新世界より 第1話「若葉の季節」
またとんでもないアニメがはじまったなー。これは期待大!
1000年後の日本が舞台ということだが、前クールの『人類は衰退しました』と同様に、遠未来ならではのぶっ飛んだ世界観を披露していて度肝を抜かれた。登場人物の思考や人格だけはギリギリ現代人と通じる部分はあるものの、環境や社会形態、価値観に宗教観、文化や生活スタイルなど、物心両面でもはや完全な異世界にあると言っていい。ただし完全なファンタジー世界と位置付けるには、我々の知る世界との関連がいささか強く、どこか郷愁さえ感じさせる風景が描き出されていく。1000年後、という設定に十分な重みを付与するだけの説得力が、画面の中に存在していた。
また、現代の我々の生活の中ではとっくに忘れ去られていた古い因習や宗教観が再び強い影響力を及ぼしていることで、現代日本との文化的な面での「近さ」と心情面での「遠さ」のそれぞれを共存させている点も、遠未来を描く手法として心憎いものがある。まずはじっくりと今作の世界観を提示した第1話だったが、ちんぷんかんぷんながらも、絵やセリフで語られていく作品舞台の様子にはのめり込むような魅力を感じた。
ストーリーのほうはまだまださっぱり分からない。お化け系ホラーが大の苦手な自分にはもう今回の時点で背筋が凍るような恐怖を感じてしまったのだけど、次回以降もっと怖くなっていくのかと思うと、少々気が滅入る。どうやらこの作品は、1000年前の日本で何が起こったのかという根本的な謎を基軸としつつ、主人公たちが暮らす世界に仕掛けられた二重三重の罠や謎に向き合っていく、ミステリ的要素を多分に孕んだ展開になるようだ。当面は、渡辺早季とネコダマシの接点を中心に、渡辺家の過去や学校に隠された謎が焦点となってくるのだろう。
この世界の人間たちは呪力を使うことができ、それを体系化された技術として習得しているようだが、個人的にはそのような超能力を使った少年バトル漫画風の展開には向かって欲しくないところではある。この第1話はとにかく毎シーン毎カットごとにスリリングな演出を駆使して魅了してくれる映像作品となっており、起こっている事象そのものよりもむしろ作中人物の印象と、それに左右された不確かな視点を拾い上げ描き出していく、虚構性の強い、アニメならではの表現技法がとにかく印象的だった。この映像演出の技が活かされるのはやはり今回のような、オカルトに半分足を突っ込んだようなサスペンスもしくはホラー展開であろうから、怖いのは苦手なんだけれども、それに期待せざるを得ない。
公式サイトでの紹介によれば、今作は12歳、14歳、26歳のそれぞれの時期を描く三部作構成となっているそうだ。今回に関しては、まさに12歳の少年少女を描くのにふさわしい情景がとても印象的に織り込まれていた。夕暮れ時、遊びを切り上げて帰ろうか否かを迷っている最中のもどかしさ。いつまでも終わらせたくない楽しい時間と、暗闇に包まれることの薄気味悪さ。久しく忘れていた幼少時の記憶が嫌でも呼びさまされるノスタルジックな光景には、強く心を揺さぶられた。そういえばいつか遊んだ鬼ごっこ、友達がいたずら心に、わざと「もういいよ」と答えてくれなくて、暗くなっていく空を見上げながら途方に暮れたことがあった。よく見知っていたはずの団地や、公園や、裏山なんかが、ほんの一瞬の光の加減や、心の動揺の大きさによって姿かたちを変えてしまい、まるで初めての土地に迷い込んだかのような錯覚に陥って、僕はとても怖い思いをしたものだった。
ほんの子供の頃にしばしば感じた、ふとしたきっかけで異世界への扉が簡単に開いてしまいそうな怖さや曖昧さを、今作の世界にはいたるところに感じることができる。中学校に相当するのであろう全人学級に進級した早季たちではあるが、その感性や興味の対象はまだまだ小学生らしいところがある。そしてそれゆえにか、多感な彼らは時に鋭く、この世界の歪さに気付いてしまう。全人学級の印象を、あのおぞましい農場とよく似ていると喝破した早季の発言の意味は、いったいどういうカタチで明かされることになるのだろうか。
原作は有名な長編SF小説という話だけれど、例によってタイトルすら知らなかった作品なので、未読者ならではの興奮を存分に味わっていきたい。アニメだけしか見ていなかったらとても理解が追いつくとは思えない作品だが、振り落とされないようになんとかしがみついて視聴していきたい。
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それでは、今回は以上です。
