輪廻のラグランジェ season2 第12話(最終回)「今日もまた、鴨川で」

ジャージ部、宇宙進出おめでとう!




ディセルマインとの対決に決着がついたことを受けて、宇宙に平和が戻ってゆく様子を描いた最終回。やはり重点が置かれたのは、事件の終幕そのものではなく、”その後”の世界がどう変わりつつあるかという側面だった。


輪廻の空間で戦われた前回の戦闘は、どちらの機体のパワーや戦術が勝っているかどうかではなく、まどか達3人の言葉がディセルマインに届くかどうかの戦いであって、ジャージ部らしさの炸裂した投げ技が見事にキマった時点で、今回のAパートで描かれるべき場面はすでに決定していたというべきだろう。悲劇の主役たるディセルマインとユリカノの二人にも救いと希望を与えたうえで、地球を覆いつつある災難を回避してみせた点。アステリアやよう子たちが微塵も疑わずにまどか達を信じてみせた点。そしてこの事件の顛末が前半パートまでに終結し、後半部はまどか達の将来にかかわるエピソードに移行する点など、おおよその流れとしては、先週の時点ですでに予想していた人も多かったのではないだろうか。


その意味でもこの最終回は、Bパートこそが本番と言っていい。最後の戦いが無事に終了し、また同時に高校生としての青春時代も終わりを迎えたまどか達が、その先にどのような進路を思い描いているか。こればかりは自分にはちょっと想像もつかなかったし、また実際に、予想を超えたエピソードが語られることになった。ランはどうやら王位についたようだし、キリウスたちデ・メトリオ出身の3名もレ・ガリテ王宮に仕官した模様。一方のムギナミはジャージ部のキッス支部長に収まっていた。ディセルマインはショタ化したうえでヴィラジュリオと和解したが、二人とも王位を退いたのも意外だった。アステリアはよう子を引き連れてオカルト探検家に転向したようだ。まどかのクラスメートたちもそれぞれ宇宙規模で活躍の場を広げているらしい。モイドはだけは救われず、なぜか光の粒となって消え失せてしまった。そして肝心のまどかは・・・・・・こいつは何をやっているんだ?w


どうやら彼女は本当に、ジャージ部を宇宙進出させてしまったらしい。ジャージ部というものが鴨川女子高校の部活動として存続させることはできず、まどか・ラン・ムギナミの私的な組織となっていることは以前から描かれていたが、まどかはこれをそのまま全宇宙に活動の舞台を移して好き勝手にやっているらしい。


一見するとこんなのはボランティアくずれのニートと言われても仕方がないと思うのだけど、これが許されるのはランやムギナミといった権力者が強烈にバックアップしているからである。・・・というよりも、ジャージ部をそのまま続けたいという欲求を、ランやムギナミの社会的立場にうまく摺り寄せた結果がコレなのだろう。進路希望も出さずに何をゴネていたかと思えば、うまいこと抜け道を見つけたものだ。


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より客観的に見れば、人類を滅亡の危機から救った京乃まどかという英雄を、もとは別々の国家に分かれていた宇宙人類の平和と統合の象徴として活用する方法を、政府が選択したということだ。政治的実権はもたないものの、人々の心の支えとして宇宙中を飛び回らせるこの図式は、乱暴な言い方をすれば、我々の世界における各国の王族・皇族に近い存在であると言えるかもしれない。ウォクスのパイロットが世襲されるのなら別だが、一代限りの特別扱いなら何も問題ないだろうし、まだまだ問題が山積しているであろうこの世界にとっては大いに益になるやり方かもしれない。


もちろん心配はある。今はまどかもムギナミも政治的野心は微塵も持っていないようだし、彼らが若く理想に燃えているうちはこのままで構わないのだろうが、彼らが大人となり、かつ人々の記憶から今回の惨劇への恐怖心が徐々に薄れていったとき、まどかの立場は政治的にきわめて美味しい(=危ない)状態にある。なんといっても、デ・メトリオや地球をも含めた全宇宙の代表的立場に立っているのがランであり、そのランに絶大な影響力を持っているのがまどかなのだ。ジャージ部という私的組織のリーダーが、全人類の王より立場が上になっているという歪な状況。これを利用して悪いことを考える連中が近い将来現れないとも限らないわけで、そのときにジャージ部は今のように結束して、正しい答えを導くことができるのか、それはまったく分からない。


