さくら荘のペットな彼女 第3話「近すぎて遠い・・・」
今ましろが「何色」をしているか、というのを考えながら、彼女のセリフを聞かないといけないのかも。ムズカシイけれど、ちゃんと会話は成立するんだよなぁ。
「空太は、どうしてここにいるの?」
ホテルで ましろにそう問いかけられたとき、その質問をどう解釈するかというのが、今回の空太に課せられた課題であり、第3話のメインテーマであったと思う。
ましろは顔も口調も常に表情がなく、それは彼女が何の感情も持っていないからなのだと、つい思ってしまいたくなる。けれどその裏には豊富な表情が隠されており、普通の人とはピントのズレた純朴さであるとはいえ、その感情の揺れ動き方、表情の豊かさは、他の人たちと比べてもなんら遜色がないのかもしれない。だから彼女と会話をするときには、まず彼女が豊富な表情を隠し持っているという前提に立ったうえで、ではその一見すると無表情なセリフが実際にはどんな色に染まっているのか、その言葉にどんな感情が込められているのかを、推測していかなければならない。
逆に言えばこれは、受け取る側の認識の差や願望等によって、ましろの発言が不必要に着色されてしまう可能性があるということだ。会話において相手の発言をフィルター越しに受け取ってしまうのはどうしようもないことだけれど、ましろとの会話においては、自分が無意識に設定しているフィルターの影響がよりダイレクトに反映されてしまう。第1話においてましろが自分のことを真っ白だと評価したその真意はいまだによく分からないけれど、ひょっとしたら、自分の発言や行動の意味が他者によっていくらでも色づけされてしまう状況を皮肉ってみせたのかもしれない。少なくともこの第3話の時点では、絵を描くという行為について確固たる意志や目標を設定している彼女の現在の姿は、真っ白とは程遠いところにある。
「どうしてここにいるの?」という言葉には、二通りの意味を読み取ることができる。ひとつは空太の行った解釈で、ましろ自身には明確な意図・目的があってここ(ホテル)にいるのに、猫の里親を探すという目的があるはずの空太はこんなところで何をやっているのか、今やるべきことを見失っているのではないか、という叱責の意味。空太は前日、三鷹先輩からやはりきつい叱咤激励を見舞われており、これで空太は才能のある二人から、お前は何もしていないと鋭く指摘を受けた格好となった。そうして、じゃあやるべきことから始めてみようじゃないかと立ち上がったのが、今回のエピソードであった。
けれど男女ふたりきりでラブホテルに泊まることになった状況で、裸になった女の子が戸惑う彼に「どうしてここにいるの?」と問いかけたということは、フツーに考えればそれは愛の告白以外の何物でもない。ましてや空太は、ましろの他の男とのデートを監視し、妨害しようと飛び込んできた当人である。もし空太の心に余裕があれば、ましろの無色透明なセリフからピンク色の感情を読み取ってみせたとしても、何も不思議はなかった。
そもそもこのデートの目的は、空太の嫉妬心を煽り、空太に再び ましろのお世話係をやってもらおうと考えも、ひとつの側面として存在していた。だとしたら空太とこうして二人きりでホテルに入れたのは、ましろにとっては計算通りだったはずだ。恋愛のなんたるかをちゃんと理解しているとは思えない ましろだが、それでも、当初の意志を捨ててこの場にやってきたという自身の行動の意味を自分で分かっていない空太には、文句のひとつも言いたくなったのかもしれない。「自分の居場所は自分で決めます」と、空太は言った。どうしてその時、自分の居場所は椎名の隣だと言ってくれなかったのか。空太の話を密かに聞いていた ましろのは、そんなふうに思ったのではないだろうか。
ホテルでの ましろの発言はすべて意味深で、それまでずっと空太の視点で描かれる空太の決意の物語だったのに、三鷹先輩との電話を密かに聞いていた ましろのいつになく不服そうな表情で、それまでの解釈がガラリと入れ替わってしまったように感じられた。たった一度きりのセリフ・行動を通じて、二つの視点による二重の物語が展開された今回のドラマは、特別仕様EDが採用されるにふさわしい、今作を象徴するエピソードだったと言えるかもしれない。今はまだちぐはぐな空太と ましろの二人が、次回、そして今後の展開を通じてどのような関係を構築し、将来像を思い描いていくのか。そしてその物語を今度はどんな技法を駆使して表現してくれるのか。心より楽しみにしたい。
