氷菓 第17話「クドリャフカの順番」

おお、なんか本格派ミステリーっぽい!!w



今回は待ちに待った解決編。む、むずかしかったぞ~! 


やっぱり自分には推理モノは苦手なようで、奉太郎が次から次へと事件の真相を解説してくれてるのに、頭がついていかなかったw というか、犯人はあなたですと言う段になっても、このお兄さんは誰だったかしらと本気で頭をひねってしまった。モブキャラに毛が生えたくらいの人かとばかり。なんというか、失礼な視聴者だという自覚はあるw


ただそういう意味では、文化祭にかかわる膨大な生徒や来場者たちの中から、たった一人の真犯人を見つけ出すという今回のミッションが、いかに困難で、雲をつかむような話だったのかということだ。その中から、偶然にも未発表作『クドリャフカの順番』の存在を知り、それを解決の糸口にして真犯人にたどり着いた奉太郎は、今回ばかりは正真正銘の名探偵だったと認めざるを得ない。また、意外に身近な人物が犯人だったと知って、里志はどれだけ悔しかっただろうなぁ。結局、今回の事件では、里志はあらゆる局面において、奉太郎よりもずっと真相に近い位置にいた。それなのに、やはり正解にたどり着いたのは奉太郎ただ一人であった。それも「期待以上」の力量差を見せつけての圧勝。推理の素晴らしさに加えて、百数十部も余っていた『氷菓』の在庫整理を見事成し遂げてしまったのは、まさにダメ押しの一撃だった。


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期待、という言葉を、里志は随分と悲観的に捉えていた。確かに目下の人間から「期待してるよ」なんて声をかけられたらイラっとくるのは分からなくもないけれど、自分ではどうしようもなくなった時にのみ他者に期待することになるだなんて、これはこれで言葉の意味や価値を不当に制限してしまっているように聞こえる。ただし今回のエピソードが、意思や努力等ではいかんともしがたい差を見せつけられてしまった敗北者たちの物語であったことを考えたとき、「期待」という語に込められた彼らの切ない心情は強く胸に迫ってくる。


里志にとっての奉太郎、田名辺にとっての陸山、河内にとっての安城・・・。自分が心底から欲しいと思った才能を、自分よりも遥かに卓越したレベルにおいてすでに手に入れている人々に対して、敵ではなく友人や支持者として接しなければならないのはどんな気持ちだろう。いっそ敵として相対することができれば良かったのだろうが、それを彼ら自身の才能は決して許さない。


安城春菜については分からないが、少なくとも奉太郎と陸山は、せっかくすぐれた才能を持ちながら、それをドブに捨てても平気な精神力を持っているらしい。もちろんそれはただ単に興味の有無の問題でしかないのだけど、それが里志や田名部にはとても許しがたい所業に見えるのだ。思えばこれと同じような構図は、以前に入須が奉太郎に探偵役を引き受けるよう説得しようとする場で用いた、運動部の例え話にも似ている。才能を持っている者が、その才能を謙遜したりただの幸運のせいにしたりするのは、才能がないのに必死に努力している者たちへの侮辱になるという。このとき入須は奉太郎を騙していたのだが、しかし彼女が奉太郎の才能を認めていたのも事実であろうし、自分がやりたくても出来ないことを奉太郎に「期待」していたのは間違いない。入須の言った「誰でも自分を自覚するべきだ」という言葉は、今回の「クドリャフカの順番」にもそのまま受け継がれているテーマだろう。


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ところで、他者に「期待」するのを大得意としているのが、千反田えるだ。彼女の期待はこれまでも幾度も、ほとんど無制限の大きさを持って発信されてきた。里志や摩耶花はあくまで自分の才能で何かを実現したいという願望を持ち、だからこそずっと才能に溢れた他者を羨んだり嫉妬したり期待したりするわけだが、千反田の場合はたぶん、自分で何かをしようとか、自分に何かができるなどとは微塵も思っていないからこそ、こんなにも無制限に期待することができるのだろう。


