダによる陽動作戦と別働隊による機関部への侵入という二重の構えを用意していた。実際、ディーオなんていうチートキャラがいてアラウダの足止めに成功しているあたり、シルヴィウスの隠し持っている切り札の数の多さに舌を巻いているだろうけれど、それを計算したうえできちんと戦術上の目的を達成してしまう、ルスキニアの知性が光りまくったシーンとなった。いよいよシルヴィウスは万事休すか。ミリアの脱出を見届けたときのリリアーナの安堵の表情が痛ましい。


なおアデス第三艦隊は、これまた新技術を駆使して、これまで戦列艦では到達不可能だった高度にまで登ってきて空族の拠点を急襲。こないだから第三艦隊はいろんな実験を兼ねて縦横無尽の大活躍だが、この様子を見ると、第7話で空族連合を叩き潰した際には、タ・オピステンへの侵攻作戦を完了させていたのだろう。なんだか指揮官としてのオーランの評価がうなぎ上りだw 


今回の襲撃を受けて、他の空族の拠点がみなアナトレーに脱出できれば良いが、うまく連携が取れずに他の拠点まで制圧されたり降伏してしまうようになると、アナトレーはトゥランだけでなく空族の支援も期待できなくなる。グラキエスとの同盟が成立したとしても、ミリアの15隻艦隊と空族たちの支援があってはじめてアデス連邦と張り合える勢力になれるはずだったから、それに先回りして動いたルスキニアとアデス連邦軍のおかげで、アナトレーはますます不利な状況に陥ってしまっている。これでシルヴィウスが拿捕されてその技術を奪われたら完全に劣勢だ。ここから反アデス勢力がどう盛り返していくのか。やはりエグザイルが鍵になってくるのだろう。


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今回は劇中のセリフから、今作の世界観とエグザイルにまつわる重要なヒントが新たに提示された。


とりあえず大きいのはアルヴィス・E・ハミルトンの再登場。中の人はもとマドセイン嬢役だったけどw 1期で非常に重要な役割を担っていた彼女だが、当時ちんぷんかんぷんだったその役割が、2期シリーズを通じてようやく理解できるようになってきた。アルや、あるいはリリアーナたちは、エグザイルという巨大な宇宙船を起動することのできる存在で、いままでは単なるキーだと思ってたけどじつはけっこう自由に動かせるらしい? 第2話でルスキニアがリリアーナの生体キーとしての能力を強引に発動させていたけど、あのときはたぶん、トゥランのエグザイルを地上に降下させただけで、地上軍が攻撃してしまったからエグザイルが暴れまわったけれど、本来だったら平和裏に着地していたのかもしれない。もっともそこは王宮だったからやはり被害は甚大だったろうけれどw きっとトゥランの人たちは何世代も前にエグザイルに乗って地上に降り立った後、ふたたびエグザイルを衛星軌道上に打ち上げたのだろう。あるいは、宇宙にあるエグザイルから人間や物資だけを降ろすエレベーターが伸びてくるのかもしれない。


そういう背景があったので、ミリアは「アナトレーの帰還を歓迎します」などと宣言していたわけだ。ヴィンセントの話からするに、ソフィアを皇帝に戴いているであろうアナトレー=デュシス連合王国は、その大部分の人と戦力を宇宙に残したままになっているらしい。以前からルスキニアが何度も口にしていた帰還民と先住民の対立の歴史は、とうの昔の出来事ではなく、今もなお現実性を持って進行している事態だったのだ。


してみるとルスキニアは、あといくつやってくるかも分からない宇宙全土の放浪民を、すべて相手取って戦い続けると宣言していることになる。国家にとってはまさに泥沼の道と言えるが、そうせざるを得ないほど、グランレイク周辺の資源は乏しく、増え続ける人口を支えることができないのだろう。


今回冒頭で「グランレイクの源、ザ・ホール」という単語が語られ、まん丸の巨大な穴が登場した。どうやらグランレイクは、周囲から川が注ぎ込んでできた湖ではなく、むしろここから湧き出た綺麗な水が、湖の周囲に川となって流れ出している場所のようだ。この星がいまどんな状況になっているかは謎だが、少なくとも劇中で描かれている大陸においては、すべての資源の源がグランレイクにあり、だからこそこの湖が神聖視されている。第1話で、まさか湖の上で戦争はやらないだろうと断定していたリリアーナの意見は、本来であればじつに妥当な発言だったということになる。逆に言えばいまグランレイクの周囲で盛んに戦火を拡大しているアデスのやり方は、人の手によって自然を守っていかなければならないこの星の人々にとってはあまりにも危険なものであり、そこまでしなければならないアデスの切実さがうかがえる。




そういえばディーオが、エグザイルを起動できるのは女性に限定される能力だと話していた。各エグザイルに一人づつの生体キーがあるのなら、劇中に登場する帰還民の数だけ、アルやリリアーナのような能力をもった女性が存在していることになる。で、アヤシイのがアデス連邦皇帝(アウグスタ)のサーラ。なんでこの国は女性が帝位についているのか疑問だったけれど、もともとこの星を離れずにずっと暮らしていたのだと主張するアデス連邦もじつは大昔にエグザイルによって帰還した人たちだったとするなら、エグザイルの生体キーたる女性を名目上だけでも指導者に戴いているのはおかしくない。そしてもしそうなれば、ルスキニアの唱えている大義名分はその根底から崩れ去ってしまうことになる。


グランレイクという脆弱な自然に寄り添って生きていかなければいけない人々の姿には、やはりどうしたって、いままさに崩壊への道をたどっているようにしか見えない地球と、その星に生きる我々自身の姿を投影せずにはいられない。そんな中、宿命的な性によって戦争へと突き進んでしまう愚かで悲しい人間たちのありようにいかなる警鐘を鳴らすのか。アデス連邦を中心とした戦乱の行く末に作り手の込めようとするメッセージのありかを、ちゃんと見失わないように見守っていきたい。



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それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

ラファエル
2011年12月29日 17:58
ひさしぶりです。

ところで、第三艦隊は空族の拠点の高度まで上がって攻撃したのではなく、今まで通りの高度から空族拠点まで届く長距離砲を用いています。細かいことですが。

銀翼のファム、大分面白くなってきましたね。また、ついにアデス連邦の戦闘機登場ですね!

では、よいお年を。
おパゲーヌス
2011年12月29日 18:26
>ラファエルさん
そうらしいですね。よそ様のところでその情報を目にして、なるほどと思いました。劇中描写からだけで判断するのはやっぱり厳しいです、この作品w 

ドラマ的にはとても面白くなっていますが、しかし今回のような奇襲奇策ではうちのブログのセールスポイントを発揮できないのが悔しいですw しばらくはでもこんな感じかなぁ。

今年はアニメ的にもいろんな事件のあった年でしたが、来年はさらにアニメが盛り上がってくれると嬉しいですね。『ファム』がその最初の牽引役になってくれることを期待したいです。

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