これを回避するのに一番良さそうなのは、まどかは早いところ結婚して、家庭の中に落ち着いてしまうことだ。もちろん夫や子供ができたからといって、まどかがすぐに大人しくなるとはとても思えないけれど、それでおランやムギナミとはまた違った意味で大切な存在ができて、そちらに大きな注意力と時間を割くようになれば、自然とまどかは、政治の中枢から離れていくことになると思う。


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うーん、なんで最終回の記事でこんな心配事を書き連ねなければいけないのか。結局のところ、この最終回で見せられたまどか達の”その後”の姿は、まだまだ大人になりきらない青年、もしくは子どもの姿であったということだ。第1期・第2期を通じて描かれた彼女たちジャージ部の活躍は、青年らしくあるからこそ成し遂げられたことがある一方で、輪廻という不思議な空間を通してしか実現し得ない青年の理想の儚さをも意識させてしまうものだった。


どこまでもまっすぐに、豪快に、そしてほとんど考えなしに突っ走っていくまどか達の姿は、アニメーションという仮想空間における「作られた物語」としてとても痛快で、底抜けの清々しさを感じさせてくれるものではあった。しかし画面の中の仮想空間に、さらに輪廻という、あたかも劇中劇とも受け取れる別の舞台を用意して、ウォクスなる稀有のアイテムに奇跡的に通じ合うことが許された特殊な立場の3人(しかもうち二人は宇宙人だ)に演じさせた物語は、いっそうアニメの非現実性を際立たせる。彼女たちのように理想に突き進みすべてを実現させていく青年の姿は、一般的な作品作りの慣例をあえて打ち破るような脚本・演出によっていっそう興行としての色彩を強めながら我々の目の前に提示されてゆく。ある意味でそれは、エンターテイメントの極致を目指そうとする試みの、当然の帰結であったのかもしれない。


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ところで話は大きく変わるけれど、モイドはなぜ一人だけ消えてなくなってしまったのだろうか。ひょっとしたら他の場所で語られることになるのかもしれないけれど、現時点での勝手な想像を働かせてみるならば、モイドは2万年前から生き続けていたのではなく、2万年前の惨劇に対する人々の恐怖心が生み出した幻影だったのではないかと考えてみた。地球人はすっかり忘れていたかつての災難は、ポリヘドロンではずっと語り継がれており、しかもそれは単なる昔話や伝承あるいは歴史的事実としてではなく、人類全体で背負うべき原罪のような事件として認識されてきたようだ。次に同じことを起こしたら今度こそ人類は滅亡する、という危機感を、2万年もの間ずっと抱え続けてきたのだろう。その危機感や恐怖心が輪廻に投影されて形作られたのが、モイドという存在であった。だから、今回まどか達3人がウォクスによる惨劇を無事に回避したことで、恐怖を抱え続けてきた人々の心に大きな希望を与え、その結果モイドがこの世界に存在できるだけの余地がなくなってしまった。それが、モイドだけが消失してしまった理由なのではないだろうか。


どうやら輪廻というのは、直接その扉を開かれなくても、常に宇宙空間と間接的に関わっているようで、何百億という全宇宙人類に同時に巻き起こった安堵と幸福と希望の波が、星の運行にさえ影響を及ぼす結果となった(たぶんそういう解釈でいいと思う。まどか達+ディセルやユリカノのたった5人の和解がこれほど大きな影響を及ぼしたと考えるのは、ちょっと無茶だと思う)。


モイドは、輪廻の向こう側に神の声を聞きたがっていたけれど、いつでもどこにでも偏在し、我々一人ひとりの声や心や行為に触れてくれる神様の概念を、一般にイメージされる絶対神の姿とはまた違った解釈で表現しようとした結果が、輪廻やウォクスという、十分に説明のされない意味不明な世界観設定として結実しているのではないかと想像している。神はいるのかいないのか、いるのであればそれはどんな姿かたちをしているのか。そんな問題について興味のある人は、今作の用意した世界観を改めて吟味してみるのも面白いかもしれない。



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それでは、これにて『輪廻のラグランジェ』の各話感想記事は終了とさせていただきます。いままでお付き合いいただき、どうもありがとうございました。


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