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1000年後の日本が舞台ということだが、前クールの『人類は衰退しました』と同様に、遠未来ならではのぶっ飛んだ世界観を披露していて度肝を抜かれた。登場人物の思考や人格だけはギリギリ現代人と通じる部分はあるものの、環境や社会形態、価値観に宗教観、文化や生活スタイルなど、物心両面でもはや完全な異世界にあると言っていい。ただし完全なファンタジー世界と位置付けるには、我々の知る世界との関連がいささか強く、どこか郷愁さえ感じさせる風景が描き出されていく。1000年後、という設定に十分な重みを付与するだけの説得力が、画面の中に存在していた。
また、現代の我々の生活の中ではとっくに忘れ去られていた古い因習や宗教観が再び強い影響力を及ぼしていることで、現代日本との文化的な面での「近さ」と心情面での「遠さ」のそれぞれを共存させている点も、遠未来を描く手法として心憎いものがある。まずはじっくりと今作の世界観を提示した第1話だったが、ちんぷんかんぷんながらも、絵やセリフで語られていく作品舞台の様子にはのめり込むような魅力を感じた。
ストーリーのほうはまだまださっぱり分からない。お化け系ホラーが大の苦手な自分にはもう今回の時点で背筋が凍るような恐怖を感じてしまったのだけど、次回以降もっと怖くなっていくのかと思うと、少々気が滅入る。どうやらこの作品は、1000年前の日本で何が起こったのかという根本的な謎を基軸としつつ、主人公たちが暮らす世界に仕掛けられた二重三重の罠や謎に向き合っていく、ミステリ的要素を多分に孕んだ展開になるようだ。当面は、渡辺早季とネコダマシの接点を中心に、渡辺家の過去や学校に隠された謎が焦点となってくるのだろう。
この世界の人間たちは呪力を使うことができ、それを体系化された技術として習得しているようだが、個人的にはそのような超能力を使った少年バトル漫画風の展開には向かって欲しくないところではある。この第1話はとにかく毎シーン毎カットごとにスリリングな演出を駆使して魅了してくれる映像作品となっており、起こっている事象そのものよりもむしろ作中人物の印象と、それに左右された不確かな視点を拾い上げ描き出していく、虚構性の強い、アニメならではの表現技法がとにかく印象的だった。この映像演出の技が活かされるのはやはり今回のような、オカルトに半分足を突っ込んだようなサスペンスもしくはホラー展開であろうから、怖いのは苦手なんだけれども、それに期待せざるを得ない。
公式サイトでの紹介によれば、今作は12歳、14歳、26歳のそれぞれの時期を描く三部作構成となっているそうだ。今回に関しては、まさに12歳の少年少女を描くのにふさわしい情景がとても印象的に織り込まれていた。夕暮れ時、遊びを切り上げて帰ろうか否かを迷っている最中のもどかしさ。いつまでも終わらせたくない楽しい時間と、暗闇に包まれることの薄気味悪さ。久しく忘れていた幼少時の記憶が嫌でも呼びさまされるノスタルジックな光景には、強く心を揺さぶられた。そういえばいつか遊んだ鬼ごっこ、友達がいたずら心に、わざと「もういいよ」と答えてくれなくて、暗くなっていく空を見上げながら途方に暮れたことがあった。よく見知っていたはずの団地や、公園や、裏山なんかが、ほんの一瞬の光の加減や、心の動揺の大きさによって姿かたちを変えてしまい、まるで初めての土地に迷い込んだかのような錯覚に陥って、僕はとても怖い思いをしたものだった。
ほんの子供の頃にしばしば感じた、ふとしたきっかけで異世界への扉が簡単に開いてしまいそうな怖さや曖昧さを、今作の世界にはいたるところに感じることができる。中学校に相当するのであろう全人学級に進級した早季たちではあるが、その感性や興味の対象はまだまだ小学生らしいところがある。そしてそれゆえにか、多感な彼らは時に鋭く、この世界の歪さに気付いてしまう。全人学級の印象を、あのおぞましい農場とよく似ていると喝破した早季の発言の意味は、いったいどういうカタチで明かされることになるのだろうか。
原作は有名な長編SF小説という話だけれど、例によってタイトルすら知らなかった作品なので、未読者ならではの興奮を存分に味わっていきたい。アニメだけしか見ていなかったらとても理解が追いつくとは思えない作品だが、振り落とされないようになんとかしがみついて視聴していきたい。
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