もっとも今回の文化祭に関して言えば、部誌を売らなければいけないという使命のために、本当の関心事を差し置いてでも不慣れな交渉・宣伝役を引き受けなければならなかった。そして、こうして初めて彼女自身の才覚や努力によって事を為さねばならなくなったとき、千反田の発する「期待」には色がつくことになった。入須が辛辣にも「甘えているように聞こえる」と指摘していたが、いまだに自分のチカラで物事を進めることを知らなかった彼女が、ただ単に頭を下げて要求を押し付けようとする姿が、入須にはとても痛々しくて見ていられなかったのだろう。これは、千反田の「期待」に利害や打算が加えられたことの弊害であった。


逆に言えば、奉太郎を奮起させるいつもの「期待」は、何の打算も加えられていない、純粋な興味の塊であるからこそ、大きな力を発揮するのだと言える。まぁありていに言えば彼女はどこまでも”子ども”であるということだが、この幼児性が今後良い方向に働くのか悪い方向に働くのかが、ヒロインの今後のあり方を決定づけるひとつの要因になるのではないかと推測している。


ともあれ、大きな波乱をなんとか乗り切った古典部の次なる活躍を、心より「期待」しておきたい。





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それでは、今回は以上です。


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この記事へのコメント

じたん
2012年08月14日 00:33
おぉ、色々と期待に関する描写がされているなと思っていましたが千反田さんの期待については気づきませんでした!!
なるほどと思いましたね。これでまた見直して氷菓が楽しめると思います(*^^*)
あるるかん
2012年08月14日 16:14
いやぁ奉太郎は凄すぎましたねぇ、供恵が「夕べには骸に」を持ってきた幸運があっても、やっぱり凄いですよ。あと『愚者のエンドロール』の入須の話が反映されたエピソードでもありましたね。
里志も奉太郎が自分が渇望する才能とは違うものを、例えば音楽とかの才能だったらああも葛藤はしなかっただろうに。
里志や田名辺や河内の気持ちは、今まで何かしから頑張ったり懸命に努力をして取り組んだことのある人には、多かれ少なかれ体感したことだと思います。私も似たような経験はありますしね。絶望して諦めてしまうと頑張ろうとしても、それが出来なくなってしまうんですよね。
だから里志たちも諦めてしまったんだと思います。彼らに「何故諦めた?どうして頑張らないんだ?」なんて、残酷なことはとてもじゃないが私には言えません。


可愛い人形が好きな少女趣味を持つ入須もすごい可愛いですね。あそこはアニメオリジナルですが、入須が原作よりも面白味があります。
最後の打ち上げを提案するのは本来は奉太郎なんですが、あの改変はちょっと残念でした。田名辺との交渉もですが、奉太郎が古典部に仲間意識を持ち何とかしたいと願い画策したことですし、打ち上げもついでに十文字の真相を話すとしていたんですがね。


えるは今回の件から、自分が如何に交渉や商談では役立たずで、いつも奉太郎の好意に甘えているかと自覚して(奉太郎の場合、好意とは違うんですがね)、己の未熟さと無力さを猛省しました。恐らく、今後のエピソードでも本人から語られると思います。
おパゲーヌス
2012年08月14日 22:22
>じたんさん
今作のヒロインの立ち位置については前からずっと気になっていたので、そういえばと思い出して考えてみました。ただの萌え要員ではないところを次回は見せて欲しいと思ってます。

>あるるかんさん
意思や願望は強いけれど才能の乏しい人間が、天才としか言いようのない才能を他者の中に見出してしまう悲しさは、この作品の、もっと言えばこの作者の取り組む根幹テーマのひとつなのではないかと、ここ最近のエピソードを見て感じています。作者さんがはたしてどっち側の人間なのか、それは自分にはわかりませんけれども。今回は里志たちの欠点(?)ばかりが浮き彫りにされるエピソードでしたが、序盤のころは奉太郎が他者と関わることへの恐怖を強く訴えていたりして、これら登場人物たちの抱える影の部分に、作者の人格が少しづつ散りばめられているのかなと想像しています。

打ち上げを提案したのが奉太郎ではなく里志になっていたというのは、きっとアニメ版スタッフが、里志の心情をよりクローズアップしたいと考えたからではないでしょうか。陰鬱に落ち込みかけた自身の心を奮い立たせて、いつも通りの明るいキャラクターに立ち返って見せた里志の姿には、応援したいと思わせる健気さがありました。

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