ラストエグザイル―銀翼のファム― 第15話「Triangulation」

小見川さんキャラが日本語しゃべったことにびっくりだったよw 拮抗する勢力同士が衝突する寸前の緊張感、そしてサーラの本領発揮の可愛らしさが、たまりません。



ヴァサントの反乱は、ある程度は予測済みだったとはいえ、タイミングやその後の迅速な手配の仕方は、少なからずルスキニアを驚かせたようだ。それでも彼が対処をサドリに一任し、余裕そうに北の地へと向かったのは、そこにもう一基のエグザイルが存在していたから。巫女の存在が気になりはするし、あのエグザイルがもしかしたら特別なものなのかもしれないという予感もするけれど、いずれにせよこれで2基のエグザイルを保有して、この世界の軍事バランスを大きく逸脱してひとり優位にたったルスキニアが、ヴァサントの行動をほぼスルーしていたのもうなずける。(逆に言えば、珍しく感情をあらわにして笑い出したルスキニアの様子を見れば、この新しいエグザイルがちゃんと起動するかどうかは事前には分からなかったハズで、ここは彼にとっての大きな正念場だったのかもしれない。)


これでいよいよルスキニアは、今作のラスボスたるにふさわしい存在になることができたと言える。いままでだったら、政府と軍の頂点に君臨するただの人間であり、政争や戦乱のなかに埋没してしまう可能性もあった。けれどいまや、この世界の人間たちが束になって、さらにリリアーナが再度裏切ってくれたとしても、それでもまだルスキニアを倒すことができるか分からない。言ってみれば、ムスカがラピュタ中心部に到達したのと同じような状況である。当面はルスキニア派と統合軍、そしてアナトレーの戦いが描かれることになるだろうけれど、2基目のエグザイルをひっさげてグランレイクに舞い戻ってきたルスキニアをどうやって倒すかが、最大の焦点となってくるのだろう。


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一方でミリアたちはアデス連邦の王宮に到着。さっそくファムが失言のオンパレードをやらかしているが、相手がサーラとヴァサントで良かった。この子はいつ首切られてもおかしくないw


でも、相手の政治的立場なんてほとんど考えずに、感情を前面に出して好き勝手に騒ぎ立てるファムの性格が、これまでもこの物語を大きく左右してきたし、今回だってサーラの心をつかむことに成功しているのだから、あなどれない。民間外交のチカラを見せつけられる一幕で、それが可能だったのはファムが自分の思想や信念を(無自覚の内に)確立できているからだ。


各国代表を交えての議論の場でファムがミリアを気遣ってみせたシーンや、まずい雑穀粥を食べたときにサーラに謝罪してみせたシーンにも象徴的だが、ファムが決して手放さないのは、誰も悲しまない、みんなが笑っていられる世界への希望。そしてそれを夢物語ではなく、絶対に実現可能だとする確信だ。そしてその確信こそ、ファムがかつてグランレースの中で掴み取ったものだった。ファムは決して、多人数に呼びかけるのは得意ではない。けれど、その言葉足らずだが真摯な発言や何よりその表情が、一人ひとりに少しづつ確かに伝わっていき、それがいつしか世界中の人々を大きく巻き込んでいく、そんな変革の過程がいままさに描かれているわけだ。


このファムの希望に触れて、サーラは自分の進むべき道を見出し始めているのかもしれない。これまでは、偉大な母親の足跡に必死でしがみつき、ルスキニアやヴァサントらの言葉をそのまま鵜呑みにすることを、アウグスタという立場に強く縛られた役割としてではなく、自分の使命でありやりたいことなのだとしてなんとか信じ込もうと努力してきた。そうしたこれまでの葛藤や努力が、ファムによって提示された目標によって、やっと自分の理想と合致したカタチで活かされはじめるように、サーラは感じただろう。


目標実現のためには手段を選ばず、強引かつ性急に事を進めてきたことで、次第にその目標自体が本物かどうか怪しくなってきたルスキニア。口では良いことを言っているが、どうも私怨に突き動かされている気がしないでもないヴァサント。この二人と比べたら、何のバックボーンも持たないファムの語る、グランレースという希望が、はるかにファラフナーズの意志に適っているように見えるのは当然だ。ルスキニアとヴァサントが、どうしても暴力を用いようとしていることも、サーラには不満に思えることだろう。ここは、ファラフナーズの治世でどれだけの血が流されてきたかを、サーラが自分の目で見てこなかったという部分も大きいかもしれない。ともあれ、ルスキニア派でも統合軍派でもない、ファム派ともいうべきメンバーが、これでだいたい揃ってきたと言える。あとは彼らが、暴力の応酬をどこで食い止めて見せるか、大いに注目しておきたい。