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「空太は、どうしてここにいるの?」
ホテルで ましろにそう問いかけられたとき、その質問をどう解釈するかというのが、今回の空太に課せられた課題であり、第3話のメインテーマであったと思う。
ましろは顔も口調も常に表情がなく、それは彼女が何の感情も持っていないからなのだと、つい思ってしまいたくなる。けれどその裏には豊富な表情が隠されており、普通の人とはピントのズレた純朴さであるとはいえ、その感情の揺れ動き方、表情の豊かさは、他の人たちと比べてもなんら遜色がないのかもしれない。だから彼女と会話をするときには、まず彼女が豊富な表情を隠し持っているという前提に立ったうえで、ではその一見すると無表情なセリフが実際にはどんな色に染まっているのか、その言葉にどんな感情が込められているのかを、推測していかなければならない。
逆に言えばこれは、受け取る側の認識の差や願望等によって、ましろの発言が不必要に着色されてしまう可能性があるということだ。会話において相手の発言をフィルター越しに受け取ってしまうのはどうしようもないことだけれど、ましろとの会話においては、自分が無意識に設定しているフィルターの影響がよりダイレクトに反映されてしまう。第1話においてましろが自分のことを真っ白だと評価したその真意はいまだによく分からないけれど、ひょっとしたら、自分の発言や行動の意味が他者によっていくらでも色づけされてしまう状況を皮肉ってみせたのかもしれない。少なくともこの第3話の時点では、絵を描くという行為について確固たる意志や目標を設定している彼女の現在の姿は、真っ白とは程遠いところにある。
「どうしてここにいるの?」という言葉には、二通りの意味を読み取ることができる。ひとつは空太の行った解釈で、ましろ自身には明確な意図・目的があってここ(ホテル)にいるのに、猫の里親を探すという目的があるはずの空太はこんなところで何をやっているのか、今やるべきことを見失っているのではないか、という叱責の意味。空太は前日、三鷹先輩からやはりきつい叱咤激励を見舞われており、これで空太は才能のある二人から、お前は何もしていないと鋭く指摘を受けた格好となった。そうして、じゃあやるべきことから始めてみようじゃないかと立ち上がったのが、今回のエピソードであった。
けれど男女ふたりきりでラブホテルに泊まることになった状況で、裸になった女の子が戸惑う彼に「どうしてここにいるの?」と問いかけたということは、フツーに考えればそれは愛の告白以外の何物でもない。ましてや空太は、ましろの他の男とのデートを監視し、妨害しようと飛び込んできた当人である。もし空太の心に余裕があれば、ましろの無色透明なセリフからピンク色の感情を読み取ってみせたとしても、何も不思議はなかった。
そもそもこのデートの目的は、空太の嫉妬心を煽り、空太に再び ましろのお世話係をやってもらおうと考えも、ひとつの側面として存在していた。だとしたら空太とこうして二人きりでホテルに入れたのは、ましろにとっては計算通りだったはずだ。恋愛のなんたるかをちゃんと理解しているとは思えない ましろだが、それでも、当初の意志を捨ててこの場にやってきたという自身の行動の意味を自分で分かっていない空太には、文句のひとつも言いたくなったのかもしれない。「自分の居場所は自分で決めます」と、空太は言った。どうしてその時、自分の居場所は椎名の隣だと言ってくれなかったのか。空太の話を密かに聞いていた ましろのは、そんなふうに思ったのではないだろうか。
ホテルでの ましろの発言はすべて意味深で、それまでずっと空太の視点で描かれる空太の決意の物語だったのに、三鷹先輩との電話を密かに聞いていた ましろのいつになく不服そうな表情で、それまでの解釈がガラリと入れ替わってしまったように感じられた。たった一度きりのセリフ・行動を通じて、二つの視点による二重の物語が展開された今回のドラマは、特別仕様EDが採用されるにふさわしい、今作を象徴するエピソードだったと言えるかもしれない。今はまだちぐはぐな空太と ましろの二人が、次回、そして今後の展開を通じてどのような関係を構築し、将来像を思い描いていくのか。そしてその物語を今度はどんな技法を駆使して表現してくれるのか。心より楽しみにしたい。
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