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大局的な部分では、とりあえずこの物語がルスキニア派と統合軍の一騎打ちの様相になってきたのが、今回のストーリーだ。シルヴィウスを失い(?)、ウルバヌスも補修中というアナトレー先遣隊は、自分たちの土地を無事に守ることすら怪しく、統合軍に参加するのは少し先のことになりそうだ。


戦いの焦点はボレアース要塞。その価値は劇中で語られていた通りだ。ヴァサントがアウグスタの支持を取り付けたとはいえ、アデス連邦領内にはルスキニア側につき、彼らに補給を行っている基地もあるようで(劇中ヴァサントの「補給線が伸びている」発言より)、アデス連邦の正規軍が総統の直轄部隊として組織されていたことを推測させる。サドリとカイヴァーンがノリノリで計画を話し合っていたり、オーラン・ソルーシュがむずむずしながらもルスキニアに従う決断をしたのは、ただ暗殺部隊が怖いというだけではあるまい。おそらく法的にも、ルスキニアの命令に従うことに定められているのかもしれない。ともあれ、ボレアースをおさえることで、統合軍は敵の補給路をほぼ分断することができる。いくら精鋭の機動艦隊とて、燃料、食料、弾薬、兵員が消耗してしまえば、戦うことはできない。


ボレアース要塞の防衛が成功するか否かは、両者の対決の行方を、政治的にも大きく左右する。劇中でも語られていたが、現段階ではまだまだ、どちらの味方になるのかを決めかねて中立を守る勢力が少なからずいるらしく、とくにアデス連邦の人々は本当に迷っているところだろう。ヴァサントがボレアースを守りきれば、まだ参戦していない帰還民が続々と陣営に加わることになるだろうし、そうなればボレアース以南のアデス領民も統合軍に従うしかない。逆にボレアースを攻略してルスキニア派がその力を誇示すれば、アデス人はドミノ式にルスキニア支持を打ち出すだろう。


戦闘の結果そのものだけでなく、こうした政治的駆け引きが勝敗を左右する点は、外国への侵略戦争とはまた異なる趣がある。たとえばひとつの要塞の帰趨を巡って軍勢がぶつかる今回のような状況は、日本の戦国時代に多く見られたパターンだ。


日本人同士、多くの大名が戦っていた当時の戦争では、大きな損害を出してしまうことが氏族の滅亡に直結することもあって、無理な城攻めや大軍同士の合戦はあまり行われなかったという。かわりに、他の大名の領地を奪う際には、まず徹底した外交戦が展開される。敵方に属する城の城主を調略し、味方に引き入れることで、損害を出さずに領地を獲得するのが理想だった。また城攻めを行う際にも、本丸まで攻め落とそうとまでするのは最悪のパターンであり、もうこれは勝ち目がないと相手に思わせて降伏や退去を促すのが一般的だったそうだ。敵方から寝返った城主がかなり厚遇される例も多かったし、日本人同士の戦闘だからそれで良かったのである(むしろいたずらに死人を増やしたり城を破壊するのは忌避される傾向にあった。当時の日本で大砲が流行らなかったのはコレが一因でもあると思う)。


桶狭間の戦いは、尾張の鳴海城が今川氏に寝返ったことで、信長が軍勢を率いてこれを奪還しようとしたことが原因であった。あるいは長篠の戦いも、武田軍が徳川方の長篠城を包囲したので、信長・家康がその救援に赴いたことで発生した。このあたり、ボレアースの帰属をめぐって戦うことになったルスキニア派と統合軍の状況と、よく通じるものがある。これまでなら、機動艦隊はいきなり敵国の首都に乗り込んで徹底的に破壊するような戦略を取ってきたし、それを防ごうとする相手と野戦が発生したりしていたが、その前にもう一段階置いて、なるべく政治的圧力を利用して国内の覇権を握りたいと両者ともに考えているのが分かる。


このような戦略に推移していったのも、アデス連邦がアナトレー以外の全域を勢力下に置いていたからこそだろう。そういう意味では、グランレイク周辺にすむ人々をひとつの共同体として統合したいという目的は、きとんと進行しているわけだ。となると、ボレアースを巡る次の戦いは、今作における関ケ原と言えないこともない。ルスキニアの真意はもう少し見守ってみないと分からないけれど、まずは二つに割れたアデス連邦の行方に注目しておきたい。すぐにまた本格的な艦隊戦を見れるかもしれないのが実に楽しみだ。



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それでは、今回は以上です。


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